西島「ご馳走さまでした。
  あ~おいしかった~☺」

直也「俺のしょうが焼きは?
      最高だろう?」

西島「はい。ご飯、おかわりしちゃいました。」

ゆり「直くん、🍺足りないみたいね。隆弘、泊まって、一緒に飲めば?
明日の朝、ここから会社に行けば、いいじゃない……」

西島「う~ん、どうしようかな?」

今から、暗いアパートに一人で帰るのも、さびしい……

直也「泊まれよ~決まりだな。」


📱💥
あれ……遠藤さん?

西島「あ、ちょっとすみません。
  遠藤さん……どうしました?」

遠藤「西島さん!大変です。
日高さんが……」
 
西島「え、日高さんが、怪我?
……うん、わかった。
すぐ、病院に行きます……」

ゆり「……みっくん、怪我したの?」
姉さんの顔が、こわばった……

西島「現場で頭を打ったみたいで、
病院に運ばれたそうです。」

ゆり「……大丈夫……なの?」

西島「行ってみないと、詳しいことは……」

姉さんは、今にも泣き出しそうな顔をしていた……

直也「ゆり、大切な友達だろ?
行ってこいよ。ここ、俺が片付けておくから……」

ゆり「でも……」

直也「隆弘くん、頼む。
ゆりを連れていってくれ。」

ゆり「直くん……」

直也「ゆり、きっと大丈夫だよ。 
俺……ここで待ってるから。
……行ってこい……」

ゆり「直くん……ありがとう。」

俺は、ゆり姉さんを車に乗せて、
與病院に向かった。

ゆり「なんで、直くん……
みっくんが私の友達って、知ってるんだろ?……言ってないのに……」

西島「母さんにでも、聞いたんじゃ……」

ゆり「母さんも、みっくんは知らないはず。会わせたことはないから……」

西島「直也さん、市役所だし、
日高さんも時々、市役所に顔出すから、知ってるんじゃないですか?」

ゆり「そうかな……」

🏥

西島「着きましたよ。」

病院の駐車場に車を停めた。
診療時間が、終わっているので、
駐車場の車は少なかった。

西島「姉さん……?」

ゆり「こわい……大丈夫だよね?」

西島「きっと、大丈夫ですよ。」

真っ青な顔をして、姉さんは震えていた……

西島📱「遠藤さん……今、着きました。どこにいますか?
3階の検査室の前?
はい、今 行きます……
姉さん、3階だって。」

ゆり「……」

いつもの明るく元気な、姉さんではなかった。

ゆり「和也みたいに……
   死んだりしないよね……」

西島「日高さんは、大丈夫です。
最強の運の持ち主だって、言ってましたから。」

ゆり「……ごめん。先に行って……
    今は、行けない……」

西島「大丈夫ですか?
 少し、休んでます?
 俺、先に行きますから……
   鍵、置いていきます……」

日高さんとゆり姉さん……
友達とか、言ってたけど……
姉さんのあの、動揺って……?

