あれから俺はあの子の事が気になっていた


耳が聞こえないことを感じさせないくらい


彼女は明るく、こっちが笑顔になってしまうくらい、すごく自然に振る舞っていた。


あの子に会うにはこの店しかないと


俺はバイトが終わるとすぐに店にかけつけていた


いた!!


今日はあの子がいた


「お久しぶり」


彼女の肩をトンと叩いた


『!!』


✏『お久しぶりです』


「今日も一人?待ち合わせ?」


✏『はい』


「あー、加奈ちゃんだっけ?この前、彼にそう呼ばれてたから。」


✏『覚えてくれてたんですか!加奈です。お名前は…?』


「あ、俺、岩田剛典って言います。みんなからがんちゃんって呼ばれてる」


✏『がんちゃん♬。それと、彼じゃなくて、兄なんです』


「あ、あれお兄さんなんだ!」


✏『学校の日は帰りが心配だからいつも一緒に帰ろうって』


「いくつ?学生さん?」


✏『20歳です。専門学校で、ネイリストになるための勉強してます』


「へ~すごいじゃん!夢があって素晴らしい」


俺なんか夢もなくとりあえずダラダラと大学生やってて…




ちゃんと頑張ってるんだ…

なんか、すごいな…






俺はますます加奈ちゃんのことが気になりだして


加奈ちゃんと話したいって思って


加奈ちゃんに手話を教わったりして


俺達は自然に仲良くなっていった


連絡先も交換した


Lineなら普通に会話できるし。







でもある疑問があって…










加奈ちゃんの“声”を聞いたことがない


耳は聞こえないけど


声って出ないのかな





そんな時、電話があったんだ


加奈ちゃんの、お兄さんからだった





「君か?最近加奈に会ってる男って。興味本位で近づいてるならやめてくれないか。」



え…


俺ってそんな風に思われてたのか?