青春とは何か。
それを高校2年の頃に考えた。


周りからは、俺が高2と言うと、
「青春、真っ只中だねえ~」なんて
Facebookのいいねみたいな言葉を言われたものだ。


しかし、そのときの俺は、ボクシング真っ最中!
高校野球の「みんなで甲子園目指そうぜ」みたいな熱い青春物語というより、

高校ボクシング部のなかった俺にとって常に学校が終わるとジム通いの孤独との戦い。


それも青春だと思ってたけど、
俺が憧れた高校生活ならではの青春の甘酸っぱさとは違う気がした。


そんなときにテレビで再放送されていた高視聴率ドラマ「ウォーターボーイズ」を見た


このドラマは男子高校生たちが、シンクロに挑む青春活劇。
モデルは男子校の埼玉県立川越高校の水泳部が実際に1988年から文化祭の演目として行っているシンクロ公演。※Wikipedia参照


確かにWikipediaにも、こう書いてある…「青春活劇」!!


そのドラマの中でも、俺がまさにと思ったシーンは、

主人公含む男子シンクロ部の数人が
プールで練習をしようと試みるが、その高校では、日中、すでに水泳部がプールを使っている。


練習場所を確保ができない彼らは、深夜の学校プールに侵入し、
シンクロを思う存分練習するシーンだ

それをブラウン管で見た俺はすぐにピンと来た!



これをしよう!

その日のうちに友達5人に電話をかけ、2日後にこれを決行しようと企んだ。

青春活劇をリアルに再現するんや


がしかし、そのときの俺達には、壁が立ちはだかった。


それは




それは





学校に設置されたセコム。

セコムがあるがゆえに容易に学校に侵入することはできない。


そこで俺が考えたのが、
「セコムしてますか?」作戦!


日中、学校に集まった俺たちは、プール近くのセコムを隈なく調べた。

そして、俺はと言うと、1人で職員室に乗り込み、直接、先生にこう言った。



「この学校、セコムしてますか?」



先生と談話しながら、学校のプール近くのセコムを全て教えてもらうことに成功!


いよいよ、その日の深夜。

青春活劇決行の時が来た。


学校近くの駅に集まった俺たちは、
チャリで学校へ向かう。

いつもの朝の登校とは違うドキドキ感。
それは俺たちの冒険心から来る心臓の鼓動。


いよいよ、プール近くに到着!

塀をよじ登り、
からだをねじらせ、セコムをかいくぐる。


「俺たちは無敵だ!!」と中二病全開の言葉を胸に

プールの侵入に成功すると、俺は
あることに気付いた。



水着を忘れた…



だけど、そんなことは特に気もかけない俺は、服を脱ぎ捨て全裸になり、先頭きってプールに飛び込む!


水しぶきが静かな学校に轟音を立てた。


「お前、水立てすぎ!誰か来たらどうすんねん!」

そう言いながら、友達達も恐る恐る水に入り、静かに泳いだ。


俺は無我夢中で泳ぎ、深く潜った。


いよいよシンクロの練習の決行だ。



俺は、深く潜って、静かに優雅に…
水にすむ魚のように水中で、できるだけ長く潜伏した。


そのまま1分ほど数え、俺はシンクロのマネをし、片足から静かに静かに
水面を突き破り、地上高くつま先を掲げた



その時!!!


「ピピピピッーー 」

地上から見覚えのない音が俺の耳に飛び込んできた!


咄嗟に起き上がり、地上を見渡すと、すでに友達達が塀を登り、逃げている



しかも、ご丁寧に俺の衣服達を持って…


やばい!

俺は、そのまま全裸で後を追いかけ、塀を登り、


全裸で夜の街を駅まで爆走!




その時の俺の姿は、まさに恥ずかしそうな変態!


その姿を目の当たりにした何人かの通行人たちは、こう思っただろう




変態も大変だなと…


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