あたしと陽菜は生まれた時からの幼馴染で
幼稚園も、小学校も、中学校も、そして今高校だって同じ。
それほどずっと一緒に居たいという思いが強かった
いつからだろう
陽菜が離れる事にこんなに怖くなったのは。
ずっと一緒にいたから
離れる事なんてない、考えられない そう思ってたけど
陽菜はどんどん遠くへ行ってしまう
ずっと一緒に居たかった
「ぶっ! はっ・・はぁ!?」
「ちょっと優ちゃん汚ーい」
2人で高校帰りよく立ち寄る
レストラン、いつもの様にどうでもいい事を語っていると
陽菜は急に言いだしたのだ。
思わずジュースを吹きだし陽菜に馬鹿にされる
「でっでも陽菜!いつかアメリカに留学するって・・」
「そうだよー、陽菜にだって、夢!やりたい事があるんだからっ」
ほら、あたしに何の相談もなくすぐ決めちゃうんだ
あたしにだってやりたい事はある
だけど陽菜とは真逆の世界で。
「そんなー・・・あたし聞いてないよ。」
「大丈夫、留学はずっと先だもん。」
高校3年の私にとっては
陽菜の留学がずっと先だと分かっても
それはすぐそこにあるものだと感じた
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その日の夜、
ベランダに出ると肌寒かった
そう考えてみると
季節はもう12月。
そうなると
あの事を考えた
”クリスマス”
恋人たちが集う夜
だけど私の頭には他のものがよぎる
”陽菜”
毎年陽菜の家かあたしの家で
クリスマスパーティーを開いていた
今年も出来ると思うと胸がわくわくする
・・陽菜に聞いてみよう。
私はパーティーの事を想像しながら眠りについた。
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「優ちゃんおそーいっ」
「ごめんごめんっ」
いつもの様に陽菜との待ち合わせに遅れたあたしは
陽菜の手をひっぱり学校までダッシュする
これが日々日常的☆(笑)
・・・・
そして、廊下に立たされる
「もー優ちゃんのせいだよっ」
なんて怒りながらもニコニコ笑っている陽菜
「なんで笑ってんのさー」
「優ちゃんのせーい!」
なんていってそっぽを向いた
陽菜、そういうところが好きだなぁ。
これからも、ずっと一緒に居られる・・陽菜の事を思うと胸がはずんだ
「あっ そーだ陽菜!今年パーティどっちでやる?」
あたしがハイテンションで聞くと
笑顔だった陽菜の顔が一瞬歪んだ気がした
気のせいかな・・
「今年は私の家でやろう。25日の朝9時。」
「朝ーぁ?まぁいいや!」
いつもは夜にやるから
少し不思議に感じた。
それに陽菜がそばにいるのに、なぜか遠く感じてしまう
今まで感じたことのなかった感覚
不思議だけど、なんだか怖い
本当に陽菜はずっとそばに居てくれるのかな?
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日にちも過ぎてゆき、
あっというまに24日だった。
あたしは毎年恒例
陽菜のクリスマスプレゼントを買いに行く
毎年あのデパートへ、この日に。
そしてお決まりのぬいぐるみ。
陽菜には小さいころからぬいぐるみをプレゼントしてきてたけど
あげたことのなかった動物のぬいぐるみを見つけた
”うさぎ”
一見、珍しくもないけど
うさぎのぬいぐるみはどうも買ったことがなくて
だけど最近陽菜がペットの”うさぎ” ”みみ”(2匹とも犬) を飼い始めて
それ以来あたしもうさぎに親近感を湧くようになった
陽菜もうさぎが好きだ
なら決めた
このうさぎのぬいぐるみにしよう
とびきり大きくて
とびきり可愛い
なんだか陽菜に似ていたし
名前も決めている
「・・陽菜、喜んでくれるといいなぁ」
大きくて持ちかえれないので
今日の夜のうちに
家に届くように頼んだ
帰り道、
公園を通った
陽菜と小さい頃いつも遊んでいた公園
今では古さびてて
くる人はなかなか居なくなったけど
普段は何もなく何も感じないまま
通り過ぎるはずなのに
今日はむしょうに懐かしく思えた
