「君は日本人か?」
ハリウッドの中心街にある露店で働く気さくなアメリカ人が話し掛けてきた。
彼の名前はヘクター。
自分が無一文でアメリカにきた事を説明すると、彼は御飯をご馳走すると言って、ロサンゼルスにある吉野家に連れて行ってくれた。
それだけでなく、家に泊めてくれることになり、そこから今日までの5日間、お世話になることになった。
そして、迎えた初日の晩。
なぜだか寝る場所が彼との共同ベッド!
色んな想いが頭によぎるも、夜も遅く、ベッドの隅に寄り、寝ることにした。
朝、起きると、ヘクターはある告白を俺にした。
「僕は、ゲイなんだ。これを言えば、僕は君と友達になれない気がして、始めに言えなかった。」と…。
しかし、その言葉には、シンプルに俺と友達になりたいという想いが同時に込められていた。
俺は、言った。「君がゲイだろうとなんだろうと友達には関係ない。ありがとう!」
そこから、毎日のように映画館に行ったり、
寿司をご馳走になったり、至れり尽くせりで
僕は、彼と一緒に楽しんだ。
その間も晩の寝床は、やはり彼と一緒のベッドだったが、彼は僕に指一本触れなかった…
そして、彼の家で迎えたニューイヤー。
沢山の彼のゲイの友達が集まり、ステーキを焼いて、ビールやワインで乾杯!
「ジャパニーズちんこちんこ」と叫ぶゲイの真ん中で、カウントダウンと共にシャンパンを開けてる俺が居た(笑)
年が明けて、酔っ払ったヘクターと少しYouTubeのことで喧嘩になった。
俺の英語力の低さにヘクターとの動画をYouTubeにアップしようとしてることが伝わってなかったからだった。
俺も自分の伝える技術の低さに腹が立ち、そこから少しヘクターとの距離が生まれた。
だけど、ヘクターは、変わらず俺を迎え入れてくれ、変わらない笑顔で飯をつくってくれた。
そして、いよいよ、ヘクターの家を出る前夜。
俺は、ヘクターに素直に謝った。
簡単な言葉なのに言えなかったこと…
「ごめん。」
その後に俺は、言った
「ちゃんと伝えれてなかった。
君を悪い気持ちにさせてしまった。
でも、僕は、君みたいな親切なアメリカの友達との出会いを日本に伝えたくて動画を撮ってる。」
すると、ヘクターは、笑いながら言った。
「あー!前の件は、ジョークだよ。
僕は全く怒ってないし、むしろ動画を撮られてハッピーだ。日本の君の友達に僕を知ってもらえるからね!何より、君と友達になれたことが幸せだ。そして、その動画で一生、僕の事を忘れないで欲しい」と。
僕は、感動して、涙が出そうになった。
その瞬間、言葉を超えた気がした。
と同時に想いをちゃんと伝えることの大切さも痛感しました。
アメリカへ来て、まだまだ間も無いけど、
言語や人種、性別を超えた友達ができました。