例外が問われている◯×問題の肢の、「4典型」 | 記述式九つの型 (第1の型から第9の型まであります。それぞれの型のルールについては、プロフィールをごらんください。)

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40字程度の記述式問題(会話特定・キーワード組合せ・空欄補足・クロスワード穴埋め・語群作文・条文訂正・正誤判別・説明作成・設問逆行)や、
文章理解(国語)の問題を、作成・投稿しています。
なお、投稿の年月日および根拠教材の年代には、ご注意ください。

例外が問われている◯×問題の肢の、「4典型」
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例外を「ひっかけネタ」にしている◯×問題の肢は、だいたい次の4つに分けられます。

 

1)そのまま型(◯ 正)例外を、そのまま例外とする
2)にぎりつぶし型(× 誤)例外を、例外ではないとする
3)ほのめかし型(◯ 正)例外ではないことを、(例外っぽく)ほのめかす
4)でっちあげ型(× 誤)例外ではないことを、例外だとする

 

 受験生の立場(解く側)としては、
1や2よりも、3や4のほうが厄介(解きにくい)です。
 なぜなら、
1や2は、その例外さえ知っていれば、他の例外を知らなくても解けますが、
3や4は、「このような例外はなかったぞ」という判断が必要なので、
ほぼすべての例外をひととおり把握していなければ解けません。

 

 一方、作成者の立場(作る側)としては、
1や2よりも、3や4のほうが便利(作りやすい)です。
 なぜなら、
1や2は、既存(実在)の例外を使うしかないので、自由には作れませんが、
3や4は、ウソの例外を、ほのめかしたりでっち上げるだけなので、
テキストには登場しないような用語や事例も、自由に使用・脚色でき、
「意表を突いて、心理的に揺さぶりをかける」ことができます。
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 具体例   たとえば、民法9条を題材に考えてみましょう。

 

 <民法9条  2020年3月時点のイーガブより>
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 

 この規定(条文)を根拠に、
「成年被後見人Aに、成年後見人Bがいる」という事例で作成してみます。
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 1)そのまま型(◯正)
Aが行った法律行為は、日用品の購入などを除き、取り消すことができる。

 <解説>
「日用品の購入などの行為は取り消せない」という例外を、
そのまま述べています。
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 2)にぎりつぶし型(×誤)
Aが行った法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為であっても、
原則として、取り消すことができる。

 <解説>
「日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せない」という例外を、
握りつぶして(例外ではないと述べて)います。
___ ___ ___ _____
 3)ほのめかし型(◯正)
Aが行った法律行為は、200万円以下の動産の売買契約であっても、
原則として、取り消すことができる。

 <解説>
「200万円以下の動産の売買は取り消せない」という例外はないのに、
例外っぽくほのめかしています。
____ ___ _____ ____
 4)でっちあげ型(×誤)
Aが行った法律行為は、Bが事前に同意を与えた契約を除き、
取り消すことができる。

 <解説>
「Bが事前に同意を与えた契約は取り消せない」という例外はないのに、
でっち上げて(例外であると述べて)います。

 なお、1~4の複数が重なっている「複合型」もあります。 たとえば、
民法9条関連の、平成20宅建試験 問1 肢1(正しい肢で、正解肢)は、
前半が3(ほのめかし型)、後半が1(そのまま型)になっています。
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 学習初期(独学時代)から◯×問題を作成していたにもかかわらず、
この分類(4パターン)に気づいたのは、何年もたった後のことです。
ちょうど、40字記述式問題の第7のスタイル「正誤判別」を
確立したのと、だいたい同じ頃だったと思います。

 

 天才肌の人なら、過去問を解いているうちに感づくのでしょうが、
残念ながら私は、そうではないので、問題を作る側の視点に立ってから、
何年もかかって、多数の問題を作成して、やっと気づいたわけです。

 

 まあ、もっとも、天才肌の受験生なら、そもそも、
「問題を自作する」などという奇策は、行わない(必要ない)でしょうが。
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