恋心を思い出させてくれる場所。







今日の夢に出てきたのは
今の旦那さんと
初恋の彼。






旦那さんは…やっくん
初恋の彼は、西くん







西くんは、小学校のときの初恋の彼。
よく夢にでてくるんだ。












夢では3人とも同じ学校に通ってることになってて、年は中学生くらいだったかな。













私は夢の中で、
今の旦那さんやっくんと
付き合ってるんだけど、






初恋の西くんと、
席替えで近くなって意気投合して、
お互い好きになっちゃうんだ。













私はやっくんのことすっかり忘れちゃって、舞い上がってる。









西くんとご飯食べに行く約束して、
付き合おうって話もした。




私は、
『付き合った記念ドキドキって、
大きな画用紙に書いて
浮かれていた。







学校が終わって、
その画用紙を持って
これからご飯食べに行こうって
盛り上がってた。
西くんとは手を繋いでた。










そしたら周りの生徒がじろじろ見てくる。








そこで思い出したんだ。
やっくんのこと。




『私まだやっくんと付き合ってるんだった……。』






画用紙を急いで裏返しにした。












西くんは、
『もうちょっとこそこそしておこうと思ってたのに。』って言った。
でも手は離さなかった。















二人で下駄箱に向かっていたら
そこにやっくんがいた。
私は急いで手を離した。

















私『どうしたの?今日は帰るの遅いね。』






やっくん『うん、気になることあって。』







しばらく3人で歩いた。


私は早く西くんとご飯に行きたかった。



やっくんは私を後ろからぎゅっと抱きしめてきた。




そのまま、歩いた。




西くんは少し距離を置いてくれた。













  







やっくんは、私を後ろから抱きしめたまま、
『なんかあった?』
と、言った。











私は、
『別に何もないよ。』
と、答えた。

















しばらく無言で歩いた。












ぎゅっと力の入ってたやっくんの手が、
ふっと緩んだ。

















ハハ……
やっくんが力なく笑った。














やっくん
『何もないよって……。なんにも言ってくれないんだね。』












   











そこで私はやっと気づいた。



















やっくん全部知ってたんだ……
















そりゃそうだよね。
同じ学校で、噂なんてすぐ回ってくるよね。

















やっくんは、それでも抱きしめてくれたんだ……。













ここでやっくんのお母さんの顔が浮かんできたりした。
優しいお母さん。
私は今まで築いてきたやっくんの周りとの関係も絶ってしまうの…?











とぼとぼ歩いて考えた。
でも私はなんにも言えなかった。











やっくんと、西くんと、私。
微妙な距離を保ちながらとぼとぼ歩き続けた。    
   






西くん『……近くの店にご飯食べに行く?』

私『そうだね。』









今のこの3人の関係、
3人の状況には触れず、
普通の会話をしながら、
なんとなく3人でご飯を食べに行くことになった。













私はまだ、西くんと二人でご飯を食べに行きたいと心のどこかで思っていた。
どうしようもできない感情だった。











一回でもいいから一緒にご飯行きたいと思った。
でも、やっくんのことも大事だった。











やっくんも、西くんも、引かなかった。
私も、なにも決めれなかった。
決めきれなかった。
みんな、そのままだった。













″このまま3人で行くのか…。″
 そう思いながらお店を探していた。











      






ーーーー

ここで目が覚めた。




隣で旦那さんと娘が寝ていた。
安心した。


 時折夢の中だけで思い出す、
強烈な恋心。














夢だけど、少し罪悪感がでた。
やっくん『情』という言葉が浮かんだからだ。














それと同時に、
やっくんにとてつもない『優しさ』を感じた。














『情』は『愛情』なのだろうか。
『情』も『愛情』に含まれるのだろうか。















西くんとはずーっと会ってないし、
連絡先も知らないし、
近況も全く知らないのに……





たまに『恋心』の象徴として
夢に現れるんだ。











夢の中だけで、
学校生活での『恋心』
この感情を思い出させてくれる。











廊下ですれ違うドキドキ
好きな人を少し遠くから眺める感覚。
校内でバッタリ会ったときのときめき。
そんなやつ。









もうなかなか味わうことができない感覚、
それを夢の中で体験させてくれる。












目が覚めても、
この感覚だけがはっきりと残ってる。














『好き』








     







『愛してる』なんて、まだ全然知らない頃。










職業とか年齢とか、そんなん全部関係なく



ただその人だけをみて、
『好き』って思ってた。
胸が高まった。




西くんを通して、その感情を再体験した。







もう、忘れちゃったけど、
『好き』だったんだなぁ。

















やっくんの深い深い優しさ。
……『やっくん』ありがとう。
私はここにいる。
















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夢から醒めて、
ふわふわした感覚が薄れてきてた頃、
私はやっと布団から出た。






旦那『おはよう』


私『おはよう』『…………。』







私は、
やっくんがしてくれたように
旦那さんを後ろから抱きしめてみた。








私『……嬉しい?』








旦那『嬉しいよー。ははは!』
『はいっ!娘ちゃんもぎゅー。』



そういって、娘にもぎゅーしてた。























嬉しいんだ……。


よかった!笑