さて、
私めも事務所に戻りパソコンカチャカチャしてましたら、Cさんが俺のデスクにやってきました。

Cさん
『ずんどこ君、今ちょっといい?忙しいかな?』

一応、済まなそうである。AとBの件であろう。


ずんどこ
『いいすよ、何ですか?』
こちらも相手に合わせて迷惑そうに答えました。


Cさん
『ん~、ちょっとここじゃさ、小会議室、空いてるからさ』

わが社、会議室なんてものがあるんです。ま、パンフやらがらくたが角に積んでありますけどね。

ずんどこ
『分かりました、ちょっとこれだけやっちゃうんで五分待っててもらえます?あ、後からいきますんで』


別に急ぐ書類でもなかったんだけど、中断するのがめんどくさい。


『悪いね、んじゃ、待ってるから』

Cさん、何故か回りを見渡しながら俺の席から遠ざかっております。


私は特に急ぐこともせず、途中でケータイ鳴ったりしたんで10分ほど過ぎてから小会議室に出向きました。

いやいや、神妙な顔してA、B、C揃っております。

Cさん
『悪かったね、忙しいとこ』


ずんどこ
『忙しくないすよ、おかげさまで、土日にたっぷり仕事出来ましたから』


Cさん、まいったなあという顔されてますが、そのにやけ顔が少しムカつきます。


Cさん
『いや、本当にもうしわけなかった、ほらおまえたちもお詫びして』


Aさん
『もうしわけなかった』

B君
『すいませんでした』

反省してるのかは分かりません。


Cさん
『こいつらも反省してるしさ、今回は許してやってもらえないだろうか?このとおり』

Cさん、深々と頭をさげました。続いて釣られたAとBも。


ずんどこ
『あ~、ちょっと待ってて下さいね』

俺は小会議室を出て自分のデスクに向かった。
日曜日に、共有ホルダーにある土日の業務日報をプリントアウトしておいたのだ。過去二年分くらい。A、Bがバックレた日にマーカーでアンダーライン引いて。バックレた日は特記事項に書いてあるのですぐわかる。
それを持って小会議室に戻る。


ずんどこ
『これ、ちょっと見てもらえます、マーカーで印つけてるんで』


Cさん、パラパラとめくっています。


ずんどこ
『Aさん、B君合わせるとここ二年くらいで10回以上バックレてますよね、数えてみてください』


Cさん、ペン出してチェック入れてます


Cさん
『えっと、13、14、15、、』


ずんどこ
『これって普通ですかね?皆さんこんなに休んでないですよね?』


Cさん
『う~ん、ちょっと多いな』
腕組みしております。


ずんどこ
『ちょっと、ですか?』

段々ムカついてきました。

Cさん
『あ、いや、これは多い。本当にもうしわけなかった』

また頭を下げます。


ずんどこ
『今回は俺が被害者ですけど、、他にも被害にあってる人がいますよ、俺にだけ謝られてもねぇ』


Cさん
『そうだよな、、お前ら、本当に反省しろよ』

A、B頷いております。


ずんどこ
『すいませんけど、俺、今更この二人が反省してくれるとは思ってないんですよ』


Cさん
『そんな事言わないでくれよ、これでも俺の部下なんだからさ、』


ずんどこ
『反省するならもっと早くしてません?』

いじわるくなってきました。


Cさん
『それは、、そうだが、、、うん、今回は本当に反省させる。頭も丸めさせるから』


ずんどこ
『そんな無駄な事しなくていいですよ』


Cさん
『いや、こいつらの誠意も見せないとずんどこ君、納得しないでしょ?』


ずんどこ
『ああ、例えばAさん、自分の留守番担当月に自分で留守番入るのはいいですけど、なんで予定入れちゃうんですか?予定あったら他の人に頼んだほうがよくないですかね?』


