今日は「闇夜の国から」について、また次回は「Good,Good-Bye」について考えてみたい。というのも、陽水が最初に結婚した相手は、熊本県出身の女性で1974/1であるが、2年後の1976/2に破局を迎えており、「闇夜の国から」が結婚について、また「Good,Good-Bye」が破局について歌ったものではないかと思われるからである。
「氷の世界」が大ヒットし、人気と財力を一度に手に入れたわけで、女性からの誘惑はもちろん、生活環境が一変しただろうと容易に想像できる。加えて芸能界という派手で目立つ世界にいるわけだから、我々からは、はかり知れない環境変化があったのではないだろうか。相手の女性としては、全く違う世界に飛び込んだ訳で、理解出来ない事が多々あったと思われ、そういう世界を許容できなければ、結婚生活が長続きしないのもうなづける。
この曲は1974/4シングル盤としてリリースされている。「闇夜の国から二人で舟を出すんだ 海図も磁石もコンパスもない旅へと」。相思相愛で結婚した場合は、結婚式とかの煩わしさはあるものの、婚約時期から、心が浮き立つものだと思うのだが、陽水は闇夜の国にいると言っている。二人の結婚生活がどうなるか、分からないという側面はあるのだろうから、うなづける部分はあるが、海図も磁石もコンパスもない旅という表現も含めて、何かしら暗雲が立ち込めている気配を感じる。
「うしろで舵とるお前は あくびの顔で」。世間との関わり合いや陽水自身の操縦は、奥さんに任せたと言っており、その点で言えば、あくびの顔という表現から、奥さんに任せて大丈夫というニュアンスは感じられるが、逆に頼りないという意味なのかもしれない。
「舟出の理由を確かめ合うこともなく 未来と将来の区別もつかないまま」。しかし結婚となると、将来のこと、例えば庭付きの家に住みたいとか、子供は3人欲しいとか、将来の夢というか希望があるものだと思うが、そんなものが話し合われた形跡が見当たらない。更に未来と将来の区別がつかないという表現からも将来に待ち受けている具体的な姿が想像できないでいるようだ。
「波まかせ 風まかせ」。まあ 、結婚さえしてしまえば、後はなるようになるさというニュアンスが感じられるのは、破局という結果がわかっているという色眼鏡で見ているからかもしれないが、そんな印象を受ける曲である。