千年ウィンチェスター E.P. | キャンゼル 椎名未緒オフィシャルブログ 「宇宙考察」 Powered by Ameba

千年ウィンチェスター E.P.

1866年、アメリカ・コネチカット州。
4カ国語を操り、音楽的才能にも恵まれた才色兼備の女性、サラ・ウィンチェスターは富豪の家に嫁ぎ、
子供も身ごもって幸せな日々を過ごしていた。

サラの夫ウィリアムはその頃、アメリカ政府高官にウィンチェスターライフル銃を売り込んでいた。
ウィリアムの父オリバーは、南北戦争に使われていたライフル銃に改良を加えて特許を取っていた。
それまで銃弾は1発ずつこめていたのだが、彼は13連発できるように改良したのだ。それは、ライフル銃の革命であった。

実射試験も問題なく、ウィンチェスターライフル銃はアメリカ軍に採用されることになった。
オリバーの開発したウィンチェスターライフル銃は軍隊に限らず、銃を必要とする一般にも急速に広がった。
このライフル銃を世界中に売りさばいたのが息子のウィリアムで、一族は億万長者になったのだ。

事業が大成功して間もなく、サラは長女アンを出産した。結婚4年目に授かった待望の赤ちゃんであった。
ところがその1ヶ月後、悲劇は始まった。

アンが生後1ヶ月で原因不明の突然死をしてしまったのだ。そしてその後、2人に子供が授かることはなかった。
次の犠牲者はウィンチェスターライフル銃の生みの親で初代社長のオリバーの突然の死だった。
2代目にはウィリアムが就任したのだが、なんとオリバーの死からわずか1年で、肺の病のために彼も帰らぬ人となってしまったのである。

突然ひとりぼっちになってしまったサラは、19世紀末のアメリカで起こっていた心霊ブームにのめり込むことになる。
当時はあちこちで降霊会が行われており、莫大な遺産を受け継いだサラは、お金では満たされない寂しさ故に家族の霊と接したかったのだろう。

そんなある日、彼女は霊媒師を訪ねて夫と娘が今どうしているのかを聞いた。
しかし、その時霊媒師に降りてきたのは、違う霊だった。
その霊はサラに、「あなたは西海岸に行って豪華で美しい屋敷を建てなければなりません。」と言ったのだ。
さらに、その屋敷建築は昼も夜も休むことなく続けなくては、彼女は死ぬという。
サラが何故かと聞くと霊は、彼女の家族の売りさばいたライフル銃で何千何万の人が死んだので、サラがその償いをするためなのだと語った。
ライフル銃で殺された人々の呪いが一族にかかっており、相次いだ家族の不幸はその呪いのためだったというのだ。
世界中で多くの人々が、ウィンチェスターライフル銃で傷つき、殺された。
一族は好むと好まざるとに関わらず、死の商人になっていたことをサラはこの時実感したのだ。

サラは住み慣れたコネチカット州の家を捨て、カリフォルニア州サンノゼに移り住んだ。
そして、わずか8部屋しかない小さな農場に住み始めると家の建築を開始した。
1884年のことだった。
何故豪華な家を建てなくてはならないのか、理由はわからなかったが、サラは霊媒師の言葉に従わざるをえなかった。
こうして、つぎはぎだらけの異様な建物が増殖し始めたのである。

この家が奇妙な造りになったのにはわけがあった。
実は、あれ以来降霊術にのめり込んだサラは自分でも霊を呼んで交信できるようになっていた。

彼女は誰にも知られていない部屋で毎晩降霊術を行い、霊からのお告げを受けていた。
そして、霊の言う通りにやみくもに屋敷の増築を行っていた。
霊のお告げは暖炉や階段の数から迷路のような屋敷の構造の指示まで様々だった。
理解に苦しむような内容のお告げにも、彼女は金に糸目をつけずにただ忠実に実行した。

