☆ 3度目の就任 ベテラン監督岡田彰布

 2023年度NBLが開幕し、早、37試合を消化。
 今日までの成績を観て欲しい。貯金10。



 まだ、成績云々を云う時季では決してないが、阪神は堂々の単独首位。しかも、先日の頂上決戦で首位だった横浜を抜き去り単独首位に躍り出て、昨日、一昨日・今日と最下位中日に横綱野球を見せつけて、横浜も一昨日、負けての2ゲーム差である。
 昨季終了後、阪神は不屈の決意で岡田彰布に3回目の監督を要請し、本人も承諾、それで今の地位。
 岡田野球の真骨頂、それは当たり前の野球。
 観ていて、面白くも何ともないが、蓋を開ければキチンと勝っている。それが岡田野球の流儀。
 しかし、言ってみればそれは当たり前の野球であり、=勝ちに拘る野球と云える。



 勝ちに拘る、一見当たり前なようなこの野球を昨年までの監督(敢えて名前は出さない)はしなかった。俺たちの野球、なるスローガンを掲げて選手ライクな試合の勝ちより選手に優しくファンに厳しい野球を続けていたものだった。
 それは昨季のリーグ戦後のNHKの関西ローカル番組、カンサイ熱視線でもそこを突いていたくらいだから、呆れられていた野球、と云う事になるだろう。
 それでも2枚目の成績表が物語るが如く、昨年もキッチリ3位で終わらせて、昨年最後の当投稿# 15
でも掲げたとおり、前監督在任中は全てAクラスで終わらせた。これは一重に監督ではなくましてやコーチ陣だけでも当然なく、選手たちの頑張りのお陰であろう。



 とは申せ、元々チーム力はあった。だから岡田監督の課題は、不安定な守備を徹底的に固めることから今季は始まった。それで、捕手、ファースト、サード、そしてセンターのポジションは固定化した。
 そのポジションには梅野、大山、佐藤、近本が当てがわれて、これらの選手たちの守備位置が今季は固定する。これだけでも昨季までの"俺たちの野球"とは全く違う。しかも1番近本、4番大山、梅野はやはり得点圏打率の高さが買われて早くも正捕手と公言していたし先の2人は打順まで固定化すると云う、あるべき姿の一旦をシーズン前には公表していた。
 打順に関しては佐藤は3番にするか5番にするか、また梅野も外人次第で開幕ギリギリまで逡巡した様だがノイジーのOP戦での見極めで3番にし、佐藤を5番、そして梅野のチャンスメイクを期待して6番に据えたが調子の良し悪しで6か7番とした。
 そして、今季1番の目玉は実はコレだと言わんばかりの中野のショートからセカンドへのコンバートだが、打順は元々の2番で流してゆく感じでいいと。そして、ショートには最終的に小幡と木浪の守備争いを制したのが小幡だった。そしてライトには開幕当初は新人の森下を起用、これで野手と打順はほぼ固定化した。開幕から4月の前半で森下は新人らしからぬ打撃力を発揮したが、新人らしい粗っぽさが直ぐに露呈して早々に離脱、代わりに昨季から期待されていた、井上が起用されてこちらも期待に違わぬ打撃力を発揮していたが、レギュラーで使われだすとボール球を空振りしてみたりと、これまた粗っぽさが露呈、そして岡田監督が差し向けた次なる刺客がドミニカ出身のミエセスであった。



