……隆史side………
慎重派で誰にでも優しく接し、でも恋には少し奥手な兄貴と
社交的で誰とでも気兼ねなく接する俺
見た目は同じ双子でも
中身の性格は全く違っていた
よく母親にあなたたち足して2で割ったら丁度いいのにねって、冗談で言われていたほど。
そんな性格もあってか俺には女の子がよく寄ってきた
あれは3年前の大学4年の時だった…
"おまえ、取っ替え引っ替え遊んでないで、早くちゃんとした彼女作れよ"
それが兄貴の口癖で
またかよ、と思いながらも
俺は言い返すことが出来なかった
兄貴にはこの先を誓ったちゃんとした彼女がいたのを知っていたから。
何に対しても真面目な兄貴を尊敬していたし、その性格を羨ましいとも思っていた
俺にはないものを持っている兄貴が羨ましかったと同時に、俺も兄貴みたいになりたいと思っていた
そんなある日、大学の寮から久しぶりに実家に帰って来た俺
玄関の前で見知らぬ女の子に会った
♡「これ、忘れてったでしょ」
見慣れない帽子を持ってこちらに笑顔で差し出した
隆史「きみ…誰?」
♡「え?何言ってんの?」
すぐに兄貴の彼女だと悟った
隆史「あ〜、兄貴の…」
♡「兄貴って…もしかして、双子の弟の…隆史くん?!」
隆史「そうです、弟の隆史です」
♡「やだー!!そっくりで間違えちゃったー(笑)やっぱ弟くんもカッコイイんだー」
隆史「いや、そんなことないよ。兄貴よりモテるけど。なんつって(笑)」
♡「やだ、面白い(笑)」
隆史「兄貴ならもうすぐ帰ると思うけど、部屋で待っとく?」
♡「いや、私これからバイトだから。じゃ」
そう言って俺に帽子を手渡して
彼女は帰っていった
そういう事が何度かあって
俺は兄貴の彼女と顔を会わせることが多くなった
なぜ兄貴がいる時に来ないんだろ…
そう、不思議に思いながら。
ある日、その彼女に兄貴のことで相談があると
近所のカフェに呼びだされた
隆史「どしたの?兄貴のことで相談って。そういや最近兄貴の様子おかしいんだ…。もしかしてケンカでもした?」
隆史「はっ?…」
なんだよそれ…
俺のことよく知りもしないくせに
顔が似てるからって
兄貴がだめなら俺は?って
どっちでもいいみたいじゃんか
隆史「あ〜、悪いけど俺にその気はないよ」
♡「私にとって剛典は少し刺激が足りないの」
隆史「だったらなんで付き合ってんの。兄貴、あんたのことすっげー大切に想ってるよ」
♡「退屈なんだ〜剛典じゃ。真面目すぎてさ。ねぇ、剛典と別れるから、私と付き合ってくれない?」
隆史「なんだよそれ、結局どっちでもいいんだろ、あんた!」
兄貴が彼女のことすごく大切にしているのを知っていたから
胸が苦しくなった
きっとこのことを知ったら兄貴は傷つくだろう
この先もずっとと思っていた彼女がまさか…
俺がその歯車を狂わせてしまったんだ
双子であることを
心から悔やんだ



