昔、『あんちゃん』というテレビドラマがあったのを覚えていらっしゃるだろうか?


水谷豊さんが主演でお寺のお坊さん役。その後水谷さんと結婚された伊藤蘭さんも出演されてた。


そのドラマの最終回、それもラストシーンが今もものすごく印象に残っている。


時代劇で子どもの頃に見た役者さんである大友柳太郎さんがゲストだった。


その大友さん演ずるところのお年寄りの最期に、水谷さん演ずる主人公のお坊さんが立ち会うというシーン。


『銀河鉄道の夜』のように、星空を進む夜行列車に乗って天国(仏教だから極楽かな)へ旅立とうとしているお年寄り。まるで本当に旅行に行くみたいにわくわくして、車窓からなんとか星雲が見えるとか楽しそうに語る。

傍で話を合わせながら見守るお坊さん。


静かで美しいエンディング。






このドラマを見てたのはまだ自分が10代の頃。両親もまだ若く、死というものはまだまだ遠いところにあった。

けれどそんなまだ子どもであった自分でも、このラストシーンには救われたような気がしたのを覚えてる。

人の最期というものが決して悲しいだけのものではなく。


両親を既に見送った今。

叔父や叔母、ご近所のおっちゃんやおばちゃんら周りの年長の人たちとの別れが次々と訪れ、自分自身も老いというものを明確に意識し出した今。


またこのラストシーンを思い出している。


この世の中との別れは、誰にも避けられない、いつかは必ず訪れるものだけど。それを迎える時は皆があんな風に穏やかなものであったらと願う。