ゆり「おっそ~い!」
病院の正面玄関で、ゆりは待っていた。
直也「これでも、
急いできたんだぞ~」
ゆり「直くん……寒い……」
ゆりが俺に抱きついてきた……
直也「……ゆりちゃん?」
ゆりが泣き出した……
直也「え……」
ゆり「寒いの……とっても……
だから、抱きしめてて……
ずっと、離さないでね……」
直也「ゆり……離さないよ
ずっと……死んでもね……」
ゆり「あ!死んだら無理じゃん。
直くん、嘘つき~」
直也「いや、死んでも、オバケになって、お前を守るってことだよ。」
ゆり「おばけはやだよ……
とにかく、私より先に死なないで……
死んだら、許さないからね……」
直也「ゆり……」
日高さんと、何かあったのか?
でも、俺の胸で泣いてくれたのは、うれしかった……
俺は、ゆりをぎゅっと抱きしめた。
ゆり「直くん……苦しいよ……」
直也「愛してる……
絶対に離さないよ……」
直くんは、優しくて、暖かい……
みっくん、これでいいんだよね……
🏥 👮
翔「だから、わざとじゃないです。
揉めてたのは、確かだけど、
怪我させようとしたんじゃないですって……」
👮「お前、前科があるよな?
喧嘩して、何日ブタ箱に入った?
また、入りたいのか!」
末吉「前科があれば、一生悪者ですか?」
👮「お前は、誰だ?」
翔「末吉さん!」
末吉「同じ会社の末吉です。
日高さんから、わざとじゃないと言われました。証言もするそうですから。」
👮「そうですか……
被害者の方がそういうなら……
頭を打ったばかりで、面会できないでしょうから、また、後で伺います。
伊藤、また後でな……」
翔「くそ……」
末吉「これ飲んで、落ち着け……」
事務室を出て、待合室の椅子に腰かけ、自販で買ったコーヒーを渡した。
翔「すみません……」
末吉「あの警官……嫌な感じだな。」
翔「前に、俺を傷害で捕まえたやつです。何か事件があると、すぐに俺をマークするんです……」
末吉「お前、日高さんかばってくれたけど、本当は、どうなんだ?」
翔「末吉さんいなくて、現場がうまく進まなくて、毎日残業とか……
皆から、文句出てて……
今日も、西島さん帰ったのに、俺達は残業とか、やってらんなくて……
遠藤さんじゃ、話にならないし……
日高さんが出てきて、まあまあ、とかはぐらかすから、うるせえ!って押したら……倒れて、意識なくて……
弾みなんです!わざとじゃ……」
末吉「悪いな……俺が休んだから。」
翔「いや、お母さん倒れたんでしょ?末吉さんのせいじゃないです。
全部、俺が悪いんです……」
「翔!」😡⚡
末吉「え……?」
さっきまで、母の病室で一緒だった看護師の伊藤さんが、翔を思いきりひっぱたいた。💥
翔「いってぇ……」
千晃「翔!警察から連絡きたよ。
また何かやったの?」
翔「いや、誤解だよ。
ちょっと、弾みで……」
千晃「弾みでも何でも、人に迷惑かけちゃ、いけないの!」
翔「……ごめん」
末吉「あのう……伊藤さん?」
千晃「あ、ごめんなさい。
私の弟なの……ご迷惑かけて……
怪我されたかたは?何号室に……
謝らなくちゃ……」
末吉「弟?……311号室ですけど。」
千晃「すみません。翔!行くよ。」
末吉「……すげぇ」
小さい体の伊藤さんが、でかい翔のお尻を叩きながら、エレベーターに向かった。
末吉「あ、俺も乗るから……」
追いかけると、エレベーターの扉が開いて、西島と遠藤が降りてきた。
西島「……終わったんですか?」
末吉「ああ、翔が日高さんに謝りたいって……」
西島「今は、ちょっと……」
末吉「容体変わった?」
西島「いや、姉が来てて……」
遠藤「ちょっと、遠慮したほうが……」
末吉「……なんで?」
西島「いや……昔からの友達で……」
遠藤「泣いてて……彼女かと思いました。」
西島「……姉さん、結婚してますから。そういうんじゃないですから……」
千晃「あれ?西島さん……」
西島「伊藤さん……どうして」
末吉「お前たち、顔見知り?」
千晃「私の友達の亡くなった彼の
双子のお兄さんなの……」
末吉「はあ?全然わかんねぇわ……」
遠藤「結局、しばらくは病室に行けないから、休憩所に行きますか?
コンビニあるし……」
末吉「だな……」
🏪 ☕🚬
末吉「そうか……西島……ごめん。
俺、お前のこと誤解してたわ。
てっきり、大学出の、苦労知らずのボンボンかと思ってたわ……
母さんと会えて良かったな……」
西島「末吉さんも……」
末吉「いや、俺は、一人じゃなかったし……守るものが、あったから……
お前よりは、マシだよ……」
翔「すみません、西島さん!
全然知らないで、先に帰ったとか文句言って、日高さんに怪我させて……」
千晃「本当に……バカな弟で……
家は父と母が別居中で、そのことでこの子がひねくれて、色々問題起こしてて……やっと、マジメになったと思ったのに……」
末吉「そうか……でも、これからは同じこと起こしたら、許さないぞ!
