私がペットフードの安全基準を見ても安心できない理由 | トイプーお出かけ日記

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犬との生活、食べたもの、買ったものを主なテーマとしています。
あと、たまに時事問題について書いたりもします。

今朝、愛犬と朝の散歩をしているとき、姿勢を変えた拍子にギックリ腰になってしまいました。

 

そのせいで今日はあまり動けないので、あり余る時間を使って前々から調べていたペットフードの安全基準についてブログを書くことにしました。

 

このテーマについては1年半ほど前に一度書いたことがあるんですが、今回は安全基準が決まった経緯や根拠も確認したので、より深掘りできたとは思っています。

 

無論私には専門知識がありませんので、安全基準の妥当性を分析、評価するようなことはできませんし、するつもりもありません。

 

あくまでもペットフードの安全基準に対して私自身が「安心できるか」について意見を述べるだけで、その判断基準は「自分が抵抗なく食べることができるか」という主観に基づくものです。

 

要は「それってあなたの感想ですよね」と言われたら、「はい、そうです」としか答えられない程度の内容ですので、そのあたりは予めご了承ください。

 

 

さて、ここから本題です。。

 

ペットフードの安全基準は環境省の下記HPで確認することができます。

 

一応内容を貼り付けておきますが、安全基準は

  • 成分規格
  • 製造方法の基準
  • 表示の基準

により構成されます。

 

なお、この基準は中央環境審議会及び農業資材審議会の意見を聴いて設定されたもので、その検討状況は下記HPで確認することができます。

 

ペットフード小委員会は、過去6回開催されており、資料、議事録が開示されていますので、興味のある方はご覧になることをおススメします。

 

今回私は様々な資料を引用、貼り付けますが、特段の断りがない限り、それらはすべてペットフード小委員会のものとなります。

 

 

 

で、今回の記事についてですが、流れとしては

  1. 製造方法と表示の基準について
  2. 成分規格の対象物質について
  3. 成分規格の基準値について

の順で書いていきますが、かなり長くなりそうなので前編(上記1と2)、後編(上記3)に分けてエントリーします。

 

 

1.製造方法と表示の基準について

私は一般的なペットフードの値段は人の食品に比べて明らかに安く、その要因は原材料にあり、その原材料が製造方法と表示の基準に影響を及ぼしていると考えています。

 

大雑把に図示すると下記の通りです。

 

①ペットフードの流通量と100グラム当たり単価

上記の100グラム当たり59.2円というのは、ペットフード協会のHPに掲載されている統計調査を参考にしました。

 

 

②なぜ100グラム当たり単価を安すぎると思うか

理由は下記3点です。

  • ブログ主は以前、ペットフードメーカーや卸売業者の決算書、経産省の統計調査等に基づき、「人用の食材を使ってフードを作ったらどれくらいの価格になるか」を試算したことがあり、その時の結果が100グラム当たり200円~300円だった
  • 都心の店舗で人用食材を使って手作りしているペットフードの販売単価が100グラム当たり700円~1000円である
  • ブログ主が調べた限り、100グラム当たり60円で売っている人用の肉や加工食品を見つけることができなかった

 

ブログ主が以前調べた内容は下記の通りです。

 

独立行政法人農畜産業振興機構のHPに掲載されていた当時の卸売価格は下表の通りだったので、まともな肉(鶏や豚)を使うのであれば、小売価格はその4~5倍の100グラム当たり200円から300円するはず、というのが当時の試算結果です。

 

あと、例示した100グラム当たり700円~1000円というのは、神宮前にあるプサコキッチンのフードです(700円は鶏肉メイン、1000円は鹿肉メインのフード)。

人用食材を使って都心で手作りしたらこれくらいかかってしまう、ということですね。

興味のある方はHPをご覧ください。

 

 

③どんな原材料を使っているのか

ペットフード小委員会の資料によると、

  • 死亡豚、死廃鶏
  • 畜産副産物

がレンダリング工場で処理され、それがペットフードの原材料として使われているとのことです。

無論、すべてのフードがこのように製造されているとは思いませんが、基準を作るうえではこのように製造されているフードが多いことを前提としなければならない、ということだと思います。

 

畜産副産物については、日本畜産副産物協会のHPに分かりやすい図が掲載されていました。

 

 

この図によると、レンダリングされるのは脂肪骨と非食用臓器等のようです。

 

これらの資料を見る限り、死亡豚、死廃鶏、レンダリング用副生物は人の食用にはできず、レンダリングする以外に用途がない(レンダリングしないなら捨てるしかない)、だからペットフードは安いのではないか、と私は推察しています。

 

④製造方法の基準

死亡豚や死廃鶏の危険性については、例の小委員会の資料で確認することができます。

 

その危険性を排除するため、製造工程において「適切な加熱処理」が基準として設定されている、ということですな。

 

