敬浩「澪さん?」
そこには傘もささずにずぶ濡れになった
澪さんがいた
僕は慌てて澪さんに駆け寄り
傘を差し出した
敬浩「どうしたの?!こんなに濡れて! 」
澪「待ってたの…」
敬浩「待ってたのって、僕のことを?!」
黙って頷く澪さん
敬浩「にしても、こんなにずぶ濡れになるまで、だめじゃないですか!風邪ひきますよ!」
敬浩「ちょっと中に入りましょう」
僕は着ていたコートを澪さんにかけて
会社へと戻った
みんな退社したあとで誰もいなかった
会議室へと澪さんを通す
敬浩「ここ座って。タオルここにあるから、頭拭かなきゃ、風邪ひいちゃう」
澪「ごめんなさい…ありがとう…」
敬浩「ちょっと待ってください、温かいもの持ってきますんで 」
ハーブティーを入れて澪さんに差し出した
敬浩「彼と…何かありました?」
澪「どうしてそれを」
敬浩「最近よく見かけましたよ」
澪「………」
敬浩「僕には彼に無理やり引き寄せられてる気がしました」
澪「 ………」
敬浩「わざとですよね?」
敬浩「わざと僕に見えるように」
澪「……」
敬浩「それに、僕のこと見てた。違いますか?」
澪「あなたなら…」
敬浩「え?」
澪「田﨑さんなら、私を救い出してくれる気がして」
敬浩「救いだす?どういうことですか?」
澪「抜け出したいの…彼から…」
綺麗な瞳のその奥に
不安な思いが溢れていた
小刻みに震えてるその肩は
雨に濡れて寒いからなのか
何かに怯えているのか
敬浩「大丈夫だから、ちゃんと話を聞かせて」
震える澪さんを引き寄せ
握りしめたその手
何かが動き出した気がした
あなたの力になりたい
あなたを守りたい …
そう、思った




