☆暗黒街の弾痕 / 岡本喜八監督 1961年 東宝
岡本喜八監督と言えば鋭いカット割でスピーディ
ーな展開とアイデアに富む奇想天外な展開と
アクションで斜陽日本映画を支えた名匠だが、
デビュー当時は青春映画、メロドラマ、そして
ヒットした「独立愚連隊」。
小器用に何でもこなした。
それらの映画の合間に東宝暗黒街シリーズを
全4作中3作を監督した。
コレは1955年に山本嘉次郎監督(黒澤明の師匠)
で撮った「暗黒街」に端を発したギャング映画路線
を承継したものだったが、それを岡本喜八は
アクションとギャグをそのシーンに絡めて次の展開
へのバリエーションとして歌のシーンを挿入する。
岡本喜八のアイデアがキラッと光る。
本夜上映の標題作は暗黒街シリーズの第3弾とし
て制作されたが、ここでの音楽は佐藤勝。
一癖も二癖もある奇妙な歌に仕立て上げて
一種独特のエキセントリックさを表出している。
♫誰も知らない:島崎雪子
喜八映画の中でも出色の出来であった。
又、アクション映画監督としての岡本の真骨頂
として長らく語り草として有名な"世界一の早撃ち"
のシーン。
ピストルを扱えなくなった加山雄三たちが捕鯨砲
を操り敵方を張り付けにする圧巻のアイデアは
観ていて爽快感すら覚える。
東宝ギャング映画をバラエティな風味で処理した
第一級作品である。