海の彼方 (2016年製作/123分/台湾・日本合作ドキュメンタリー)
凛とした玉代おばあは、めちゃめちゃかっこいい!
石垣島で暮らす玉木玉代おばあは、米寿のお祝いの日を迎えようとしていた。
誕生会に集まる予定の親戚はその数、100名超。
1930年代、日本統治下の台湾から石垣島へと移り住んだ彼女がこの歳を迎えるまで、
第二次世界大戦・台湾解放・沖縄本土復帰と、東アジアは激動の時を歩んできた。
台湾人とも日本人とも認められず、国籍をもたない移民として、
絶えず不安に晒された彼女だけでなく、
台湾移民2世として常にアイデンティティの問題に直面せねばならなかった子供たちの人生
--玉代おばあの"最後の里帰り"を通じて、一筋縄ではいかない玉木家の歴史が紐解かれてゆく。
(Amazon Prime Videoより抜粋)
石垣島の景色
与那国島の景色
台湾の景色
どことなく似ているようで、似ていないようで
でも家族団らんの雰囲気は絶対的に私たちに馴染みのある「アジア」で、
このような戦前移民の物語が、同様に韓国人や中国人やフィリピン人などにも
あるのだろうと思いながら観ていました。
特に印象的だったのが、娘さんが台湾里帰り旅行中に
「自分たちはちゃんと台湾語を聞いて育ってきたのに、
人種差別でいじめられるのが嫌で台湾語を覚えようとも話そうともしなかったから、
今となっては聞くには聞けるけれど話せなくて・・・
おばあに習っておけばよかった。」的なことを言ったことです。
私も沖縄方言をきちんと話せませんし、離島出身の父母の方言も分りません。
「方言、習っておけばよかったなぁ。」と両親の死後、私も思ったことがありました。
言語や文化って「伝承」することが大切なんですよね。
台湾と与那国島って本当に近くて驚きました。
また、韓国から長崎県の対馬は50㎞しか離れていないそうです。
しかし、日本から一番近い海外は何と極東ロシア。
サハリンは北海道本土の宗谷岬からたった43kmしか離れていないそうです。
ロシアも台湾も今少し物騒な雰囲気になっていますが、
日本から近いこれらの外国に安心して渡航できる日が
一日でも早くやってくることを心から願ってやみません。
玉代おばあは映画制作時の2016年に88歳なので
もしまだご存命ならば、今年は御年98歳ということになります。
台湾や中国は高齢者を敬う文化らしく、
「120歳まで生きてね」と台湾のお寺のスタッフさんが玉代おばあに言っていました。
どの国も超高齢化が進み、高齢者の延命を止め、「長寿文化は果たして良いのか?」と
疑問を呈するような時代に突入しています。
そんな中、台湾人の発した「長生きしてね」の言葉は、
私に安堵の気持ちを与えただけでなく、
「やさしさって何だろう」と再確認を求めてきたような気がしました。
玉木家の家族団らんの中に、日本から来た親族を精一杯もてなす台湾の親族の姿に、
私は近年廃れつつある「素朴なやさしさ」を垣間見たような気がしました。
かつて姥捨てがあった時代があり、
さらには長寿が美徳となった時代があり、
今は「終活」なんてものが出てきてしまった。
私たちの命って、
時代の都合でこうも異なった扱われ方をするのだなと、
今さらながら残念に思ったのでした。
