☆男同士
アメリカンミュージカルの醍醐味の一つ"タップダンス"
現在まで実に多士済々の紳士たちが観客を魅了してきた。
本日はタップのみならずビッグスターといぶし銀、とか大物同士とか、ビッグマンコラボ企画でいきたいと思います。
1.ジェームスキャグニー
1942年の「ヤンキードゥードゥルダンディ」ブロードウェイの父と言われたMコーハンの役で見事なタップを披露したキャグニーは生涯唯一のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。
キャグニー自身にもそれは快哉を言わせしめる一事だったかも知れないが、初期の彼はギャングスターそのもの。
そのイメージに固まるのを嫌い彼は元々ボードビリアン出身で身のこなしも軽く、それは下積み時代に磨かれた貴重な才能だった。
ギャング映画以外にも会社から来たオファーが「フットライトパレード」。
まるで真逆の役どころにてっきり出演を断わるものと思った会社側にキャグニーは「こういうのがやりたかったんだ!」と喜んだと言う。
1955年に出演して2度目のMコーハンの役に付いたキャグニーとタップの達人ボブホープとの軽やかなタップがいい味を出しているシーンから本日は始めたいと存ずる。
「エディフォイ物語」 2人の名ダンスシーンからどうぞ。
2. ラッキーナンバー : ニコラスブラザーズ
ニコラスブラザーズもアメリカエンタメ界華やかなりし頃の申し子というべき存在。
映画「コットンクラブ」の中で描かれていたハインズブラザーズが演じていた役とニコラスブラザーズが嫌でも重なる。
体のしなやかさは両雄いい勝負と思うが、マイケルジャクソン級のダンサーは昔は五万といた証左か。
ニコラスブラザーズと映画「コットンクラブ」のシーンからハインズブラザーズの息の合ったダンスを続けて御覧頂く。
3.シーグフェルドフォーリーズ :アステア&ケリー
過去の小稿では主にこの2人のミュージカルシーンを取り上げてきた。
誰もが羨むダンスの達人達だった訳だが、両雄並び立たずなのか?2人の共演は1946年のこの映画のみだったと言うからそれも意外。
あとは1974年の「ザッツエンターテイメントVol.2」プレゼンター役として2人で歌い踊ってはいたが、ピークはとっくに過ぎていた。
2人の個性の違いがハッキリと判る貴重なダンスシーンをご堪能下され。
4.歌はハートに来なくちゃ : シナトラ &デュランデ
1947年のIt Happened in Brooklyn(邦題:下町天国)で若き日のシナトラ がボードビリアンの大先輩ジミーデュランデに…君はビングクロスビーよりも光っている…と励まされる。
シナトラも1971年の「ザッツエンタメ」の中で懐かしそうにこのシーンを振り返っていた。
若き日にこのシーンを観た拙者のこれはマイフェイバリットソングになっている。
5.ナウユーハズジャズ : ビング&サッチモ
ジャズ初期から活躍した2人は既に映画では1930年代に1本「黄金の雨」で共演済みだったが、テクニカルカラーとはいえ、カラー映画で2人が歌う姿は壮観だった。
1955年のMGM映画「上流階級」でのこの歌はビングのライトニングな節回しが心地よく対するサッチモ のソウルフルなtpとダミ声が程よくミスマッチなのが流石❗️と膝を打つ。
当時のアームストロングオールスターズの面々の演奏も一流所を配していてサントラは特異な音と化している。
フランスのジャズの殿堂ルジャズオットや最近台頭してきたロックンロールまで遡上に乗せて、それでもトラッドジャズは健在だと明るく軽く歌い飛ばすクロスビーのソフトリーな風合いは誰にも真似出来ない個性である。
因みにこの2人の共演レコードが初めて実現したのはこの五年後にリリースされたのだが、2人のスケジュールが合わずボーカルは別々に録られたと言われている。
本日は一先ずこれまで。