今日は「White」である。 まずこのタイトル、「青い闇の警告」でも書いたように、大麻で逮捕されたことと関係があると思われるので、その観点から2つの意味が連想できる。逮捕はされたが無罪であるという主張と罪を償って、真っ新な気持ちで再出発したいという意味である。前にも書いたように、自分の行った行為に対しては、十分反省している様子が見られることから、後者の意味が込められているのではないだろうか。
「嘘をつく子は日暮れの別れの時の居場所がわからない」。やっているのにやっていないと主張することは、歌手としての今後の立ち位置が分からなくなってしまうということを言いたいのだろう。「遊びつかれた言葉と 空気のぬけたゴムマリかかえて」。そんなことしたら、これまで積み重ねてきた作詞家としての実績が、陳腐なものになってしまうような気がしているようだ。「ミルクを飲んでも同じでしょうか?甘いミルクを飲んでも白いだけです」。そして、そうならないように、取り繕うとしても、上手くいかないだろうと。
「傷のない子は夜道で 足をふみだすリズムがわからない 暗いあぜ道 おどり場 怪我を恐れてお家へ戻れない 灯りをつけても同じでしょうか? 強い灯りをつけても白いだけです」。今回の逮捕という経験を、むしろ今後の作曲に生かしていけるのではないかと。つまり例えばこれまで、あまり踏み込めなかった他ジャンルのメロディーも取り入れた作曲も行っていきたいと考えているのではないだろうか。 作詞、作曲への影響については、音楽評論家のような素養がないので、上手い説明が出来ないが、「White」というアルバムは、それまでの音楽とは、歌詞もメロディーも違っているように感じられる。
「夏の日ざしに麦わら 夢のない子が遊びに出かけた 水も陽気な川面に ゲームのゴールに向かう笹舟 風向きしだいで変わるでしょうか? どんな風向きだろうと同じ事です」。作詞、作曲そして歌手を続けることに、やりがいを見いだせないようなら、将来の結果は、つまらないものとして映っているようだ。歌詞から受けるこの「夢のない子」のニュアンスは、ちょっと違っているかも知れない。「やりがい」ではなく、「夢」から連想される言葉がより、的確かもしれない。
この曲には、三人の子供が登場するが、子供の頃に両親から言われていたことを思い出しているのではないだろうか。「嘘をついてはいけませんよ」「傷なんか気にしちゃいけませんよ」「夢のあることを続けるんですよ」と、母からの手紙をきっかけに子供の頃を回想しているようだ。