あたしは導かれたままに
公園に足をのばす
「わぁっ・・!!!」
目を疑った
遠くから見るとあんなに薄汚くみえたのに
中に入ると
あの頃とちっとも変ってない
ぴんくとあおと、きいろとあかに・・おれんじの色とりどりののぼりぼう
陽菜とあたしで、2人ともぴんくののぼりぼうが好きで2人でよく取りあいしてたなぁ。
「ブランコものこってんじゃん!」
ふとブランコの方を見ると
見覚えのある彼女の姿
何故か哀しげな表情でうつむいていた
「陽菜!?気付いてたなら声かけてよ・・」
「優ちゃん・・ごめんね。陽菜、」
「え・・?」
「ううん、優ちゃんと話せてほんとによかった。」
「だから何がだよ~」
その時私はこれから起こる事に知る由もなかった
「ううん!じゃあ、優ちゃん・・またね。」
「んー、じゃっまた明日~」
あたしは陽菜の方を見ず
帰り道の道を行きながら
そう告げた
あの時、陽菜の顔を見ていたら
分かったのかな。
想像できたのかな・・
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・・今日はパーティの日
ばっちり大きなうさぎを持って
陽菜の家のインターホンをおしにいった
「陽菜~!陽菜ママパパー!!!優子がきたよっ」
・・・・
・・
応答はなかった。
もう1度インターホンを押す
「陽菜ー! ・・・・・あれ、日付間違えたっけな?まだ寝てるとか?・・」
・・・
おかしい。
これはおかしい
「陽菜!!!!!!陽菜っ!あけてよっ」
思わずドアノブに手をかける
力を入れる
すると予想外だった
そのドアはいとも簡単に開いたのだ
「えっ!?」
勢いでそのままドアを開けた
だけど、あたしが知ってる陽菜の家じゃない
ここは、陽菜の家じゃない
だけど・・
かすかに残っていた
陽菜の香り
やっぱりここは陽菜の家だった
だけどあまりにも原型がない
玄関には
陽菜の大量の靴がいつも並んでるはずなのに
それも1つもなかった。
沢山並んでいたはずの写真や
中学の時に頑張ったラクロスでとったトロフィーも全てなくて
中に行っても
真っ白い世界の様に何もなかった
いつもだったらパーティをしている場所で
あたしは崩れ落ちた
何でさ、何でなのさ
何で陽菜も、誰も居ないのさ
今日はパーティじゃん
なのになんで?なんで陽菜がいないの?
昨日はあんなに普通だったじゃんか
ふとそばに置いたうさぎに目をやる
こいつにも名前つけたのにさ、
”こじぱ”って。
陽菜の名前からとったんだよ
こじぱって可愛いでしょ そう自慢したくてつけた名前
こいつもここで一人ぼっちじゃんか
「・・ん?」
こじぱの足の下に何かはみでてる紙が見えた
それを引っ張る
・・手紙だ
それも陽菜からあたしへの手紙。
迷わず中を開いた
『 優ちゃんへ。
優ちゃん、今このおうちみて驚いたでしょ?
だって何にもないもんね。
ほんとは、クリスマスパーティの日までこのおうちから離れたくなかったんだけど
留学の手続きとかも色々あって
考えてみた結果
引っ越すことになりました。
ほんとはね?留学も引っ越しも、ずーっと前から決まってて
だけど優ちゃんと離れるのが怖くて
だからずっと黙ってました
秘密にしててごめんね。
けど、陽菜といるよりも
優ちゃんはもっと幸せになれる方法があるでしょ?
私気付いてたよ、優ちゃんのしたい事、夢。
だから、優ちゃんが
陽菜にも伝わってくるような
有名になったら
また会いに行くからね
また会おうね。
陽菜。 』
何だよ・・
何なんだよこれ。
陽菜の奴
マジふざけんなってば
どれだけあたしを辛くさせればきが済むの
あいつはいつだって
自分の思い通りにして
だけど、どこかで人を気遣った
そこが好きだったんだな、あたし。
もう1度
会えるかな・・
もしもう1度会えたら
もうその手を二度と離しはしない。
そして、言い忘れたことがあった
「陽菜、また会おうね。」
何故だか涙はでなかった
だってまた会えるから
あたしが自分の夢をかなえたら
陽菜に会えるもんね
この涙は
陽菜とまた会える日まで
とっておくね。