 ミエセスのセオリー無視のキャッチングや巨体から来る印象とはかけ離れたコンパクトな打撃にギャップがあって面白い。それにここ一番でのタイムリーヒットは多分ノイジーよりも多いであろう。ここら辺でライトはミエセスで固定化するかも知れない。毎年スタートダッシュに乗り遅れる近本はシーズン当初からコンスタントにヒットやフォアボールでの出塁率が.421で昨日現在まで、セリーグ個人成績の第2位である。そして目を見張るのはその得点圏打率で驚異の.563。これは去年の梅野と肩を並べる数字である。出塁率は阪神では10傑中、他に木浪が.415で4位、大山が.388で6位、中野が.366で9位と実に4人もの野手がひしめいていて、1位を張るチームはちゃうねーってな、具合だ。勿論1チームでこれだけの選手が10傑に入るチームはない。
 今年の阪神の特徴はフォアボールで出塁して点に結び付けている事が大きい。4月の阪神戦は下位打線がチャンスメイクをして投手がバントで送り、1番2番で返す、と云う異様な現象が起きていた。その起爆剤の役割を果たしたのは紛れもなく、木浪であった。木浪もずっと控えに耐えてきた甲斐があり今年はその非凡な打撃を一気に開花させるチャンスが巡ってきた。
 そして悩める5番だった佐藤輝明もGW前から漸く長いトンネルを脱して、彼らしい豪快なHRが見られるようになってきた。こうなって来ると阪神の行手に不安はない。あとは梅野の復活を待つのみだが、彼の場合は元来夏場に強い体質なので今くらいはこんなものである。そう云った選手の特質を監督
は心得なければならないし、そうした選手へのケアはコーチの仕事である。善処を望む。
 スラッガー最後は3番ノイジー。



 岡田監督が新外国人にして開幕から一貫してレフトで起用し続けている。
 売り出し中のときに岡田監督が真っ先に獲得に動いたと云う。今戦っている中日も狙っていた逸材であった。開幕当初は、いいところで打っていたが、4月半ばからGWまで不振に苦しんでいた。
 シーズン当初、岡田監督がゲーム後半に守備固めでノイジーを引っ込めようとしたら、激昂してそれを拒んだという。それくらい日本野球に賭ける彼の意気込みが伝わるエピソードである。阪神の外国人には期して多いのだが、ノイジーも生真面目で真摯に野球に取り組んでおり、その向上心の高さは若い選手たちに刺激を与えていると云う。GW中に、不振に喘ぐノイジーに手を差し伸べたのが岡田監督自身で、力入り過ぎや、リラックスして打ったら?と声を掛けたら…この4試合連続マルチ安打の活躍。3番打者として役割を果たしている。
 一方、投手陣に目を向けると開幕投手は青柳。その後の青柳は精彩を欠いているが、夏場にやはり強い体質を活かし、今後の調子は右肩上がりである。
 ベテラン西勇、開幕から出遅れていた伊藤といった戦力は期待通りの活躍、そして今季は佐藤輝明と同期の村上が破竹の勢いだ。先日の登板ではコントロールが抑えられなくなり、球が浮き中日の4番、石川に手痛い3ランを打たれたが、ここまでよく投げていた。そしてソフトバンクから現役ドラフトで入団した大竹。両コーナーへの安定した投げ分けが光る軟投派左腕で、球の出どころが見づらい投球フォームから最速144km/hのストレートと、変化球は、カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームなど多彩である。現在まで無傷の開幕5連勝中という活躍振りだ。そして何と言っても中継ぎ、抑えの盤石さは12球団中随一と言っていい実力派揃いだ。これはここ数年、阪神の大きな売りでもある。盤石の中継ぎは表3でご確認頂きたい。



 特に加治屋、岩貞、及川、富田はレギュラー化している。不屈の抑え湯浅はじっくり肩の張りを癒していて宜しい。今年はストッパー岩崎が帰ってきた。昨季、中継ぎとして活躍した浜地は今年も中継ぎだが、今年はコントロールに苦しんでいる。球がやはり高い。今日唯一の失点は浜地の失点である。

 



 今日も阪神は中日に勝ってなんと7連勝。セリーグ単独首位だが、長いリーグ戦、悪いときもある。

 それまでいかに貯金を蓄えて置けるか?と云う事である。とことん勝ちに拘る岡田監督の手腕と選手の奮闘をシーズン終わりまで見守って行きたい。