『SとM』

鹿島茂

幻冬舎新書


<>は引用です。


<Sは几帳面で、どんなものにも段取りをつけなければ気が済まないひとで、自分の敷いた路線に従ってくれる相手に加虐というかたちでの「奉仕精神」を持つのに対して、Mは、ズボラで自己中心的、他人の事など一切眼中になく、ひたすら自分の欲望を追求したがるものです。>


<Mは「注文の多い」ヘンタイさんなのです。>(←うん、そうだね。兄、談)


このような結論をキリスト教史、西洋思想史を土台に、「読ませる」力はすごいですね。


キリスト教が、北方へ伝わる間に、その土地固有の信仰とまじわっていく過程に対する、

著者の主張は、スリリングですね。


<ゴシックのあの荘厳な大聖堂は、ケルト・ゲルマン系の森のアニミズムを信ずるフランスやドイツの異教徒的農民の信仰を吸い上げて、そっくりキリスト教徒世界に移し替えた、森の代置物だったのです。>


団鬼六に関してはそれほど多くは割かれていませんが、著者の謙虚さ故でしょう。