例言一、本書に收めたる諸篇の大多數は嘗て「帝國文學」及び「反省雜誌」に掲載せるもの、今帝國文學會及び反省雜誌社の許諾に因りて茲に轉載するを得たり、謹んで兩社に謝す。一、詩を以て遊戲と爲し閑文字と爲し彫虫篆刻の末技と爲すは古來の漸なり、是弊敗れずんば眞詩決して起らじ。一般讀者の詩に對する根本思想を刷新するは今日國詩發達の要素なるを信ず。附録は泰西諸大家の詩論若くは詩人論なり。素是諸書漫讀の際偶然抄譯し置けるもの、故に精を窮め理を竭せるには非ずと雖も今日の讀詩界に小補なくんばあらず。敢て切に江湖の精讀を請ふ。
希望
沖の汐風吹きあれて白波いたくほゆるとき、夕月波にしづむとき、黒暗(くらやみ)よもを襲ふとき、空のあなたにわが舟を導く星の光あり。
ながき我世の夢さめてむくろの土に返るとき、心のなやみ終るとき、罪のほだしの解くるとき、墓のあなたに我魂(たま)を導びく神の御(み)聲あり。
嘆き、わづちひ、くるしみの海にいのちの舟うけて夢にも泣くか塵の子よ、浮世の波の仇騷ぎ雨風いかにあらぶとも忍べ、とこよの花にほふ――港入江の春告げて、流るゝ川に言葉(ことば)あり、燃ゆる焔に思想(おもひ)あり、空行く雲に啓示(さとし)あり、夜半の嵐に諫誡(いさめ)あり、人の心に希望(のぞみ)あり。
雲の歌
ゆふべは崑崙の谷の底けさは芙蓉の峯の上萬里の鵬の行末も馳けり窮めむ路遠み無限のあらしわが翼空の大うみわが旅路。
空の大海星のさと緑をこらすたゞなかに懸かる微塵の影ひとつ見る/\湧きて幾千里あらしを孕み風を帶び光を掩ふてかけり行く。
いかづち怒り風狂ひ山河もどよみ震ふとき天潯高く傾けて下界に注ぐ雨の脚やめば名殘の空遠く泛ぶ七いろ虹のはし。
曙の紫こむらさき澄みてきらめく明星の光微かに眠るとき覺むる朝日を待ちわびつやがて焔の羽(はね)添へて中ぞら高くのぼし行く。
しづけき夜半の大空にほのめき出づる月の姫下界の花を慕ひつゝ半ば耻らふ面影はために掩ほはむわが情輕羅の袖と身を替て。
照りて萬朶の花霞花にも勝る身の粧あるは歸鳥の影呑みてゆふべ奇峯の夏の空海原遙か泛びては紛ふ白帆の影寒く。
織ればわが文春の波染むれば巧み秋の野邊羽蓋凝(こほ)りて玉帝の御駕(みくるま)空に駐るべく錦旗かへりて天上の御遊(ぎよゆふ)の列の動くべく。
跡こそ替れ替りなき自然の工みわが匂ひ嶺に靉く夕暮は天女羅綾の舞ごろも斷片風に流れてはわれ晴空の孤月輪。
影縹緲の空遠くゆふべいざよふわが姿無心のあとは有(いふ)情の誰が高樓(かうろう)の眺めぞや珠簾かすかに洩れいでゝ咽ぶ妻琴ねも細く。
千仭高ききり崖(ぎし)の嶺に聳たつ松一木緑の枝に寄りかゝり風の袂を振ふとき鳴く音(おと)すみて來るたづに貸さむ今宵の夢の宿。
岸の柳ともろともに水面に影を宿すとき江山遠き一竿(いつかん)の不文のひじり何と見む思は清く身は輕く自在はわれに似たる身の。
自然の姿とこしへにわれは昨日の我ながら嗚呼函關の紫も昔のあとぞ遙かなる、帝郷遠し影白く泛べば慕ふ友や誰れ。
星と花
同じ「自然」のおん母の御手にそだちし姉と妹(いも)み空の花を星といひわが世の星を花といふ。
かれとこれとに隔たれどにほひは同じ星と花笑みと光を宵々に替はすもやさし花と星されば曙(あけぼの)雲白く御空の花のしぼむとき見よ白露のひとしづくわが世の星に涙あり。
