漫画『人生最大の狂気』
通り魔にナイフで顔に
無数の切り傷を付けられた。
私は血だらけの顔で帰宅し、
皮膚が無数に裂けた顔をホチキスで留める。
翌日は休まずに出社する。
私は自分の顔の醜さに
顔を歪める同僚の反応にうんざりし、
手にした事務用鋏で自分の口を切り割く。
私は雷鳴轟く大雨の中を駆けていく。
走りながら、
体中をナイフで突き刺し、
その無数の傷口から血が溢れる。
鮮やかな雷鳴。
地獄の唸り。
回転するフォークが顔面に迫ってくる。
回転するフォークが
顔面から後頭部に貫通する。
穴の空いた顔の向こうに
燃え盛る太陽が輝いている。
顔の穴から背後に落ちた眼球の中に棲む油蝉が
ジージーと泣いている。
油蝉の鳴き声で眼球が震動する。
疲れ果てた眼球が
何とかして立ち上がろうとする。
心臓の中の蜘蛛の巣が体中に絡み付いている。
太陽が心臓の中で踠く私を見て、
狂ったように大笑いする。
天空に聳え立つ巨大な勃起したペニスが
花火を上げたように鮮やかに射精する。
射精した精子が
アジアの国の藁の屋根を濡らす。
私は全速力で雷鳴轟く大雨の中を駆けていく。
帰宅した私は
鏡に映った半透明のゼリー状の顔を見つめる。
私は力尽き、
ゼリー状の体が
脱衣所の床の上に粉々になって崩壊する。
真っ白な正午、
私は漸く永遠の時の中に帰属する。