思えばビアンキ史上最軽量であるスペシャリッシマを導入して小生は一度もヤビツを登っていなかった。
理由は簡単、体重が増えタイムの悪化が必至だったからである。
残念ながらヒルクライムはパワーと体重からタイムが計算出来てしまう。バイクが1kg軽くてもライダーが5kg重くなってはタイムの更新はまず無い。
最後にヤビツに登った時は63kg程度だったはずでタイムは34:47。今朝の体重は74.5kg
11.5kgと言うと灯油15リットルの重さに相当する。これを持ってヒルクライムするようなイメージである。
だが、逆にバイクは7年で大幅に進化している。
タイヤは飛躍的に転がり抵抗が減っているし、ヒルクライムで無視されがちなエアロダイナミクスも40kphで20W削減するバイクなら理論上は20kphでも5W削減出来る。
体重は増えているがパワーは当時より増えており、意外と良いタイムが出るのではと期待が高まる。
39分37秒
結論から言うと灯油15リットル分の体重増加は4分50秒タイム延長させた。
ざっくり36分台くらいと考えていたので少しショックである。
3分の誤差の原因は以下である。
・ベストタイム33分台と勘違いしてた
・当時思ったより体重を絞れていた
・ジャージを忘れてLサイズのダルダルTシャツで登った
・機材のアドバンテージが思ったより小さかった。
当時はチューブラーの転がり抵抗の高さが注目される前だが、この時小生は何故かアルミクリンチャーに履き替えているのは興味深い。
兎に角このRS-80と言う5万円程度のホイール、デュラC24のハブのみコストダウンしたものなのだが、小生の脚と相性がすこぶる良く、値段から想像出来ない程多くのレコードを叩き出した。
ディスクではこれに相当するホイールが無いのは惜しい。
バイクはディスクブレーキになりしかもエアロフレームだがバイク重量は7kgと当時とほぼ同じである。
ホイール重量もRS-80もZIPP404も1500gちょい。
リム重量はRS-80はバラして測定していないのだが、リムテープ合わせて410g前後と言われている。404のリムが470gで60g重いのだが、チューブがラテックス85gからTPU24gになっているのでタイヤを含めた外周部の重量では恐らく404の方が軽い。
当時のタイヤはPro4comp limitedで170g、ラテックス85gの計255g。
現在はこの後継となるPOWER TIME TRIAL180gとチューブ25gの205gで、リム、とタイヤの外周部重量は1輪当たり10g差しかない。
RS80はセンプレに付けて売却してしまったが、これに現在のタイヤ、リムテープ、TPUチューブを取り付けて当時の体重でアタックしたら33分台に届くだろう。
当時はクランクに52/38と言う訳の分からないギアを使用している。インナーを36Tと38Tで使いまわせると思って選んだのだが、インナー36Tの場合は36T用の52Tアウターが別にあり、それを使わないとスムーズに変速しないと言うものだった。スプロケはなんと11-25T。
一見無謀なギアだが、平均時速が今回より1割高いのでマックスローでのケイデンスはほぼ一緒でケイデンスのアベレージも89に達していた。
激坂ではギアが足りずツラい箇所がいくつかあったが、最も勾配がキツく速度が下がる区間はFTPで軽いギアをくるくる回すよりギアを下げずに立ち漕ぎで乗り切った方が速い。
全ての区間を平均パワーで走るより、高速区間は低負荷、低速区間は高負荷でメリハリを付けるのがタイムトライアルの基本である。
故に今回はインナー36の11-28Tだが、この下に30Tがあっても使わない方が速かっただろうし、当時の速さなら28Tを使わない方が速かったはずである。
ただ、人によってはシッティングのままケイデンスを上げて激坂を乗り切るタイプもいるので、その場合は更に大きなスプロケが必要になるかも知れない。
ヤビツの激坂区間はダラダラ長ったらしく続くので、ダンシングを多用しすぎると後半に響く。自分のブースト残量を理解し、最も速度が落ちる区間に絞ってダンシングを使うのがミソである。
アベレージパワー
11.5kg増してるとはいえパワーが増しているのに5分のタイム増は大きすぎる。
これは恐らくパワーが出ていない。
小生の左右パワー比はパイオニアでもガーミンでも左52%/右48%だった。
片足計測は左パワーを倍にして算出するので、52%×2=104%と実際より4パーセント大きなパワーが表示される。
今回自己ベストパワーの292Wを叩き出したが、左右差を計算すると280wとなりこれならぴったり計算が合う。
小生の場合4iiii片足計測では約10w高い数字が出ると言うのは有意義な発見である。
因みにベストレコードの時は278Wを35分に対し、今回は280Wを40分維持しており、同等のパワーを5分長く維持出来ているので、実質はパワーアップしていると考えても良いだろう。
パワーアップ出来た要因はアミノバイタルと出会った事で、人生最速だった当時は常にオーバートレーニング状態で体重とは裏腹に常に身体が重いと感じていた。
アミノバイタルは飲んですぐパワーアップもするが、疲れを残さず回復させてくれるので少ないトレーニングで効率的にパワーを上げられる。当時は1700km走った月もあったが、現在はその半分も走っていないのにパワーを更新できている事を考えてもサプリメントはすごい。
プロテインやアミノ酸を成分の配合量でしか見ない人がいるが、実際の効果の出方が1番重要なのは言うまでもない。
ヤビツを40分程度で登る場合、パワーなら4W、体重は2kgで1分短縮出来ると言うのがおおよその目安である。
ダウンヒル
ディスクブレーキになって初ヤビツだったが、フックレスリムとディスクブレーキのダウンヒルは想像以上に快適だった。
無数の激坂が続くヤビツのダウンヒルはブレーキにかなり厳しいのだが、圧倒的なブレーキの安心感に加え、11kgのエクストラウェイトの負担を受けても全く熱ダレも感じなかった。現在のパッドはフィンなしメタルだが、小生レベルのダウンヒルではパッドの冷却フィンは必要無さそうである。
路面は雨上がりのハーフウェットだったが、ワイドリムによって29mmまで引っ張られた25cタイヤのグリップが優秀なのに加え、ワイドリムはタイヤがよれないのでコンディションの割にかなりのハイペースで下る事が出来た。
ただ、ダウンヒルでは空気圧を落とそうと思っていたのだが、今回車にエアケージを忘れてしまいやや高めの空気圧のままのダウンヒルとなった。
ヤビツはところどころかなり路面が荒れているので、バイクが跳ねてもいいようにかなりマージンを取って走ったが、いつも通りの空気圧まで下げれば更に快適にハイスピードで下れたはずである。
特にキツい激坂区間は路面にドーナツ型の凹みが施されているのだが、ここのバイクの暴れ方は特に酷く空気圧を上げた事を後悔させられた。
それでも結果としてダウンヒルでは圧倒的な機材の進化を感じられた。プロは登って下るまでレースなので、下りに照準を合わせて更に太いタイヤを選ぶ事でかなりタイムを短縮出来るだろう。
どんなにブレーキが強力でもタイヤが跳ねて地面から離れれば速度が落とせず谷底へダイブする事になる訳だが、チューブレス、ワイドリム、28Cのブレーキ中のグリップの安定性が有れば、登りの僅かなロスを下り区間で取り返してお釣りが来るだろう。
今回はとりあえずパワーメーターの誤差の確認と40分の自己ベストパワーを更新出来て満足である。