鷲
紫にほふ横雲の露や染めけむ花すみれ花に戯るゝ蜂蝶(ほうてふ)の戀か恨かうつゝ世のはかなき春をよそにして 大空のぼる鷲一羽 あらしは寒し道さびし。
春の姿はたへなれど花の薫りはにほへれど其春よりも美はしく其花よりもかんばしき雲井のをちをめざしつゝ 大空高く鷲一羽 あらしはきびし道かたし。
背には無限の天(てん)を負ひ緑雲はねにつんざきて飛び行くはてはいづくぞや望のあした持ち來る高き薫りのあとゝめて 大空めぐる鷲一羽 あらしはつらし道すごし。
嗚呼コーカサス峯高く千重の叢雲むらだちて下界のひゞきやむところ天上の火を奪ひ來し彼のたぐひか青ぐもの 大空翔くる鷲一羽 あらしははげし道遠し。
萬有と詩人
Atque omne immensum peragravit mente animoque. Lucretius.
「渾沌」よさし窮りて時「永劫」のふところを出でしわが世のあさぼらけかざしににほふ明星の光に琴を震はして詩人よ君は歌ひしか。
流るゝ光りしづむ影過ぎし幾世の春秋ぞ巖は移り山は去り淵も幾たび替りけむおほあめつちの美はしきたくみは今もむかしにて。
あゝわだつみの波の花銀蛇の飛ぶに似たるかな仰げば空に虹高し虹にも醉はぬわがこゝろ波にもにぶきわがこゝろたのむは獨り君が歌。
生ける焔のバプテズマ浮世の塵を燒き掃ひ雲を震はせ風に呼び光に暗に伴ひて大空遠く翔けりくる詩神の歌を君聞くや。
あさ日の光りゆふ光りかれとこれとの染め替ふるたくみもよしや天雲(あまぐも)の輕羅のころも花ごろも曳くやもすその紅に詩神の影を君見るや。
「泉のほとり森のかげ光てりそふ岡((一))」のみかあしたの風の吹くところゆふべの雲のゐるところ露のしづくのふるところいづくか歌のなからめや。
流るゝ水のゆくところきらめく星のてるところ緑の草の生ふところ鷲の翼を振るところ獅子のあらしに呼ぶところいづくか歌のなからめや。
春は吉野のあさぼらけこむる霞のくれなゐも遠目は紛ふ花の峯夏はラインの夕まぐれ流は遠く水清く映るも岸の深みどり汨羅の淵のさゞれなみ巫山の雲は消えぬれど猶搖落の秋の聲潮も氷る北洋の巖を照らすくれなゐは光しづまぬ夜半の日か。路に斃れしカラバンの枯骨碎けて塵となり魂(たま)啾々の恨さへあらしにまじる大砂漠もの皆滅ぶ空劫の面影君はこゝに見む。
黒雲高くおほ空の照る日の影を呑みけして紅蓮の焔すさまじく巖も熔くる火のみ山あめつちわかぬ渾沌のおもかげ君はこゝに見む。
まぼろし追うてくたびれてしばし野末の假のやど結ぶや君よ何の夢さむれば赤したなごゝろあたりの風を匂はして笑むはやさしの花ばらか。涙にあまる思((二))とは歌ふをきゝぬ野路の花、荒磯蔭のうつせ貝聲なきものを何人か海のしらべをこゝろねを其一片に聞き((三))にけむ。
たかねの崖に花にほひ情波の淵に歌は湧く、無象を聲に替ふるてふ君が心耳(しんに)のきくところ空のいかづち何をつげ夜半のこがらし何を説く。
夜半のこがらし何を説く、「眠」の如く「死」の如くやさしき鳩の羽(はね)たゆくゆふべの空に下(お)るごとく詩神の魂(たま)の降り來て君が心をみたすとき。