日高さん……ひどい怪我じゃないといいが……

俺は、エレベーターに乗り、3階に向かった。


🏥

千晃「こんにちわ~🎵」

裕太「千晃姉ちゃん!
お母さん、気がついたんだよ。」

千晃「え!良かったね……
この病院の小児科の看護師してます、伊藤です。はじめまして。」

末母「お世話になってます……」

千晃「お体は、大丈夫ですか?」 

末母「はい……」

末吉「過労と、栄養不足だってさ。
しばらく、入院すれば治るって。
……ったく、心配かけやがって……」

末母「ごめん……」

美優「母さん、退院したら、一緒に暮らせるね。」

末母「それは、だめだよ……
今更、お前たちとは暮らせない……」

裕太「やだよ!一緒にいようよ。」

末母「お前たちを棄てた、悪い母親だよ。罰を受けなきゃ……」

末吉「また、倒れて迷惑かける気かよ!今までのこと、後悔してんなら、死ぬまで、俺達の母親でいろ!」

末母「秀太……いいの?
    許してくれるの?」

末吉「美優と裕太を見ろよ。
   とっくに許してるだろ。」

末母「ありがと……ごめん……
   こんな、バカな親で……」

末吉「ほんとだよ……」

美優「母さん……泣かないの。
   少し、横になろうね。」

千晃「安静第一ですよ。
早く、退院できるといいですね。」

末母「ありがとうございます……」

裕太「今日の宿題、むずいんだ。
千晃姉ちゃん、教えてよ。」

末吉「お前、甘えてないで、
      自分でやれ!」

美優「裕太、千晃さんのこと、好きなのよね~」

裕太「うん、大~好き♥」

千晃「ありがと~裕太くん。
   私も大好きだよ~♥」

末吉「……ったく……」

とりあえず、母の検査結果がわかったので、俺は、ほっとした……


📱💥
うん?遠藤……

末吉「え?日高さんが怪我した……
  この病院に運んだ?
……んで、大丈夫なのか?
3階で検査中……
わかった、すぐに行くよ……」

美優「会社の人から?」

末吉「うん、怪我してこの病院に運んだらしい。
ちょっと、行ってくるわ。
ここ、頼む。」

美優「うん……」

🏥
検査室の前の椅子に、遠藤さんは、不安そうに座っていた……

西島「遠藤さん……日高さんは……」

遠藤「まだ、中です……」

西島「怪我って……
     一体どうして……」


エレベーターの扉が開いて、
末吉が、足早に歩いてきた……

末吉「遠藤、俺のいない時に、
 お前、何やってたんだよ!」

遠藤「末吉さん……
すみません!若手が仕事にケチつけて、日高さんが、なだめてたんですけど……急に翔がキレて……
日高さんを押したんです。
日高さん、後ろに倒れて……
資材に頭をぶつけて……
意識なかったんで、救急車呼んで……
本当にすみません!
俺の管理が悪くて……」

