華子「うん。大丈夫」
直人「じゃ、直営店までつきあって」
そう言っていつもの通り直人の運転する営業車に乗り込んだ
いつものように助手席に座ってからハッとする
いつもは桃子や岩田くんがいるのに
今日は2人きり…
思えばこんなことは初めてだ
直人と2人きりになるなんて初めてだ
そう思うと急にドキドキしてきた
ドキドキしてる私をよそに
直人は饒舌に展示会の成功話をしていた
私は相槌を打つものの
頭の中はこの2人きりの空間から早く出たいと思っていた
このドキドキが直人にバレないように
早く車から出たかった
直人「よし!着いた!」
華子「ここが直営店の○○?初めて来たよ」
直人「そっかまだ来たことなかったか。入って。」
直人は手慣れたように鍵を開け店内へと入っていった
直人「えっと、さっきの企画書のことだけど」
華子「プロデュースって?」
直人「そ。おまえにレディースのプロデュースお願いしたい。」
華子「そんな、私なんかじゃ…」
直人「おまえだから頼めるんだよ。」
華子「なんで私なんか」
直人「これ見ろ」
華子「やだ、これ…」
直人「おまえが描いたロゴデザイン。すっごく気に入ってさ、机にあったのこっそりコピーした」
華子「いつのまに…」
直人「ちょっと手直し加えたけど部長に見せたらGoサインがでたよ」
まるで自分のことのように次から次に嬉しそうに話す直人
直人「やったな!hanakoブランドの誕生だ!」
何がなんだかわからず唖然としてる私に
直人はパチン!とハイタッチした
私がレディースをプロデュース?!
そして私がデザインしたお花のマークの下にはhanakoのロゴが。
嬉しい…
自分のデザインしたものが商品になるなんて
夢にも思わなかった
直人「俺の目に狂いはなかったってこと。」
華子「ありがとう…直人」
直人「頑張れよ、華子!岩田いっぱいこき使っていいからな(笑)」
華子「うん!頑張る!」
pull♫pull♫…《着信音》
直人「ちょっと、ゴメン…」
華子「うん、いいよ」
自分のブランドが出来る喜びよりも
直人への期待に答えられたことが嬉しかった
直人に認められたことが、嬉しかった。
けど、頑張れ!って…
頑張ろう!じゃなくて頑張れ!なの?
直人「え!孝太郎が?よし、わかった、すぐ行く」
孝太郎?聞いたことない名前…
華子「どうかしたの?」
直人「ごめん、ちょっと急用出来ちゃって。送ってくつもりだったんだけどさ、」
華子「いいよ、大丈夫。まだ終電あるし」
直人「タクシー呼ぶから、乗ってけ」
華子「いいよ、駅まで歩いてくし」
直人「ダメダメっ、タクシーで帰れ!課長命令だ」
華子「なにそれ?笑。わかったよ、タクシーで帰ります」
直人「おう!そうしてくれ!」
直人「気をつけて帰れよ!じゃ、華子、また会社で。運転手さん、お願いします」
華子「うん。また会社で」
ねぇ…
どうしてそんなに優しくしてくれるの?
まだ…
まだ直人と一緒にいたかった
タクシーが発進したのを見届ける直人
サイドミラー越しに見ると
パッと振り返り急いで電話をかけている直人が写る…
ねぇ…直人
誰に電話をかけているの…