Aさん
『う、うん、そうなんだけど』


ずんどこ
『留守番担当月って1月に決まるんですよね?1月の時点で8月は自分の担当月って分かってるはずですよね?何でですか?』


Aさん
『それは色々とさ、、』


ずんどこ
『皆に断られたからでしょ?バックレ多いから。Aさんに頼んで当日バックレ、留守番担当に押し付けた日が何日もあるし。拒否権ありますから、ルールだと』

Aさん
『そうかもしれない・・』

ずんどこ
『しれない、じゃなくてそうなんです。』


Aさん
『全然連絡取れなかったでしょ?俺以外。俺が電話したら半分くらいはいましたよ、後の半分はコールバックしてきたし』


Aさん
『そ、そんな・・・』


ずんどこ
『事実です。俺が事情話したら、Aさんの責任だから俺が出勤することない、どんな理由があるにせよ、Aさんに出勤させろって皆言ってましたよ』


Aさん
『・・・』


ずんどこ
『俺も無視しちゃおうかと思いましたけど、来客予定で知ってる会社があったんで迷惑かかっちゃうから出勤しましたよ』


Aさん
『・・・すまない』


ずんどこ
『後ね、土曜日、俺が出るまで電話してくださいってお願いしましたよね?9時以降ってお願いして最後の着信が10時半。飲んで寝ちゃったんすか?』


Aさん
『いや、しようとはしたんだよ、、嫁さんの方の親戚が集まっててさぁ、勧められたら断れなくて・・・』

ずんどこ
『一杯やってきもちよくなって寝ちゃった、と』


Aさん
『う、うん、それは認めるよ』


ずんどこ
『で、Aさん、会社に電話してきたの、10時過ぎでしたよね?普通出勤時刻とか、時間見計らって一時間前に俺に直接電話してくるとか、飲みすぎて寝坊したんですか?それとも電話一本入れる気遣いもありませんか?そもそも俺がバックレたらどうするつもりだったんです?』


Aさん
『・・・済まない、本当にもうしわけなかった』


ずんどこ
『今更遅いですよ、、それとB君』


B君
『はっ、えっと』

矛先が急に自分に向いたので焦ってます。


ずんどこ
『君さ、留守番担当交代してもらう理由がだいたい体調不良なんだけど、週末になると具合が悪くなる体質?そうは見えないんだけど』


B君
『そ、それは、いや、違いますけど』


ずんどこ
『今回の理由はさっき聞いたけどさ、全然済まなそうじゃないしね、君されっきとした大人でしょ?礼儀も知らないの?』


B君
『いや、本当にもうしわけなかったと思ってます』


ずんどこ
『だったらさ、朝イチで俺のところに謝りにこない?』


B君
『は、、い』


ずんどこ
『結論として二人は反省してない、だけど俺としては頭丸めようが何しようが反省してる証とは思わないし、思えない。これはわるいですけど問題にします。今まで問題にならなかったことのほうが不思議です。』
Cさんが割って入ってくる。

Cさん
『問題って、そんな大袈裟な、、』


この一言でCさんも部下のしたことに対して反省していない事が分かる。


ずんどこ
『大袈裟ではありません。確かに土日の留守番制度は合理的ではないです。ただ、合理的ではないにせよ、ルールはルール、守れない社員がいるようなルールは問題だと思います。不本意ですが、合理的ではないルールを改善してもらうために、こういう社員がおりますと、Aさん、B君を例としてあげます。これはもう俺が決めたんで。メールの本文は出来てます。社長以下、全社員にCCで送信します』


Cさんがあわてている。


Cさん
『いや、ちょっと待ってよ、社長までなんて、、、留守番制度作ったの会長だよ?会長に逆らうことになるんだよ?ずんどこ君も将来があるんだからさぁ』


ずんどこ
『自分の将来は自分で心配しますからお構い無く』


Cさん
『そうは言ってもさ』


ずんどこ
『はい、もうこれでこの話は終わりましょう。ちょうどいいや、CさんAさんいるならちょっと相談があります、あ、B君、もう君さ、仕事戻っていいよ、お疲れ様』