☆初期のサラヴォーン
この人についてはビリーホリデイ、エラフィッツジェラルドについでキャリアが長く、ビッグネームとの共演も数多重ねて名実ともにジャズヴォーカルのスターと呼ぶに相応しい。
もう鬼籍に入ってしまったけれど。
今回は初期に録音されたものを掛けてみたい。
サラヴォーンはデビューが1945年であり、第二次世界大戦も終局を迎えつつあった時だった。
アメリカ🇺🇸では丁度長かったスイングブームからバップと言う新しい音楽へ、人気が交代し掛けていた。
そのバップイディオムを体得していたサラはその波に乗っかる事により、時代の申し子のような存在になって行った。
1945年(昭和20年)5月11日、に組まれたディジーガレスピー(tp とチャーリーパーカー(as の伝説の"ギルドセッション"は成功裡に終わりこの日の最初に録音された♫Solt Peanuts と♫Hot House はギルドレーベルのオリジナル盤を昔、小生も持っていたことがある。
歴史的名盤でモダンジャズの素晴らしい教材足り得る。
他にもピアニスト アルヘイグ、ベースにはカーリーラッセルと言う通好みのミュージシャン達がこの日のセッションには参加していたが、ドラムはトラッド系の"ビッグ"シド カトレットが叩いたおかげでやはりアップテンポな♫ソルトピーナッツ は四拍子の倍テンポだから一見モダンだが、完全にトラッド系演奏からは脱しきれていない。
たが、3曲目に録音された♫ラバーマン のバラード曲ではカトレット効果が現れて、特にサラヴォーンの歌唱には、その今までのシンガーにはない新しい魅力が備わっていた。
そのハスキーヴォイスは、前年にその曲のオリジナルを録音したビリーホリデイとは明らかに違う個性であり、余りに素晴らしいビリー盤を更に凌ぐ新しいアプローチであることに少なくとも玄人衆達が騒ついた。
サラヴォーンの♫ラバーマン は↑ココをタップする
続く5月24日にはガレスピー、パーカー以外のリズムセクションを完全に入れ替えてドラムにはバップの第一人者であるマックスローチを迎え、どんな素晴らしいものになるか期待して聞いたら、完全に裏切られた。
ミディアム系のテンポだからかなりな変則感を味わえると思ったら、何の波も訪れず消化不良に終わった。
更に小生の好きなバップギタリスト ビルデアランゴがクレジットされているにも関わらず3曲中の何処にも顔が見えない。
この日のしんがり♫Mean To Me はコンチネンタルレーベルのオリジナル盤を未だに所持はしているものの、ここでは掛ける気にはならない。
それよりガレスピーもパーカーも入って居ないけれど、サラ名義のレコードでタッドダメロンが書いた素晴らしい前奏で始まる♫If You Could See me Now
のサラヴォーンの方が数段上のレコード芸術を堪能出来るであろう。
♫あなたが今私を見ることができたら は↑ココをタップ
サラヴォーンの最初のヒットは1948年に訪れる。
バップ系新進シンガーはやはりバップに偏ることを恐れたマネジメントサイドが売れるポピュラー系レコードに舵を切った為に暫くサラヴォーンのキャリアの中でも収穫のない時代を歩かされるが、そんな中でもキラリと光るものはないか探したら、スマッシュヒットを記録した♫イッツマジック がYouTubeにあったので本日はコチラを聴いてお別れである。
もう1人この曲をヒットさせたドリスデイ の盤と対比して聴き比べてみることをおすすめする。
はこの2年後のリリースである。