暗くて危険なけものみちを歩けるのは
その心をとげで覆ったいばら姫だけ
蝶よ花よで育てられたほうがいい
避けようのない真実から目を背け
誰か助けてと叫ぶ声から耳を覆い
虚構と背中合わせの平穏に気づくまで
いばら姫がひとり残す足跡をたどり
たくさんのけものたちが道を踏みしめていく
その先にもはやいばら姫が見えなくなっても
たくさんのけものたちは道を踏みしめていく
いばら姫の心に触れることも許されないまま
これまでに落としてきた命を拾い上げながら
見えない人はその音に触れ
聞こえない人はその影を追い
話せない人はひたすらに歌い
動けない人は魂を解き放つ
そうやって私たちは歩き続ける
瀕死の雑草がなお光を目指すように
人災のような予定説は取り壊され
地獄の淵にいる人々をあたためる薪となり
あたためられた人々は農具を武器にして
平穏に奪われた未来を取り戻しに行く
いばら姫の心に触れることも許されないまま
踏みしめられた雑草が根を深く張るように