⑤表示の基準

私はペットフードの平均単価を見る限り、量の多寡はあるものの大半のフードでレンダリング食材が使われていると推測しています。

 

そしてレンダリング食材は死亡豚や死廃鶏、非食用臓器などがゴチャゴチャに混ざっていて、何をどれだけ使っているかを特定できないので、それが表示の基準に影響を及ぼしていると思っています。

 

実際に、原材料の表示(下記⑤)において、「実行可能性を考慮し、分類名による表示も認める」という文言が付記されています。

 

この分類名の表示については、パブリックコメント(パブコメそのものについての説明は省略します)でも確認できます。

 

私は分類表示を認めているのは、「個別表示できない原材料を使うケースが多いから」だと思っているのですが、パブコメの説明によると、「原材料を変更した場合であっても安定供給を確保するため」ってことなんですよね。

これって「原材料が変わっても同じ商品として表示を買えずに売り続けることができるようにするため」っていうことだと思うんですけど、いくらなんでも業者に甘過ぎないですかねぇ。

 

産地の表示が違うだけで大騒ぎになる人の食品の表示と比べると雲泥の差ですな。

 

 

⑥製造と表示の基準を見て安心できるか

自分自身が抵抗なく食べることができるか、という個人的な安心の基準に照らし合わせると、

  • 単価が安い(私の多少なりとも不安を感じる目安は100グラム当たり300円以下)ものは、もともと食用ではない原材料を使っている可能性がある(あくまでも私の主観です)ので抵抗がある
  • 肉について分類表示をしているものはレンダリング食材を使っている、もしくは原材料がコロコロ変わっている可能性があるため抵抗がある

ので全然安心できない、というのが結論です。

 

なお、参考として農水省の消費安全局長の通達に記載されている「認められている分類表示」を貼り付けておきます。

 

 

2.成分規格の対象物質について

ここで改めて成分規格を貼り付けますが、私がこれを初めて見た時の印象は、「対象物質の種類が少なすぎる」というものです。

 

なぜそんなに少ないのか、ということを各種資料を見ながら確認していきます。

 

①添加物

添加物については、

  • 安全性が確認されている
  • 但し、一部については健康影響の恐れがあるので上限値を設定

というのが基本的な考え方のようで、細々とした基準が設定されている人の食品とは大違いです(人の食品のに関する添加物の使用基準及び保存基準は下記HPにPDFがアップされているので、興味のある方はご覧ください)。

 

 

 

ペットフードに関しては、上記のように最初から一部の添加物だけを対象にする方針だったので、相当やばいものしか検討対象にならない、と私は解釈していたんですよね。

 

 

ところが、上記の表の一番下にある添加物「ソルビン酸」は、最終的に基準値が設定されなかったんですよね。

 

その理由はなんと、「安全であることが明らかだから」というもの。

 

だったら最初っから検討対象にするなよ、っていう話で、もともと添加物は安全というところからスタートしているのに、なぜこのような経緯、結論になるのか、頭の悪い私にはさっぱり分かりませんでした。

 

②重金属

重金属は非意図的にペットフードに混入してしまう恐れがある汚染物質の一つとされており、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素について基準値設定が検討されていました。

 

ところが最終的に、水銀の基準値が設定されなかったんですよね。

水銀って魚に含まれることが考えられるし、ペットフード(特にキャットフード)に混入してしまうリスクがあるような気がするんですが、どうして基準値が設定されなかったんですかね。

 

鉛やヒ素、カドミウムが設定されたのになぜ水銀だけが外れたのか、残念ながら私が確認した限り、その理由の説明資料を見つけることはできませんでした

 

③農薬

農薬工業会のホームページを見ると、農薬の有効成分は590種類あるそうです。

 

 

その一方で、ペットフードの成分規格が設定されているのはたったの5種類

 

それは、

  • サンプルチェック数が少ない(わずか53種類)
  • そのうち複数検出された物質だけ対象にしている

の結果です。

 

 

基準値が設定されたのは、下表の太文字の物質だけです。

 

私はペットフードの市場規模や販売されている商品の数(ドッグフード、キャットフード、国産、輸入)を踏まえると、53種類という検体数は少ないと感じますし、そのうえ複数回検出されたものにしか基準を設定しないというのは不安でしかない、というのが正直なところです。

 

 

④対象物質数について安心できるか

以下の理由で安心はできない、と思っています。繰り返しになりますが、あくまでも私の主観でしかなく、客観的に正しいかどうかは分かりません

  • 魚を主原料とするフードがあるのに、非意図的に水銀が混入してしまうリスクが考慮されていない
  • 農薬の実態調査の検体数が少ないうえ、複数回検出された物質にしか基準値が設定されていない
  • (なお、添加物については訳が分からないので、コメントできません)

 

 

随分と長くなってしまいましたが、前編は以上です。

後編は基準値そのものについてですが、かなり面倒くさい内容なので、いつになるかは全く分かりません(笑)。