『息ができない』
相当の心的負荷をかけているとわかっていても、今、逃げるのは嫌だ。
向き合う機会だと、直感が告げる。
自分を見つめる苦しさから逃げるのには、飽々しているんだ。来いよ。
『息ができない』
喘いでも空気は通りすぎて、肺には入ってこない。
ほんとうの意味で楽になりたいのなら、目を閉じて耳を澄ませればいい。
そうすれば心は勝手に話しだす。
きっと全てを知っていて、ありったけを与えてくれた先祖たち。
そして全力で守り続けた家族。
欠けているものが多すぎるから。
だから生き抜く力を、ありったけ受け継がせてくれ、守り育ててくれたたのではないか、と思い至ったら知らない感情に支配された。
分類不可能な妙な感情。
『息ができない』
でも、考えることは出来る。
最高の状況。
息をしようと、脳が最高に冷えてる。
あらゆる人達が、あらゆる思いを持って、あらゆる方法で、守り続けてくれていることを唐突に理解した。
結果じゃない。
その事実と想いを知るってこと、だと直感したとき。
目の前に広がる思い出の光景が、全く知らないものに変わった。
家族に対する考え方が、様変わりした。
家族だけじゃない、関わりを持った人たち全て。
それぞれの様々な思いを抱えて、それぞれのやり方で、接しているということ。
それを、その想いを、ちゃんと理解すること。
本当だ。
「あんたのため」と口にしていたじゃないか。
そのまんまじゃないか。
その時抱いた感情だけを後生大事にするのではなくて、アタシのために何かをしようと、してくれた、その想いを覚えていればいいんじゃないか。
それは常に感謝し続けられる心の持ち方に、繋がるんじゃないか。
そう思えた時、泣きたくてたまらず、しかし泣けずにいた。
ちゃんと時は進んでいる。
アタシの時間はもう、止まっていない、不規則ながらも時を刻んでいる。
時が刻まれると、周りの景色と同じ時間を進むのだと知った。
予期せぬ救いの手が差し伸べられた。
迷わずにその手を掴んだ。
声を上げて泣いていた。
嬉しさとか感謝とかで出来た何かが一気に込み上げて、声を上げて泣けた。
「嬉しい」「ありがとう」
それしか言えずに泣いた。
それだけで十分伝わった。
伝えたい言葉は、シンプルがいいと、また知った。
アタシのためだけの時間を、アタシは今生きている。
誰かの力になりたいなら、自分のために生きられるようになってからでも、十分間に合う。
その道中でも出来ることはある。
だから、気を使い回しすぎないでいい。
その時浮かんだ、たった一言でもいい、と教えてもらった。
気がついたら大笑いをして、もっともっとと、大きく息をしていた。
ほら、また乗り越えられた。
この気持を大事に、そして血肉に変えて。
歩いて行くとしようか。
いい加減泣き止め。