夜の薫りの高うして天地しづかに夢に入るうちに聲なく言葉なくまたゝく窓のともしびに風の姿を眺めては思はいかに君が身の。心の窓も押しあけて眺むる空に流れくる星の行衞はいづくぞや清きアボン((四))の岸のへか咲くタスカン((五))の花の野かそれワイマア((六))の森蔭か。北斗は遠し影高し望の光り愛の色かれにもしるき參宿((七))のもなかにひかりかゞやきて(かたどる影は眞善美)三の星こそ並ぶなれ。
坤輿一球透き通り仰ぎて上に見るがごと下にも光る千萬(せんまん)の星の宿りを眺め得ば下界の名さへ空しくて我世いみじと知るべきを。まことの光りまことの美狹霧に蔽はれとざされて暗にさまよふわがこゝろたのむは獨り君が歌紫蘭の薫り百合花の色爲めに咲かなん君が歌。しらべも高くねも高くあらきあらしを和げて微妙の樂に替ふるてふ君が玉琴かきならし涙のうちにほゝゑみて暗のうちにもかゞやきて。
かのオルヒスのなすところ陰府(よみ)に繋がる魂を解きかのピタゴルの説くところ御空に星の樂を聞きかのプラトンの見るところ高き理想の夢に醉へ。
――――――――(註)(一)失樂園第三卷 (二)ヲルヅヲルス (三)ロセツテ (四)セークスピア (五)ダンテ (六)ゲーテ (七)オライオンの星宿
はるのよ
あるじはたそやしらうめのかをりにむせぶはるのよはおぼろのつきをたよりにて しのびきゝけむつまごとか。
そのわくらばのてすさびにすゞろにゑへるひとごゝろかすかにもれしともしびにはなのすがたはてりしとか。
たをりははてじはなのえだなれしやどりのとりなかむおぼろのつきのうらみよりそのよくだちぬはるのあめ。
ことばむなしくねをたえていまはたしのぶかれひとりあゝそのよはのうめがかをあゝそのよはのつきかげを。
哀歌
同じ昨日の深翠り廣瀬の流替らねどもとの水にはあらずかし汀の櫻花散りてにほひゆかしの藤ごろも寫せし水は今いづこ。
心ごゝろの春去りて色こと/″\く褪めはてつ夕波寒く風たてば行衞や迷ふ花の魂名殘の薫りいつしかに水面遠く消えて行く。
恨みを吹くや年ごとの瑞鳳山の春の風をのへの霞くれなゐの色になぞらふ花ごろもとめし薫りのはかなさは何に忍びむ夕まぐれ。
暮山一朶の春の雲緑の鬢を拂ひつゝ落つる小櫛に觸る袖もゆかしゆかりの濃紫羅綺にも堪へぬ柳腰(りうやう)の枝垂(しだり)は同じ花の縁花散りはてし夕空を仰げば星も涙なり。
池のさゞ波空の虹いみじは脆き世の道をわれはた泣かむ花の蔭其花掃ふ夕風に蝴蝶の宿を音づれて問はん「昨日の夢いかに」春を誘ふて蜂蝶の空のあなたに去るがごと玉釵碎けて星落ちてあはれ芳魂いまいづこ殘るは枯れし花の枝盡きぬは恨み春の雨。
盡きぬは恨み春の雨ともしび暗きさよ中の夢のたゝちをいかにせむありし昨日の面影に替はらぬ笑みも含ませて名におふ花の一枝は嗚呼その細き玉の手に。
海棠
盛りいみじき海棠に灑ぐも重し春の雨花の恨か喜か問はんとすれど露もだし聞かんとすれど花いはず。
夕しづかに風吹きて名殘の露は拂はれぬ風の情(なさけ)か嫉みにか問はんとすれど露もだし聞かんとすれど花いはず。
無題
光り玉しく露滿ちて百合花(ゆり)も薔薇(さうび)も蘭(あらゝぎ)も馨りあふるゝ園あらば君が踏み行く路とせむ。
流るゝ花を誘ひては海原遠く香をはこぶ清き野中の川あらば君がかゞみの水とせむ。
