また逢う日まで」つづき…。


 3回目のデートでは蛍子に肖像画を描かせる三郎。

 蛍子は母1人子1人の2人暮らしだが、母親は昼間は軍需工場で働いているので2人にとってはフリータイムとなる。

 2人の会話に段々と三郎が戦争へと駆り出される日が近い事が示唆される。

 必然的に重くなる。

 そして…有名なガラス越しのキスシーンへ。



 この映画はこればかりクローズアップされてしまっているが、このあと都合3回に亘り2人の間に美しいキスシーンが繰り広げられる事を断っておく。

 戦争の足音が目前に迫るほど、2人の恋の炎は燃え上がるのだ。

 一方、厳格な家庭育ちの三郎の兄二郎は、皇国史観に駆られた職業軍人であり、恋に揺れる三郎を日頃から疎んじており、三郎に何かにつけてつらく当たっていたが、そんな折軍需物資輸送の鉄道班で作業中に過積載の荷物が崩れて、それを拾っている時に不慮の事故で瀕死の状態となり入院する。

 長男の事故に触れても目の前の判事の仕事で見舞いに行かない父親。

 兄は死に際に弟に告げる。

 「…三郎!お前は俺の分まで幸せになるんだ…」

 蛍子の家では蛍子の母が見知らぬ男の肖像画を目にし、何かを悟る。

 兄の遺言を受けて益々蛍子にのめり込む三郎。


 やがて三郎にも赤紙が届く。

 最後のデートの日の朝、いそいそと支度をする蛍子だった。これはサービスカット❤️

 母から予てから時勢を気にするようキツく言われていた蛍子は、相手がいよいよ出征するので今日は最後の逢瀬である事を肉迫、母もそれにほだされて2人は和解する。

 約束の10時になっても三郎は現れない。

 上野駅のコンコースで只管に三郎を待つ蛍子。

 その頃三郎には二重の困難が降り掛かっていた。

 翌日の軍への出発が前倒しになってしまったこと、そして亡き兄嫁の流産が起こり三郎はただ目の前の災禍に従順に翻弄されるのみであった。

 

 一向に来ない三郎、上野駅で蛍子は…1人だった。

 時間はもう昼を過ぎていた。 

 きっと何かあったに違いないわ、

 でも、どうして…?

 どうなっているの?三郎さん…と、その時

 哀れ蛍子の頭上から爆弾が投下、倒壊した建物の瓦礫の下敷きになる蛍子…蛍子の運命や如何に!

 漸く事態が落ち着いて軍への出頭前に三郎は蛍子の家へ行ってみた。 

 しかし、生憎の不在である。

 途方にくれた三郎は玄関先に置き手紙を入れて引き返す。

 工場から帰宅する母親と不意にすれ違う三郎。

 どこまでも薄縁な互いの運命よ。


 思えば戦争により引き合わされた三郎と蛍子は、又、戦争により引き離されてしまう運命の皮肉。

 これ以上の悲劇はない。


 やがて戦争が終わり、街に平和が訪れても幸せだった2人の人生は帰っては来ない。

 残された家族だけが、悲しみの対面をする。

 蛍子の母は三郎の家を訪れて、亡き娘の遺品である三郎の肖像画を届ける。

 兵隊となった三郎も未だ不在の家に…。