千晃「おはようございま~す🎵」

看「おはよう、伊藤さん。
……朝から元気だわね~」
千晃「あれ?
與先生は、まだですか?」
看「ああ……あなた、昨日お休みだったわね。昨日から、五十嵐先生に変わられたのよ。與先生は、アメリカに勉強に行くとかで…とりあえず、体制が整うまで、夜勤に入ってもらってるわ。院長の指示よ。」
千晃「……そうですか。」
こんなに早く、後任が決まるとは……
與さん……
もうすぐ、行っちゃうの?
いやだよ……
あの日……海の見える部屋で、二人きりでお酒を飲み、キスをした……❇✨
それ以上を期待したけど……
與「一応、同じ職場だから……
これ以上は、だめ……」
そう言って、私の部屋まで送ってくれた。
その時は、キスされて、舞い上がってたけど……
その後……メールしても、電話しても、
與さんからは、何の連絡もなかった。
同じ小児科で、仕事をしていても、
医師と看護師の事務的な受け答え……
先輩看護師の鋭い視線を避けて、
個人的な話もできない……
夜勤に変わったなんて……
そんな……
看「伊藤さん!ぼ~っとしてないで、五十嵐先生、来たわよ。」
千晃「あ、おはようございます。
伊藤です。よろしくお願いします。」
五十嵐「はい、よろしく~」
白髪頭で、小太りの50代の医者
にこにこして、優しそうだ……
千晃(よし!こうなったら、
絶対に與さんと会ってみせるわ。)
ナースセンターに行き、與さんのシフトを 💻 調べた。
千晃「今日も、夜勤ね……」
看「伊藤さん、何してるの?
患者さん、いっぱいいるんだから、
サボってないで、仕事して!」
千彰「は~い。今、行きます。」
とりあえずは、仕事、仕事……
夜勤明け……
少し早めにくれば、與さんに
会えるかな……
🏡🏡
父「これから、夜勤か?」
與「はい……」
父「食べてから、行くんだろ?」
與「別に、外食でも……」
父「一緒に食事できるだろ?
話もあるし……」
與「……」
父「まあ、座れ。
おい、食事の準備してくれ。」
継母「はぁい。ゆきさん!
ゆきさん!急いでちょうだい。
もう、愚図なんだから……」
バタバタと赤いミニスカートで、
キッチンに入っていく、継母……
與「あの人の、手料理……
食べたことありますか?」
父「家のことは、家政婦のゆきさんに任せてある。」
與「あの人……家の中で、
あんな、チャラチャラした格好する必要あります?
ここは、バーですか?」
父「真司郎!
お母さんに向かって、何だ!」
與「あんな人、認めてませんよ。
俺の母さんは、一人だけだ。
綺麗で、優しくて、料理が上手で、いつも暖かく迎えてくれた……
あいつのどこがいいんだよ。
若いだけで、金目当てだろ。」
父「だまれ!」
與「父さんには、がっかりだよ。
俺、病院行くわ。
この家にはいたくない。」
父「待て、話が……」
與「俺は、ない。」
父「アメリカに行くのを許したんだ。3年したら、帰ってこい。
副院長の席を用意しておく。」
與「指図は受けない……
病院の跡継ぎは、あいつに生んでもらえよ。
それが、あいつの望みだろ?」
父「お前……」
與「あ、それから夜勤は、今日で最後にする。退職願いは、後で出すよ。
一日も早く、この家を出たい。」
父「何だと!」
與「じゃあ、父さん……
あの女と、お幸せに……
あ、これ……プレゼント。
読んでください。」
鞄から、分厚い大きな封筒を取りだし、渡した。
父「何だ……調査会社?」
與「信じるかどうかは、父さん次第ですが……あの人の、過去と現在の真実です。」
父「……」
リビングを出ると、継母が、
キッチンから出てきた。
「あら、真司郎さん。
今、お食事できましたのに……」
與「結構です。全て、
あなたの手料理でしたら、
おいしいかどうか、興味ありますが……どうせ、家政婦のゆきさんが、作ってくれたんでしょ?」
「まあ、何ですって、失礼ね!」
與「その香水、なんとかなりませんか?近寄ると、吐き気がします。」
「ひど……ちょっと、あなた!
母親に向かって、何言うの!」
與「俺は、一度もあんたを
母と思ったことはない。
父にあいそをつかされる前に、
この家を出ていくんですね。
毎月、ブランド品を、どのくらい買ってます?男友達には、いくら貢いでますか?デートは週に何回?
先月は、彼氏と旅行してますね……
言い訳できます?」
「それは……」
與「父にあなたの身辺調査の結果を渡しました。……楽しみですね。」
「え……!」
與「じゃあ、行ってきます。」
一応、息子として、父には目を覚ましてもらいたかった。
そして、この家に、誰が必要なのかを
考えてほしかった……
父「おい!ちょっと来い。
この、写真は何だ!」
「は、はい……」
父の大きな声が、聞こえた。
車に乗り、俺は、病院へと向かった。
🏥小児科
與「五十嵐先生、慣れましたか?」
五十嵐「いや~もう、人気者の與くんの後任は大変ですわ。
お母さん方から、與さんは~?
