僕だとわからなかったのだろうか
いや、確かに僕は澪さんと目が合った
僕だとわかったから?
慌てて目を逸したその意図は
一体なんだったのかと
気になって仕方なかった
週末barで澪さんに会った時も
その話には触れなかったので
敢えて僕から話すことはなかった
つまらない僕の冗談にいつも笑ってくれて
そしてその笑顔に癒やされ
その綺麗な瞳に
僕は毎回吸い込まれそうだった
僕の会社はbarを挟んだ向かいの通りにある
ある日ふと窓の外を見ると
澪さんがいた
いつもの着飾った澪さんとは違って
ラフなパーカーにジーンズ姿だった
その時澪さんが僕を見つけて
また慌てて目を逸した
まただ
澪さんは僕のことを見ていた?
そんなはずはないか…
けど、その次日
今度は彼と並んで歩いてる澪さんを見かけた
これは偶然なのか?
澪さんが少し俯くと
彼が澪さんの手を引っ張り
強引に引き寄せた
その瞬間、後ろを振り向きこちらを見上げた
敬浩「え…」
手を引かれながらも
ずっとこちらを見ている
澪さんは僕を見ている
偶然なんかじゃない
確かに澪さんは僕のことを見ていたんだ
それはまるで何かを訴えるかのように…
そして、いつものように
仕事帰り、会社のエントランスを出て
信号待ちをしていると
目の前に
傘もささずにずぶ濡れになって佇んでいる
澪さんがいたんだ




