ぎゅっと剛典に抱きしめられる


このまま身を任せてしまったら…


いけない。


思い浮かんだのは臣の顔だった









何かを察したように剛典が起き上がる


「本当はそれを言いに来たんだろ?」


『え…』


「あんな別れ方したから、ちゃんと俺に伝えたかったんだろ?」



剛典には…

どうやっても伝わってしまう




「俺に同情なんかしなくていい。俺、そんなに弱くないし」



「結婚するならなおさらだよ。」






すくっと剛典が起き上がり


私に背を向けた





「俺…、臣さんと約束したんだ。」









希美と付き合ってる頃に、臣さんに言われた…。“希美ちゃんが寂しがってる、相手してやれよ”って。



そんなこと、気持ち隠してる臣さんになんで言われなきゃいけないんだって、
大体なんで希美のやつ臣さんにそんなこと相談してんだよ!ってそん時は思ってて


思わず言ってしまったんだ、



“だったら臣さんが相手してやって下さいよ”って。







本気で言ってんのか?って言われた。


本気なわけない。嫉妬心から出た言葉だ。


あの頃、俺は自惚れてたから


希美が臣さんのこと気になりだしてるなんて


思いもしてなかったから…









臣「そんなこと言って、もしものときは俺がもらってっちゃうよ。それでもいい?」




は?何言ってんだよ、いまさら


希美が臣さんとこに行くわけないだろ?って


自分のプライド傷つけられたみたいで



“いいですよ。俺以上に希美のこと幸せに出来るって約束できるなら。”



って言ってしまったんだ。


取り返しのつかない一言を…