何で変わったの?って、
責められて、責められて……」
與「急にすみませんでした。
でも、ここの看護師は、皆、ベテランですから……」
五十嵐「あ、その点は、本当に
助かってますわ。安心できます。」
與「じゃ、よろしくお願いします。」
千晃(あ……與さん)
廊下の向こうから、白衣の與さんが歩いてくる……
千晃「與さん……あの……」
声をかけたが、黙って会釈しただけで、彼は通りすぎた……
無表情で、私を見ようともしない……
なんで……?
📱《会って話がしたいです。
このまま、サヨナラは嫌です。》
メールしても、やはり彼からの返信はなかった……
翌朝、早めに家を出て、職員駐車場に停めてある、與さんの車の近くで、
待っていた。
夜勤明けの彼が、職員通用口から、
こっちに向かって来るのが見えた。
……なんか、私……ストーカーみたい。
keyボタンが押され、車のロックが開いた。
與さんが車に乗り込むと同時に、
無理矢理、助手席に座った。
與「え……伊藤さん?どうしたん……」
千晃「……だって、與さん……
電話も出てくれないし、✉も返してくれないから……
すぐに、アメリカに行くんでしょ?
私は?私の気持ちには、応えてくれないの?」
與「言ったやん……
俺は、遊び人やから、
本気の恋愛はしない……」
千晃「だって……あの夜……」
與「キスしたこと?
一回だけやん……
あんなん、君でなくとも、
誰でもできるわ……
アメリカ行けば、ハグとかキスとか、日常茶飯事や……」
千晃「そんな、ひどい……」
與「君には、君にお似合いな奴が、
きっといる……
君を大切にしてくれる人がね……
俺じゃ……無理や……」
千晃「…これで、さよならですか?」
與「ああ……連絡しても、無駄や。
車から、降りて……」
千彰「本気で、好きでした……
……さよなら……」
與「……元気で……」
車を降り、病院へ歩いていく彼女……
與 (ゴメンな……
千晃ちゃんは、素直で可愛いから、
きっと、俺よりも素敵な彼氏ができるよ。俺は今、自分のことで、精一杯や
……さよなら……)
失恋した……
涙が溢れて、前が見えない……
こんな顔、誰にも見られたくない……
一気にエレベーターで、屋上に出た。
💥
千晃「きゃ、いた~い!」
入り口で、人とぶつかった………
「痛い……」
制服の女の子……?
千晃「ごめん、大丈夫だった?」
「はい……あ、洗濯物……」
千晃「干すとこだったの?
あ~汚れちゃったね。
私、洗い直しするわ。ごめんね~
あ……足も擦りむいちゃったね。
手当てもしなきゃ……
下に行こう。」
「はい……」
とりあえず、洗剤を取りに、もう一回病室に戻った。
502号室
末吉「美優?」
美優「洗濯物……落としちゃって。」
千晃「ごめんなさい。
私が、ぶつかっちゃって……
もう一度、洗いますから……」
末吉「あ……膝、血が……」
千晃「手当てしますから。
私、看護師の伊藤です。」
裕太「小児科のお姉さんだよね。
このあいだ、いたもん。」
千晃「あ!裕太くん?
もう、すっかり良くなった?」
裕太「はい!」
千晃「そう、よかったね。
……お母さん?」
末吉「ああ、倒れて……
ずっと、眠ってる……」
千晃「そう……心配だね。」
末吉「あ、学校行く時間だぞ。」
美優「そうだね。」
千晃「じゃ、下で手当てして、
いこうか。」
美優「はい、裕太も準備して。」
裕太「うん……
母ちゃん、帰り、また来るね。」
裕太と美優は、母の手を握り、
声をかけた。
美優「秀にい、仕事は?
昨日から休んでるけど、大丈夫?」
末吉「もう少しであがる仕事だから、気を抜けないが……今日検査結果出るし……仕方ないな。
後で、上に連絡しとくわ。」
美優「無理しないでね。
学校終わったら、来るからね。」
末吉「ああ……」
千晃「美優ちゃん、裕太くん行こう。あ、ついでに洗濯して干しておきますね。」

末吉「すみません……
お願いします。」
美優「すみません、なんて……
秀にい、めずらしいな……」
千晃「そうなの?」
美優「うん、秀にいは、今まで誰にも頼らずに生きてきたから……
私たちを育てるために……」
千晃「そっか……
これで、OK。じゃあ、いってらっしゃい。」
美優、裕太「行ってきま~す」
千晃「仲がいい兄弟ね。
お母さんか……元気になってくれるといいね……
あ!すぐに洗濯しないと!」
さっき失恋して泣いていたことも忘れていた。
あの子達といることが、楽しかった……
📱末吉「あ、日高さんですか?
末吉です。」
日高「おう、母さんは大丈夫か?」
末吉「まだ、眠ってて……
今日、結果出るんで……」
日高「気にしないで、落ち着くまで休め。現場は西島と見ておくから……」
末吉「すみません。
俺の下に、遠藤がいます。
そいつが、現場わかってますんで。」
日高「よしわかった。遠藤だな。
任せろ。」
末吉「申し訳ないです。
落ち着いたら、戻りますから……」
日高「あせらなくて、いいぞ。
久しぶりに母さんとあったんだろ?
親孝行してやれ……」
末吉「はい……じゃ……」
末吉(親孝行か……
そんなこと、できるとは思ってなかったよ……おい、早く起きろよ。)
母の手をそっと、握った……
