死にたい

死にたい

死にたい


リフレイン。

馬鹿なこと考えるな!
そんな叫び声。

誰なのかはわからないんだけど、とりあえず内側にいる奴が、言ってる。



チャリンコを漕ぎながら、ふと思い立つ。

ああ、生きていたいんだ。
だから今、死にたいって呟いてしまうんだ。と。

自分が、自分であることが、自分の大切な人の足枷になってしまう。

そんな現実を目の当たりにして、
じゃあ自分を変えればいいんだと動く。

その度に涙が止まらなくなる。

本当はそんなことしたくないから、自分を変えたくなんてないから、しんどくて涙が出る。


ねぇ、嘘をつきながら、これからずーっと生きていくのと、今、死んでしまうのと、どっちが君には都合がいんだい?


死にたくなるだろ?


死にたいって、何度も考えて、呟いて、そして叫ぶだろ?


でも、死なないんだ。

それは弱さでも、怠惰でもない。

真摯に生きようとしてるから、だから死にたくなるんだ。

君は今、生きてる、
必死で泥臭くて、だらしなくて、馬鹿らしくて、それはとても生きてるってことだ。

月が、綺麗だった?

口ずさんでしまう、歌がある?

それだけで、君は、とても、生きてる。



どうか、称賛させてくれ。

君が生きてるこの時を。

安い酒と、色気のない食い物を並べて、人一倍大きく、手を叩くんだ。

生きてる。


生きてる。


飯を食い、糞尿を垂れて、上下の品位を比べ合い、時代に流され、単調な日々を愛で、あの人を貶め、食物を噛み砕き、生きてる。


君は、綺麗だ。




汚泥にまみれても、月明かりは君を照らす。

綺麗だ。

生きてるってのは、綺麗だ。