やめてもらう。現場はチームプレーだ。乱すやつはいらないからな!」
翔「はい!2度としません。」
末吉「じゃあ、その頭……
うちのチームに金髪はいらない。
変えてこい……」
翔「……わかりました!」
千晃「ところで、西島さん……
実彩子、どうしてる?」
西島「……最近は、会ってないので、わかりません。」
千晃「そう……
私、話したいことあって、連絡してるんだけど……いつも、用事あるからって、会えないんだけど、喧嘩でもした?」
西島「いえ……」
遠藤「西島さんの彼女ですか?」
西島「いや……亡くなった弟の彼女だったんだ……」
千晃「実彩子……大丈夫だよね?
和也が死んだときも、ひきこもって、自殺しそうだったし……」
西島「え……!」
遠藤「彼女さんに連絡したほうが、いいんじゃないですか?」
西島「……彼女じゃないし……
姉さんの所には、毎日お昼に、会社から行ってるみたいだし……
大丈夫だと、思うけど……」
📱💥
西島「あれ?姉さんだ……はい?」
ゆり「隆弘、車の鍵、みっくんに預けたから、先に帰るね。」
西島「送らないでいいんですか?」
ゆり「直くんに迎えに来てもらったから。じゃ、また家に来てね~🎵
お休み~🎵」
西島「お休みなさい……」
姉さん……テンション高い。
いつもの姉さんに戻ってる。
日高さんとは……?
西島「姉さん、帰ったみたいです。」
末吉「じゃ、行くぞ。翔……」
翔「はい……」
《311号室》
日高「お前ら、どこ行ってたんだよ。一人でさびしかったよ。」
遠藤「だって、彼女……」
西島「しっ!日高さん、俺の鍵あります?」
日高「ああ、そこのテーブルの上……
ゆりは……帰った?」
西島「直也さんに迎えに来てもらったみたいで……」
日高「そっか……」
西島「いつもの姉さんに戻ってましたから……」
日高「うん……
お!金髪 翔くん!」
翔「日高さん……本当にすみませんでした!」
千晃「頭が高いよ!土下座しなよ。」
翔「はい!すみませんでした!」
土下座して、床につけた頭を、彼は上げることができなかった……
姉の千晃が、彼の頭を思いきり、
床に押しつけていた……
日高「誰?」
末吉「翔の姉の伊藤千晃さんです。」
千晃「このたびは、本当にすみませんでした!」
日高「まあまあ、お姉さん……
大したことないし、翔も反省してますから、その辺で……」
千晃「本当に、すみません!」
日高「じゃあ、お詫びで、俺とデートでもしますか?」
千晃「は?」
翔「日高さん、やめたほうがいいです。姉は、惚れっぽくて、重いですから……」
千晃「うるさい!反省しろ!」
翔「この通り、狂暴だし……」
日高「じゃ、やめとこ……」
千晃「私、失恋したばかりですから、しばらくは……」
末吉「お前、失恋したの?」
千晃「うん……もう無視されて、
さんざんですよ。」
末吉「……俺なら、お前みたいなの、
好きだけどな……」
千晃「え……」
日高「末吉、告白~🎵」
末吉「いや、ただ、子供好きだし、
明るいし、仕事も頑張ってるしさ。
……人として、いいなって……」
日高「人として……か?」
末吉「そうすよ……勘ぐらないでくださいよ。明日から、仕事出ますから。
母も大丈夫みたいですから……」
日高「悪いな……」
遠藤「助かります~!」
末吉「俺、戻ります。妹達、家に連れて帰らないと……」
日高「ああ、悪かったな……
皆も帰れよ。」
西島「ついてなくていいですか?」
日高「西島~今夜🌃✨
俺と看護師さんの恋♥が始まるかもしれないのに、邪魔すんなよ~」
西島「わかりました。じゃ、帰ります。また、来ますから、無理しないでください。」
日高「おう!」
日高さん……元気でよかった。
姉さんとのことは、気になるが……
千晃「西島さん……
これ、実彩子の📱番号……」
西島「え?何で俺に……」
千晃「きっと、今の実彩子に必要なのは、西島さんだと思う。
連絡してあげて……」
西島「……」
千晃「じゃ、よろしく。翔!行くよ。金髪何とかしないと!」
翔「じゃあ、お先します。
姉ちゃん、待って!」
遠藤「あ~彼女……欲しいな。
一人寂しく帰ります。西島さん、
じゃ……」
西島「ああ、お疲れ……」
車に乗り、助手席を見た……
「隆弘、車買ったら、一番先に好きな子を隣に乗せなさい。ばあちゃんは、二番目でいいからね……」
ばあちゃんがいつも、言ってたな……
……ばあちゃん……
一番好きな子を乗せたけど、
俺、嫌われたみたいだな……
和也が死んだときも、ひきこもって、自殺しそうになった?
まさかな……
番号……かけてみるかな……
📱……呼び出し音が鳴る……
実彩「はい……?」
西島「今から、そっちに行ってもいい?」
実彩「……西島……さん?」
西島「うん……このあいだのこと、
ちゃんと謝るから、会って欲しい…」
実彩「いいよ。気にしないで……
忘れたから……」
西島「いや、会いたい……今すぐ
家に、行くね……」
実彩「え……ちょっと、だめ……」
電話は、切れてしまった……
実彩「どうしよう……」
彼に会いたい気持ちと、会いたくない気持ちが、複雑に絡み合っていた……
