↓その1はこちら
↑左から2sq、3.4sq、8sq
ハイ/3.4sq ロー/2sq
前項のハイ、ロー入れ替えで、ハイを太くしたらどれだけ高音が甘くなるか、ローを細くしたらどれだけ制動力に影響があるかの実験である。因みに前の状態でかなり鳴らし込んだのでエージングは十分である。
音を出して見ると、当たり前だが割と普通に音が出て高音も耳当たりが良くてアリである。ベースとなる50Hz付近が抑えられるより低音としては高い周波数が元気な為か低音が不足している印象も無い。
ただ、何かベールがかかったようで解像度が若干甘い気はするが悪くは無い。
試しにハイ、ローを入れ替え前の状態に戻すと解像度の甘さが取れ、フルハイビジョンが4kになるように全域でディテールが上がり、フワッと音が開放的になる。
全域にかけて良くなっているように感じるが、これは高域が滲み無く上まで抜けている為だろう。
この実験では2sqと言う不安に思う程細いケーブルが如何に有益か確認できた。加えて、電源ケーブルとして売られているPC-3000だが、オヤイデサイトの説明通りスピーカーケーブルとして問題無く使用出来る事が分かった。
ケーブルの太さの推奨値
ケーブルが太過ぎると細部のディテールが失われてしまう。
しかし、細くしすぎると最低域が不足し、シャカシャカと軽い音になってしまう。
加えてアタックの瞬間など信号がグンと立ち上がる瞬間の鋭さもケーブルが細い程控えめになるようである。
細いケーブルは高精細、太いケーブルはパワフルと、蓋を開けて見れば巷で言われている通りの結果であるが、太さの基準として今回はクリプトンのスピーカーの内部配線に使われているものを参考に、高域2sq、低域3.4sqがベストと言う結果になった。
しかし、これは2ウェイスピーカーに限ると言う事を先ず述べて置きたい。
より細かく言えば、高域2sq、中域3.4sq、低域5.5sq以上…と言う事になり、ミッドレンジがハイ側になるかロー側になるかはスピーカーによって変わって来る。
例えば一般的な3ウェイスピーカーはミッドレンジがハイ側になる。高域を優先するなら2sqだが、中域の瞬発力が失われてしまう為、中域を優先するなら3.4sqである。
一方、3ウェイの低域側はウーファーをスイングする為だけのケーブルになるので、5.5sqかそれ以上を当てがってもデメリットは出ないはず。
故にハイ3.4sq、ロー5.5sqと言う事になるが、高域のヌケを思うと2sqも捨てがたく、ここは是非聴き比べてもらいたい。
同じブックシェルフでもTADのME1やKEFのReference1Metaなど3ウェイも中域がハイ側になるのでこちらになる。
SAECの場合5.5sqのスピーカーケーブルは無いので、ウーファーにもpc-triple cケーブルを使いたいなら、3.4sqで妥協するか5.5sqの電源ケーブルをスピーカーに流用するかと言う事になるが、小生なら低域は線材にはこだわらずLUXMANの5.5sqを選ぶ。
もちろんこれまで小生が使っていた8sqのオヤイデOR-800もおすすめで、オーケストラの迫力は段違いである。
対して、トールボーイでも中域がロー側になるものがある。DaliのEPICON6などはウーファーがミッドレンジを兼ねるので、805と同じようにハイ2sq、ロー3.4sqで問題無いだろう。
最後にシングルワイヤリングならどうするかだが、全帯域をカバーする3.4sqが無難だが、2sqの高域の美しさも捨て難い。
「大は小を兼ねる」だろうと極太ケーブルを使って来たが、スピーカーケーブルはそうはいかない。周波数特性が変化するとは予想していたが、太過ぎると音に滲みが出て解像度が下がると言うのは想像もしない現象だった。
電源、クロックとこのところ相当な投資をして来たが、特性が良くなる一方、「いい音」が出ないと言う漠然とした悩みがあった。思えば8万円のアンプを使っていた時の方が自分のオーディオの音を「いい音」だと感じていたくらいである。
常々人の声と金属楽器の響きがキレイに出ていないと感じていたが、今回行き着いた組み合わせで、本当に惚れ惚れする音になった。
線材や構造、ブランド、価格帯に惑わされがちだが、少し断面積に注意してケーブルを選んでみると幸せになれるかも知れない。
↑中低域用に使用した3.4sq
↑こちらはPC-3000よりやや細い1.4sqのスピーカーケーブル
↓その1
↓その2