夕の空に現はれて微笑(ゑ)める光に塵の世を慰めてらす星あらば君がかざしの珠とせむ。
清くたふとく汚なく戀も涙も憐みもみつるやさしの胸あらば君が心の宿とせむ。
詩人
詩人よ君を譬ふれば戀に醉ひぬるをとめごかあらしのうちに樂(がく)を聞きあら野のうちに花を見る。
詩人よ君を譬ふれば世の罪しらぬをさなごか口には神の聲ひゞき目にはみそらの夢やどる。
詩人よ君を譬ふれば八重の汐路の海原かおもてにあるゝあらしあり底にひそめるまたまあり。詩人よ君を譬ふれば雲に聳ゆる火の山か星は額にかゞやきて焔の波ぞ胸に湧く。
詩人よ君を譬ふれば光すゞしき夕月か身を天上にとめ置きて影を下界の塵に寄す。
夕の思ひ
“Ova l'esprit dans l'homme ? Ova l'homme sur terre ?Seigneur ! Seigneur ! Ova la terre dans le ciel ?”
Hugo : Les Feuilles d'Automne.“O life as futile, then, frail !O for thy voice to soothe and bless !What hope of answer, or redress ?Behind the veil! behind the veil !” ―Tennyson : In Memoriam.
(一)
思入日を先きだてゝたそがれ近き大空にうかびいざよふ雲のむれ暮行くけふの名殘とて見るめまばゆきあやいろを染むるは何のわざならむ。あるは幾重の空のよそあるは幾重の嶺のうへかろく流るゝくれなゐはセラフ、ケラブの旗を見せゆるく靉びくむらさきはあまつをとめの裾や曳く。夕/\の空の上替るもゝちの面影を替らぬ愛に眺むればたゞ聯想の端(はし)となる雲よ自在のはねのしていづくのはてに翔けり行く。あゝ夕雲のかけりゆく空のあなたぞなつかしき心の渇きとゞむべきそこに生命(いのち)の川あらむ眞理のかどを開くべきそこに秘密(ひみつ)の鍵あらむ。嗚呼夕雲のはねのうへたれか「涙の谷」棄てゝ荒鷲翔けり風迷ふ空のあなたに飛行かむ浮世の暗にしられざる光はそこにてるべきに。花より花にむれとびて蜜を集むる蜂のごと星より星に光をと飛行く魂を眺めけむ詩人((一))のくしきまぼろしをたれかうつゝに返すらむ。
(二)
消えしエデンの花園のおもわは今も忘られずほす味にがきさかづきの底なる澱(おり)に醉はんとて塵の浮世に塵の身はかくもいつまで殘るらむ。涙の谷にさまよひてねぬ夜の夢に驚けばこゝにバイロン血に泣きて「死と疑の子」となのりこゝにシルレル聲あげて「理想は消ゆ」と※[#「口+斗」、13-下-5]ぶなり。アボンの流((二))しづかにてすゞしく月を宿せども見えぬそこひに波むせびグラスメヤア((三))の水面(みなも)にもうつる此世の影見ればたゞ海神(かいじん)の((四))なつかしや。さればラインの岸遠く思をこめ((五))て人は去りゼネワの夏の夕暮はよその恨の歌((六))を添へ深き嘆はネープルの波も洗ひ((七))や得ざりけむ。波に照れとて空の月花に舞へとて春の蝶「自然」のわざは妙(たへ)ながら世に苦めと塵の身を暗に迷へと玉の緒をつくる心のしりがたや。かゞやく星に空かざり玉しく露に地を粧ふ神にたづねむいかなればなまじの絆人の子の心に智慧の願あり胸に悟の望ある。