末吉「それで、翔は?」

遠藤「一緒に病院に来たんですが、
今、警察から事情聞かれてます。」

末吉「まずいな……警察沙汰は」

遠藤「意識なかったんで、病院から警察に連絡したみたいで……」


検査室のランプが点滅した。

遠藤「検査、終わったみたいですね。」

……静かに扉が開き、ストレッチャーで日高さんが運ばれてきた。

西島「日高さん!」

遠藤「大丈夫ですか?」

日高「なんだよ。みんな……
大袈裟だよ。ちょっと、頭ぶっただけだって……あ~よく寝た。」

看「まだ、結果待ちですから、
安静にしててください。
病室に運びますから……」

日高「はいはい。
この看護師さん、可愛いのにキツいんだよな~。」

看「日高さん、黙って!安静に」

日高「はい、すみませ~ん。」



西島📱「あ、姉さん、
  ……落ち着きました?
日高さん、意識戻りました。
311号室にいますから……」

とにかく、意識が戻ってよかった。

日高「翔が警察に事情聞かれてる?
おいおい、あれは事故だよ。
翔だって、弾みで押したんだ。
わざとじゃない。
俺、警察に説明するわ。」

看「駄目です!動かないで。」

末吉「翔、どこにいる?」

遠藤「一階の事務室にいる筈です。」

末吉「俺、ちょっと行ってきます。」

日高「悪いな……翔は悪くないから、俺、証言するって言ってくれ。」

末吉「わかりました。」

日高「看護師さん、俺、夕ごはん
何も食べてないから、お腹空いたんだけど。」

看「あなたね~
頭を打ってんですよ。
食べて、吐いたら大変です!
今、ご飯食べてるでしょ?」

日高「この、点滴💉?」

看「特別に三回、食べさせてあげますからね。☺」

日高「え~それ、点滴💉三本ってこと?」

看「はい☺
 夜中までゆっくりどうぞ。
おかわり近くなったら、ボタン押してくださいね。じゃ、失礼します。」

日高「くそ~ Sめ……」

西島「とにかく、結果出るまでは、安静にしててください。
家には連絡したんですか?」

遠藤「はい……お手伝いさんが出て、
伝えておきますとか……」

日高「来ないよ……
あの人たちは、自分のことで忙しいからね。父は議員視察とかで、外国行ってるし、母は友達と九州へ旅行中だよ。」

西島「……心配しないんですか?」

日高「俺の小さい頃から、そうだからね。お手伝いさんにまかせきり……
尚更、親父の後を継いで、議員の勉強をしないで、設計の方に進んだからね……」


ゆり「みっくん!」

日高「え? 何でお前……」

西島「姉さん達と食事してた所に、
遠藤さんから電話がきたんで……」

ゆり「心配したんだから……
死んじゃうのかと思った……
もう、2度と会えないのかと。
そうなったら、私……
生きていけない……」

日高「ゆり……
お前、何 言ってんだよ。」

ゆり「みっくんがいるから、
今まで、頑張れた……
お父さんが死んだ時も……
親戚の家でつらかったときも……
母さんが入院した時も……
和也が、死んだときも……」

日高「ゆり……」

西島「……俺達、末吉さんの所に、
行ってますから。
遠藤さん……」

遠藤「……あ、ああ……」


同じ空間にいられる、雰囲気ではなかった。
日高さんと、姉さんの間には、
友達以上の関係を感じた……


遠藤「あの人、日高さんの彼女?」

西島「いえ、古くからの友達です。
姉は、結婚してますから……」

遠藤「西島さんの、お姉さん……」


つらいとき……
学校の屋上で、俺の前で時々泣いていたゆり……

その時は、理由はわからなかった……
あえて、聞きもしなかった。

でも、思いきり泣いたあとは、
いつもの明るく元気な、ゆりに戻っていた。

でも、今は……
俺の為に、泣いていた……

俺の胸に顔をうずめて……
細い肩を震わせて……

俺は、ゆりを思わず抱きしめた……

クリスマスイブ……
あの時、ゆりにプロポーズしていたら……
俺達はいつもこうして、一緒にいられたんだな……

でも、こうしていることは、
他の人を傷つけ、ゆり自身も悩み、傷つくことになる……

俺は、ゆりの体をゆっくりと離した……

ゆり「……?」

日高「ゆり……
俺とお前は、これからもずっと、
友達だ……今までと変わりなく。」

ゆり「私……みっくんをずっと好きだった。
プロポーズされたこと話したとき、
結婚するなと言ってほしかった……」

日高「お前には、俺以上に、大切な人がいるだろ?
優しくて、お前を大切にしてくれる人が……」

ゆり「……直くん……?」

日高「うん……前に市役所で会って、少し、話をしたんだ。
あいつさ、お前のこと……すごい心配してたよ。時々、誰にもわからないように、泣いてるんだろ?
あいつ、理由を知りたいと、俺に聞いてきた。もちろん、俺も知らないし、
ただ……お前はいつも、頑張りすぎるから……
泣きたい時はさ……
今みたいに、あいつの胸で泣けよ。
あいつなら、全部受けとめてくれるからさ……」

ゆり「みっくん……
みっくんは、私のこと……」

日高「……友達だよ。
それ以上でも、それ以下でもない。
ひとりの女として、見たことは
……一度も……ないよ……」

ゆり「……」

また、泣くのかと思った……

ゆりの大きな目が、潤んでたから……

ゆり「ばーか!嘘だよ~」


日高「は?」

ゆり「みっくんは私にとっても、
友達だよ。それ以上でも、それ以下でもないよ。」

日高「……お前」

ゆり「頭ぶったって、心配させたから、お返しだよ~」

嘘……言ってんのは、わかっていた。

でも、俺の本当の気持ちを、ゆりに言ってしまったら……

ゆり「あ~疲れた。帰るね。」

日高「西島と来たんだろ?
一階にいるぞ。」

ゆり「ダーリンに迎えにきてもらうから。」

日高「今度、来るときは手ぶらで来るなよ。」

ゆり「来るかどうかわかんないよ。
来てほしい?」

日高「好きにしろ……早く帰れ。」

ゆり「じゃ……おだいじに。」

ゆりは、笑顔で病室を出ていった……

日高「これで、いいんだよな……
お前の為には……」





🌃✨

ゆり「直くん?迎えに来て。」

直也「日高さんは?
ついてなくて、大丈夫なの?」

ゆり「以外に、元気だったよ。
心配して、損した~
早く、来てね。玄関で待ってるから。」

直也「了解~すぐ、行くよ。」

夜風が冷たかった……

本当に大切な人……
それは、みっくん……あなただった