医療機器の電源の明かり、真夜中にもかかわらず絶え間なくナースコールが響く。忙しそうな看護師さんたちの走り回る靴の音。
点滴が終了したことを告げるブザーがあちらこちらから鳴っている。空間に漂う気怠く重苦しい空気。ここには明るい要素など微塵もない。ナースたちの笑い声さえも冷たく耳障りな「音」になってしまう。



うるせえなあ。



ここはICU。救命救急センターの集中治療室の中。

僕は激しい頭痛でとてもじゃないが眠ることなどできそうにない、痛み止めも座薬も先程1日分を使い切ってしまったのだ。


ナースコールが鳴り止まない。そして僕もナースコールを押した。




ああー、頭いてえ。
何だってんだよ、一体。僕はどうなっちまうんだろう。












マイベイビー。
かわいい姿をありがとう。次はパパも行くからな。
日常が浮かぶ。僕の目玉の中に映るのは確かに彼ら、彼女らの日常に違いない。ああ、なんてことだろう。窓を一枚、ただの一枚を隔てて僕の背後に僕の日常が湿気を含んだままねっとりと浮かんでいる。
もうすぐ、もうすぐ。
あの道を歩いたのは僕に違いなかったはずで、僕はプカプカタバコをフカシナガラ何の疑問も持たずに右足、左足。右足、左足。右足、左足。右足、左足。左・・・・。
ああ、困ったことだな。実に困ってしまった。




パンクバンド。
なんだかいい響きだな。胸、踊るね。


ライブ行きたい。耳栓着用で。






ヘイ、マイベイビー。

なにがなんでもしがみつくんだぞ。負けんな。
パパはいつでも応援してんだ。いつだって応援してっからな。
ママの事、くれぐれもよろしくな。明日、すげー楽しみにしてるよ。

もうすぐだ、今日も1日が終わる。
今日は仕事も生活も頑張れたのではないかと思う。そしてもうすぐ1日が終わる。


神様、仏様。どうもありがとう、なんだかいつでもそんな事を考えてるんですよ。
また生産できることを、自由に地面を踏めることを、見おろした世界が切り裂かれた事を、そして切り裂いた目玉を。


歩く。走るのではなく、歩く。てくてくと歩く。

廃人。目指すは俳人。


シャバダシャバダー。

けっけけ、よし、やるべ。