100以上の部屋は何の脈絡もなくつながり、悪霊を封じ込めるための様々な罠が施された。
ドアを開けてもそこは壁であったり、階段の先が行き止まりだったりする。
また、段差が5cmしかなく何度も折り返す形の階段や、2階にあるドアを開けるといきなりベランダもなく外に出てしまう危険なものもある。
サラはこのような奇妙な仕掛けによって悪霊を退けようとしていたのだ。

また、屋敷の中には悪霊の力を弱めるための仕掛けもあった。
キリスト教では特別な数とされる13という数字へのこだわりだった。
13枚の板で仕切られた横壁、13枚の板で作られた天井、シャンデリアのろうそくも13本、化粧室とバスルームはそれぞれ13カ所ある。
また、建築にあたったのも13人の大工だった。

さらに、海外から輸入した最高級の特注装飾は、呪いを封じる護符でありまた友好的な霊を喜ばせるものでもあった。
また屋敷の中には当時としては画期的な水洗トイレや給湯システム、自家発電設備までもあった。
この屋敷は、当時の最先端技術を取り入れた心霊ハウスだったのだ。

屋敷の増築が順調に進んでいた1907年、サンフランシスコ大地震が起きる。
死者1千人、市街地の家屋は壊滅状態だった。
当時7階建てだったこの家も5階から上が崩れ落ちて彼女の寝室をふさいでしまった。
主であるサラでさえ地図がなくては迷ってしまうこの屋敷で、彼女が助かることはほぼ絶望的と思われた。
彼女自身も、ここが自分の墓になるのだと思った。
しかし、奇跡的にも閉じこめられてから数時間後に救出され、家をまだまだ作り続けるために助けられたのだと確信したサラは、
ますます降霊術にのめり込み、忠実にお告げを守り続けた。
また1914年には第一次世界大戦が始まり、彼女の行動には拍車がかかる。

ウィンチェスターライフル銃がアメリカ軍に採用されていたのだ。
当時サラの収入は特許によるものが主であり、製造工場は他人の手に渡っていたのだが、
それでもサラは銃で犠牲になった霊を鎮めるために屋敷を増築し続けたのだ。
その結果、160の部屋に入り組んだ廊下と階段が入り乱れる迷宮のような屋敷ができあがったのだ。

1922年、サラは82歳でこの世を去った。
そして屋敷は成長を止めた。
彼女は屋敷に莫大な金をつぎ込んだが、それ以外は浪費をせずに質素に暮らしていたという。
例外は、社会福祉への莫大な寄付だった。
それもまた、彼女なりの罪滅ぼしだったのだろうか。
彼女の死によって、ウィンチェスター家は途絶えてしまった。
かつて工場のあった場所も、廃墟と化していた。
しかしブランドだけは引き継がれ、今も主に狩猟用ライフルが作られている。

38年間休まずに作り続けられたこの屋敷は補修され、1974年、屋敷は歴史的建造物として国の史跡に指定された。
霊に対し償いたいというサラの思いは、半永久的に存在し続けることになったのである。

このウィンチェスターミステリーハウスは、
部屋数160(4階建て、地下室2)、ドア数約950、暖炉47、窓数約10000、
天窓52、階段40(段総数376)、宴会場2で、観光客が入ることができるという。

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かなり昔に知った話。

当時すごく気味が悪かった。

なんていうか構造がすごく気持ち悪いんですよ。

上の文中でもあったけど、
行き止まりの階段とか、ドアを開けたら壁とか。
上っていくと元の場所に戻っちゃう階段とか、
タンスを開けるとその先が道になってたり。

なんか本当に薄気味悪い館。

家の色もなんか変に鮮やかで。

昼間に見るとディズニーの建物みたいなんだけど、
夕方とかに見るとその作りとか大きさで本当に気味が悪い。

お化け屋敷なんかよりよっぽど怖いと思う。


外国のホームページだから見辛いけど↓

http://www.winchestermysteryhouse.com/