10/20(木) 本田珠也(ds) 和泉聡志(gt) 須川崇志(bass)  | APOLLO スケジュール

 

 

 

 

 

      

 

 

 


10/20(木) @APOLLO Shimokitazawa

 

本田珠也(ds) 和泉聡志(gt) 須川崇志(contrabass)  

 

open 19:30 / start 20:00
OPEN CHARGE(投げ銭)for musicians *投げ1000制!
& 800yen (bar charge) + drink order
下北沢APOLLO 東京都世田谷区北沢2-9-22 EIKOビルB1

 

《APOLLO schedule》
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《map・道順》
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僕の好きなユニットにGATEWAYがあります。
GATEWAYと書いてもわからない人もいるかも知れませんので、少し記しておきます。

ギタリストJOHN ABERCROMBIE、ベースDAVE HOLLAND、ドラムスJACK DEJOHNETTEからなるトリオ編成で、ドイツの名門レーベル「ECM」から4枚のアルバムが発表されている。確かリーダーはJOHN ABERCROMBIEだったような気がするのですが、ジョンのWikipediaを調べたところディスコグラフィに掲載されていなかったので、実質的にリーダーを決めていないということであろうか。アルバム表記はGATEWAYとなっているけど、確かジャックのアナウンスで「GATEWAY TRIO~」と言っているの聞いたことがあるので、GATEWAY TRIOでも言い方構わないと思う。

個人的には1974年のジョンのリーダ作「TIMELESS」と1975年発表の「GATEWAY」は超名盤と位置付けている。そしてこの2枚を聴いていないドラマーがいたとしたらドラマーとして、いやミュージシャンとして認めない、と断言したいくらいに僕にとっては最重要なアルバムなんです。
何がそんなに魅力的なのか?それは物凄く三人が「勝手にやってる」感がハンパないんです。

もちろんジョン、デイブ、ジャックの類稀な才能を聴くのが喜びでもあるのですが、統制とか調整とかそういった「枠」をいったん外して分解してしまい、それを三人がまた一から想像しながら作り直す。というような作業。で分解してしまったものがまた同じものに戻る時もあれば、全く違った「歪」なものになったり、違った方向性から展開が変わりテンポが変わりリズムはポリリズムの応酬で量子化(これはジャックの得意とする演奏スタイルで、GATEWAYというユニットはこのジャックの音楽的ディレクションが濃厚に出ている。それはジャックがマイルスのところに入ったばかりのころマイルスから「もっとリズムを壊すように叩け」とアドバイスをもらったところから起因していると想像できる)したり、滝のような音符が際限なくなると一つの繋がりになるように無色透明のようなスペースができたり、べったりとした油絵具でトコトンまで塗りたくってみたり。とにかく僕の感情に呼応するかのように極端なシチュエーションが次から次へと起こる。極端なものから中庸な姿勢。まさに自由闊達という言葉ぴったりハマる世界でも珍しいユニットなんです。
 
個人的(あくまで個人的だけどそれを他のセッションやバンドで実践するのは失礼なのかどうなのか。ある時、僕と一緒に演奏していたミュージシャンが僕にこう言った「ケイ赤城とやってる演奏を持ち込まないでくれ!」と言われたことがあるので、やはりこういう風に思っているミュージシャンもいるということというのは事実)に彼らの思想というか音楽的な概念を理想として考えている。時空が捩れるような瞬間が欲しいし、リズムに囚われた囚人のようなプレイヤーに収まりたくないし、それよりももっと音楽的なアイデアというのは様々にあると思うんですね。それをいわゆる「普通」のセッションやバンドに持ち込んでもただ「暴れてる」とか「何バカやってんだ!?」みたいな解釈しか生まれないんだけど、それを理解出来るミュージシャンと演奏できるのはこの上ない至福の喜びなんです。

「彼らは彼らのやり方なんだからお前のオリジナルの演奏スタイルでやらくてどうする」なんて言われたら元も子もないけど、でも彼らのスタイルを実践して来ことが今の自分のスタイルの一端になっているし、幅広いジャンルへの免疫や抗体も出来ているのだからそれはそれで彼らの音楽に出会えてよかった。突然変異ではないけど、何か自分でワザと病原菌を体内に注射しそれがどのように年月をかけて変化して行くか、そんな人生をかけた音楽実験でもあるような気がします。

万人がそのような音楽を好きになるわけじゃないし、皆がそれを好むことは絶対にないけど、どんなに古臭いと言われようが何しようがこの「GATEWAY」を生涯嫌いになることはないし、音楽的な指針であることは間違いないのです。皆さんにもきっと同じような感情がある筈ですよね。

ということで前置きが長くなりましたが、下北沢BAR APOLLOにて僕なりのGATEWAYのhommageをしようと思っています。ギターは古くからのMY BUDDYの和泉、そしてベースは最近一番信頼している須川という布陣。アポロはとてもリラックスできる素晴らしいお店ですので、お気軽にお立ち寄り下さい。お楽しみに!


本田珠也