行政行為の取消しと撤回 / 平成20年行政書士試験問8の感想・衛星放送認定を取消し | 記述式九つの型 (第1の型から第9の型まであります。それぞれの型のルールについては、プロフィールをごらんください。)

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なお、投稿の年月日および根拠教材の年代には、ご注意ください。

2021年3月11日の投稿に、続報を追記しました。

 

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平成20年 行政書士試験  問8(行政行為の取消しと撤回) の感想

 

 「取消し」はどれか? という問題ですが、はっきり言ってザコ問です。

「取消し」と「撤回」のちがいがわかっていれば、解けるはずです。

 結局、平成20年の本試験は不合格でしたが、

この問8は、当時の知識レベルでも、ザコ問でした。

 

 肢1 (後発的事情)

消防法による「製造所を移転しろ」という命令に違反した。

しかし、逆にいえば、命令が出る前は、違法ではなかったはず。

 

 肢2 (後発的事情)

浄化槽の認定基準が、後から変更されて、NGになった。 

逆にいえば、認定を受けた時点では、基準に適合していた。

 

 肢3 (原始的瑕疵)

処分される理由がないのに、懲戒処分されてしまった。

つまり、この懲戒処分は、「そもそも行われてはならない処分」だった。

かなり前(高3くらい)ですが、当時夢中になったマンガで、

この肢と似たシーンを観たことがあったのです。

そのおかげで、一読瞬殺KOできました。

 

 肢4 (後発的事情)

免許自体を不正に受けたのなら、「原始的瑕疵」にあたり、取消し。

しかし、この一級建築士は、適法に免許を受けてから、

原因となる不誠実な行為をしている。

 

 肢5 (後発的事情)

肢4と同様、建設業の許可自体は、適法に受け(与えられ)ている。

平成20年行政書士試験の時点では知らなかったが、

宅建業法66条にも、同様の規定があった。

 

 

 以上より、

簡単に全肢自信をもってKOできました。 

肢3(原始的瑕疵) を正解肢(取消しにあたる)と判断しました。

 

結果は、肢3が「取消し」で、正解できました。

 

 

  「取消し」や「撤回」と「解除」との比較は、こちら↓

 

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 ところで、2021年3月6日の新聞に、

「BS4K放送の認定が、取り消されず」という記事がありました。

この認定は、たぶん、行政行為だと思いますが、確証はありません。

 一応、行政行為だと仮定して、話を進めますが、

もし、ちがっていたら、すみません。

 

 

 放送法は、BS放送を行う事業者に対し、

外資出資比率の規制(20%以上はダメ)を定めているそうです。

 そして、認定後にこれに違反した(20%以上になった)ときは、

認定を取り消さなければならないそうです。

 

 ところが、某放送関連会社(以下、A社といいます)が、

BS4K放送の認定を受けた後、

放送法が定める外資出資比率の規制に違反していたにもかかわらず、

総務省は、認定を取り消していなかったそうです。

 

 A社の外資出資比率は、申請直前(2016年9月末)の時点では、

19.96%だったそうです。

 そして、2016年10月に認定を申請し、2017年1月に認定を受け、

2017年3月末には21.23%になったのに、

認定は取り消されなかったそうです。

 

 

 では、仮に、認定が取り消されていたとしたら、

それは、「取消し」でしょうか?    それとも「撤回」でしょうか?

 

 申請時点(2016年10月)や認定時点(2017年1月)の

外資出資比率は、記事では不明ですが、結果的に違反はなかったようです。

申請直前時点(2016年9月末)の数字のままで認定を受けたとすれば、

かなりギリギリとはいえ、セーフ(違反なし)です。

 

 その後、21.23%になったから、取り消されたとすると、

これは、後発的事情ですから、

言い方は「取り消す」でも、「撤回」にあたることになります。

 

 

 

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2021年3月13日の新聞に、A社の続報の記事がありました。

3月11日に投稿した上記部分(3月6日の新聞記事が根拠)では、

「撤回」という結論でしたが、続報によると、話が違ってきたようです。

 

以下は、3月13日の新聞記事が根拠です。

11日に投稿した部分(3月6日の新聞記事が根拠)と同様に、便宜上、

「衛星放送の認定は、行政行為の一種である」という前提で、話を進めます。

 

 

3月9日に、A社から、総務省へ、新たな報告があったそうです。

その報告によると、認定申請時(2016年10月)の外貨出資比率は、

19.96%ではなく、20.75%だったそうです。

 

 どうやら、外貨出資比率の計算方法に誤りがあったようです。

議決権の比率が1%以上の議決権だけで(1%未満を除外して)計算したため、

19.96%(ぎりぎりセーフ)という数字が出てしまったようです。

 

 そして、2017年1月に認定がなされ、2017年10月に、

A社の子会社(以下、b社といいます)に当該事業が承継されたそうです。

総務省にこの事業承継の申請がなされた時点(2017年9月)では、

A社の外貨出資比率は22.21%(20%以上でアウト)だったそうですが、

総務省は、承継先のb社のほうしかチェックしなかったようです。

 

 

 とにかく、A社(の外貨出資比率)は、

申請の段階ですでに違法状態(20%以上)だったことになります。

つまり、認定時からアウト(そもそもダメ)だったことになり、

本来なら行われてはならない認定が行われてしまったことになります。

 

 そこで、総務省は、3月12日に、

b社が持つ衛星放送の認定の一部を取り消すと発表したそうです。

 

 そうすると、この「取り消す」は、

平20行政書士試験 問8 肢3 と同様に、

原因や理由が原始的瑕疵(そもそもダメだった)ですから、

文字どおり、「取消し」にあたることになります。

 

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