健「俺はおまえが好きやねんから…」






ドアを閉めていても聞こえてきた


健二郎さんの声…


傷口に塩を塗るような


そんなこと…





俺はたまらず杏のこと引き寄せて


抱きしめてた





杏「岩ちゃん…?」


岩「こんな辛い想い、いつまでするんだ…」






岩「大丈夫か…」


杏「岩ちゃん…私もう平気だよ」


岩「おまえの元気で明るい性格、すごいと思うよ。でも、そんなんばかりじゃ、おまえ疲れちゃうぞ」


杏「ありがとう。岩ちゃんだけだ、そんなこと言ってくれんの」


岩「ムリだったらムリってちゃんと言わなきゃだめだぞ」


杏「大丈夫だよ。ほら、仕事、仕事」




杏は俺の腕をすり抜けるように


リビングの机に向かった


明るく見せてるその姿が


なんだか切なかった


俺にもっと頼ってほしい


杏のこと


ほっとけなくなってる自分がいた





Pull Pull〜♫



岩「あ、直人さんから電話だ!」



ピッ



岩「お疲れ様です!直人さん!」


直「おう、お疲れ!あのさ先日先方から預かってきた見積書が見当たらないんだけど、知らないか?」


岩「え!?見積書ですか?」


杏「あ!私が預かってたやつだよね?」


岩「杏知ってるの?」


杏「うん、確か私のカバンに…」


岩「直人さん、杏が持ってるみたいです。」


直「お、そっか良かった。明日必要だからさ。明日でいいから持ってくるように杏に伝えといて」


岩「はい!了解です!伝えておきますんで。はい、お疲れ様でーす」



ピッ





岩「あった?見積書?明日持ってきてって」


杏「…ない、ない…あれ?」


岩「どうした杏?」


杏「見積書が見当たらない」


岩「マジで?ちゃんと探した?」


杏「あ!もしかして…」


岩「なに、どうした?」


杏「どうしよう…岩ちゃん…」


岩「杏…?落ち着け、どうしたんだ?」


杏「会社の…」





杏「会社のシュレッダーに…かけたかもしれない…」