そっか…


俺からじゃなく


楓から触れるのは大丈夫なんだ




「楓?」





《な〜に?》


「どうしてまた、俺の前に姿現してくれたの?」


《剛典のせいじゃないから》


「…あの日のことか?」


《防ぎようのない、運命だったんだよ》


「だって、俺があの時電話で」


《うん、そうだね…。ちゃんと私の話最後まで聞いて欲しかったけど、そのことで剛典が責任を感じてるのならそれは間違いよ》


「俺の悪い癖だ。あの時はあとで謝ればいいって…。まさかこんなことになるなんて…」


《付き合い始めたときに剛典の大切にしてた指輪、私にくれたじゃない?あれにチェーン通してネックレスにしてたの、覚えてる?》


「覚えてるよ。」


《あれをね…社員旅行に行った時になくしてしまったの。ごめんね。でも剛典に悪くて同じものを探そうとして…》


「そうだったんだ…」


《旅行から帰ってきてすぐにデートの約束してたのに、会えなかったのはそのせい…。剛典なんか勘違いしてるみたいだったから。ごめんね。》


「そんな…そんなことで、そんなことで俺は…。バカだな俺。」


《電話を切ったあと、どうしても剛典に会いたいくて…》


「だから、こうして会いに来てくれたんだな」


《ちゃんと気持ち伝えたかったから。》


「ありがとう」


《ねぇ、またあの思い出の場所に行こうよ》


「行けるの?うん。行こう!」






俺達は


出逢った頃によく行っていた場所へでかけた








夢みたいだ


俺から楓に触れさえしなければ


楓は消えなかった


手をつなぐ時も必ず楓から俺に触れる


そうすれば生きていたころの楓と同じように


一緒に過ごすことができた






楓を腕の中に感じてる


時間が止ってくれればいいと思った


いなくなってしまった楓と


またこうして過ごすことができるなんて


誰が信じるだろうか


けど、確かにこの腕の中に楓がいる



「楓…」


《なに?》


「キス…してくれないか」


《……》


「だめ…かな?」


《剛典…》







楓の方から触れた唇…


それは暖かくて


柔らかくて


初めてあの観覧車の前でキスした時みたいに


心のドキドキが止まらなかった…


「愛してる…楓」






虚ろな楓の瞳から涙が溢れ落ち


なんとなく


気づいた気がした





もうすぐ本当の


タイムリミットが近づいていることに…