(三)
荒れのみまさる人の世にせめては匂ふ戀の花脆きはたれの咎ならむ星の眸(まなざし)月の眉たゞ思出の種としていづく消行くまぼろしぞ。母の乳房にもたれつゝ宿すもゆかし春の夢見なば魔王もゑみぬべき稚子の眠りもひとゝきややがて寄來ん世のあらしつらきあらしのさますらむ。つらきあらしを譬ふれば陰府(よみ)なる門(かど)のきしりかも脆き、弱きをにへとしていけるをきほふ世々の聲うちに恨の叫ありうちに憂の涙あり。民のもゝちの骨枯れてひとりのいさを成ると説くそれにもまして痛はしき個人(ひと)の嘆と悲と涙と血とに買はれたる社會(このよ)の榮(はえ)はたがためぞ。時劫の潮とこしへに寄するあら波返る波浮きて沈みて末つひはたゞうたかたのよゝのあといづれの時かいつの世か亂れ騷ぎのなかりけむ。世界の富を集めたるローマの榮華夢と消えこがね鏤ばめ玉しきしニネブ、バビロン野と荒れて砂上につきしバベル塔今はた何を殘すらむ。嗚呼人榮え人沈み國また起り國亡びかくてりて極みなくかくて流れてはてもなく時よ浮世よいづくより時よ浮世よいづちゆく。
(四)
ひとり思にかきくれてたゝずむ影もゐる雲も消えてむなしき夕まぐれ神の慈愛のまなじりかみどり澄みゆく大空にはやてりそむる星のかげ。あゝなつかしの星の影夢と過行く人の世に猶「永劫」のあと見せてあめとつちとの剖れけむむかしのまゝにとこしへにわかき光に匂ふかな。其永劫の面影を仰げば我に涙あり高くたふとく限りなき靈のいぶきに扇がれて空のあなたにかげとむる「望」のあとに喘ぎつゝ。天(てん)には光地には暗あひにさまよふ我思ひ浮世の憂を吹寄せてあらし叫びぬ「惱よ」と神の光榮(ほまれ)をほのみせて星さゝやきぬ「望よ」と。
(註)(一)ダンテ「神曲」中「天國篇」を見よ。 (二)セークスピアの故郷の川。 (三)ヲルヅウヲルス住所の傍にありし湖。 (四)プロテアス及びトライトンを指す、有名なる“The World is too much with us”の歌を見よ。 (五)「チヤイルド・ハロード」第三篇第五十章及其續きを見よ。 (六)ラマルテーン此處にバイロンを見後日當時を追想して「人間」と題する沈痛悲壯の詩を詠ず。 (七)セレイの“Stanzas written in dejection, near Naples.” ――――――――――
岸邊の櫻
春靜かなる里川の岸のへ匂ふ花櫻水面の影にあこがれて涙灑げる幾たびか。おのが影とも花知らず光のどけき朝日子に姿凝らして水面をあゝ幾度か眺めけむ。影ものいはじ水去りていつしか老ゆる花の面うつらふ色を眺めては思やいかに夕まぐれ。春も空しく暮去れば梢離れてあゝ花よ水面の影と逢ひながら行くゑはいづこ末遠く。
花一枝
ラインの岸に花摘みて別れし友に贈りけむ詩人を學びわれもまた君に一枝の夕ざくら。あしたの柳露にさめゆふべの櫻風に醉ふ都の春の面影をせめては忍べとばかりに。通ふ鐵路も末遠く都の春は里の冬玉なす御手に觸れん前萎み果てむかあゝ花よ。萎み果てなむ一枝を空しく棄てむ君ならじ心の色に染めなして寢覺の窓にゑましめよ。 ――――――――