前回、フロント5000STR 25C、リア POWER TT 25C+SOYOラテックスが最速説を唱えたが、運良く5000STR 25Cを入手出来たので早速テストしてみた。
因みにコンチネンタルは25Cは内幅21リムまでしか推奨していないし、ZIPPのフックレスはクリンチャーの使用を認めていないので、良い子のみんなも悪い大人もマネしてはいけない。
細過ぎて草生える
前回同様シーラント30g入れて一回走行の後、バルブを沈めてシーラントを吸い出しノーシーラントチューブレスレディとする。
どうせ30gのシーラントなんぞパンクする数ヶ月後にはドロドロかカピカピになって機能しないので潔く抜いてしまう。
ZIPP404のフックレスにはめた25Cは一回走行して伸びた後で幅27mm、ハイト20.5mmだった。これはPOWER TTの23Cの幅27mm、ハイト19.5mmとほぼ同じサイズ。しかし縦横比はコンチネンタルがやや縦長でエアロダイナミクスで有利である。
因みに5000STR 28CはW30.5mm×H24.5mm、
POWER TTは同じ25CでW29.5mm×H23.5で、5000STRが非常に小さい事がよく分かる。
ZIPP404のリムの全幅は27.8mmで、5000STR 25CとPOWER 23Cはギリギリ幅に収まる。
タイヤの太さをリムより細くするというのは非常に大切で、左右1mmづつはみ出すPOWER TT 25Cをフロントに履くと常に風がハンドルを切ろうとする力を感じる。
太いタイヤを履きつつ直進性が欲しい場合は31mm幅のBONTRAGER、33mm幅のVISION、35mm幅のROVALなど選んだ方が良い。
しかし、不思議だがさらに太い5000STR 28Cは非常に直進性が高かったので、評判通りGrand Prix5000と言うタイヤはエアロダイナミクスで有利なようだ。
リアにはしなやかな事で空気圧があげられるSOYOラテックスに変更して更に転がり抵抗の低減を狙った。
エクステンションを入れるとリアだけで25g増となる。
とりあえず速い
コンチネンタルは内幅23mmリムへの装着は非推奨だが、ZIPPは恐らくこのサイズのタイヤを想定して404をデザインしている。
テストする土手へ向かう時点でもう明らかに速い。GP5000と言うタイヤ、GP4000の頃もそうだが、転がり抵抗のテスト結果では大幅にPOWER TTに劣るのだが、実際走ると想定したよりかなり速いタイムを出すのである。
加えてリアのラテックスもかなり転がりが良いのだろう。
ラボでの測定結果ではREVOLOOP ULTRAとラテックスの差は低圧でも0.2Wに留まっていたが、実際2Wは違うんじゃないかと言う印象。
とりあえず、軽いとか空気抵抗がどうとかではなく、ただただ「速い(確信)」と言うのが初乗りの印象である。
重さの面でも使い込んだPOWER TTは僅か185gでチューブと合わせても209gしかなかったので、チューブレスとラテックスにして計80g程重いはずだが、非常に反応が良い。
28Cに対し20gしか変わらないが明らかにキレがあり、重さを感じないタイプの重さと言った感じである。
ナローリム時代は5000クリンチャーの28cを愛用していた小生だが、ワイドリムに取り付けたSTR28Cは擁護出来ない程重く感じた。
ロードのタイヤは表記サイズに関係無く、ホイールに取り付けた状態で実測28mm程度が小生にはベストなようだ。
巡航
サイクリングロードに出ると、ホイールを変える前、全力で踏み倒して出していた35kphは軽々と過ぎさり、40kphに近づいてようやく加速が落ち着き巡航状態に入る。
行き止まりでUターンすると向かい風…のはずだがメーターを見なければ分からないほど速い。
エアロホイールの風洞実験で「48kph(時速30マイル)のデータなど無意味」なんて言う人がいるが、風速5mの向かい風に35kphで走れば相対速度は50kphを超える。
ENVE SES6.7でも体験したが、60mmクラスのエアロホイールは向かい風によって風洞データ以上のセーリング効果を発揮する。この日は進行方向に対し45度くらいからの風だったが、5000STRを履いた404は38〜39kmで突き進み、耳元でごうごう唸る風がかろうじて向かい風である事を教えてくれる。
サイズはPOWER TT 23Cと極めて近いが、ハイトが1mm高い事で空気抵抗が削ぎ落とされているのを感じる。
しかし、横風にハンドルを取られにくいのはPOWER TT 23Cで、風の強い高速域では5000STRは研ぎ澄まされた刃のような危うさを僅かに感じる。
とは言っても5000STRは28Cも25Cも極めてニュートラルである。逆にPOWER TT 25Cをフロントに持って来ると常にハンドルを曲げようとしてくるような力を感じる。POWER TTには28Cのラインナップはないが、他のグレードの28Cを404に付けると横風の影響を大きく受けるかも知れない。
空気圧
固いTPUチューブの時は前4/後4.5barだったが、しなやかなチューブレスとラテックスと言う事で4.5/5barに設定。さらに同じ25Cだが5000STRは幅が2.5mmも小さいので1サイズ下と見なして0.5高くし、5 / 5barに。
前後28Cの5000STRに比べれば乗り味はタイトだが、モチっとした感触が突き上げなど即座に収束させてくれるので、極めて不快感は少ない。
5barは23mmフックレスリムのマックスプレッシャーだが、とりあえず7barを超えてもビートが外れない事は確認済みである。
実はラテックスは実際の転がり抵抗の低さより、しなやかな分空気圧を上げられる事の方が転がり抵抗の削減幅としては大きい。
ただ、この空気圧でも苦ではないが、やはり普通に乗るのなら前後0.5bar下げて優れた乗り心地と路面追従性を堪能した方が良いだろう。通勤なら4.5/4.5barにする。
リア5000STRはどうか
小生の想定では、40kphで走行時、リア荷重は50KGに達する。試験機では5000STRとPOWERの差は1.5Wだが、荷重と速度を自分に当てはめると後輪だけで2.3Wになる。
しかし、POWER 25Cはサイズとしてはコンチの28Cに近く空気圧も低めになるので、0.5bar上げると1Wを相殺でき、その差は1.3Wまで縮まる。
タイヤの空気抵抗はフロントのサイズと形状は非常に重要だがリアの影響は小さいと言われている。
実際ホイールのテストはフロントホイール単体で行われる事が多く、リアタイヤのサイズなどどれほど効果があるか不明だが、風洞実験施設を持つスペシャライズドがCLXにてフロント51mm、リア60mmと、重量増よりリアハイトを優先しているところを見ると、バイク全体で見た時のリアホイールのエアロダイナミクスもかなり重要なのでは無いかと思う。
リアのディープリムにはライダーがかき乱した空気を清流する効果があり、リムから左右にはみ出したタイヤは左右の空気の合流を妨害すると思われる。
リムから細いタイヤを経て左右の空気がスムーズに合流し、この清流効果が1.3W以上あるならGP5000STR 25Cはタイムトライアルに置いて最強のタイヤと言う事になる。
加えて、POWER TTはTTタイヤの中では非常にグリップの高いタイヤなのだが、TTタイヤは総じてトレッド面が細いので、コーナリング時にサイドが地面に接してしまう危険性が高い。サーキットレースやクリテリウムでは有無を言わさず5000STRを選ぶ事になる。
一方でヒルクライムでは重量が軽く転がり抵抗が低いPOWER TT、荷重が乗らないフロントは軽いREVOLOOP、リアは転がりが小さいラテックスと言うのがベストと言うのが現在の考えである。