未来の科学技術発展 5-10年の変化を予想




 中国科学院 は北京で6月20日、「科学技術発展の新動向、2020年を見据えた戦略的選択」と題する研究レポートを発表した。同レポートは今後5-10年後の重要分野における、科学技術発展の予想図を描いたもので、その内容は下記の通り。人民日報海外版が伝えた。

 世界は今後10年間、エネルギー・資源、材料・製造、情報ネットワーク、農業、健康、生態・環境、宇宙・海洋、重大基礎最先端・学科融合の8大分野で、重大な科学技術の進展を実現するだろう。また今後5-10年間で、世界で22の重大科学技術事件が起きると予想される。例えば、ニュートリノ振動の実験で反物質消失の謎が解き明かされ、量子情報技術が次世代情報技術の先導・基礎になり、グラフェンが「ポストシリコン時代」の新たな潜在力を持つ材料になり、幹細胞に基づく新たな生命繁殖方法が出現するなどが挙げられる。その判断基準は主に、世界範囲内で幅広い影響を生む科学技術活動とその成果で、具体的には次の通り。(1)基本科学問題の認知の重大な進展により、系統的な科学技術イノベーション、多元的・集中的な技術イノベーションをもたらす(電磁誘導の発見、電磁理論の構築など)。(2)既存の理論体系では解釈しがたい、もしくは解釈不可能な新現象が発見される(黒体放射による量子力学の誕生など)。(3)重大技術進展による産業イノベーション、もしくは重大ツールの出現により、エネルギー・資源・環境の制約が効果的に緩和され、人々の健康が改善され、人類の暮らしに重大な影響をもたらす(蒸気機関やコンピュータなどの発明による産業革命、抗生物質などの発見による医学変革など)。(4)限界を突破する人類の重大活動(有人月面着陸の実現など)。

 中国では今後5-10年間で、19の重大科学技術進展が生じる可能性がある。例えば量子通信が世界に先駆け重大な進展を実現し、
クラウドコンピューティング が重大な進展を実現し、幹細胞の全体的な研究水準が世界トップレベルに達し、石炭資源クリーン・高効率総合利用が新興産業を形成するなどだ。具体的には次の内容が含まれる。(1)世界の科学技術発展に重要な貢献を成し遂げるイノベーション、もしくは世界の科学技術発展史に書き込まれる重大成果、もしくは科学技術界公認の重大科学技術問題を解決し、新たな学科方向を切り開き世界が注目する分野となる(ウシのインスリンの人工合成、ゴールドバッハの予想の証明、造油理論の構築および大型石油・ガス田の発見など)。(2)ハイテクの壁を打破するコア技術の進展により、中国産業の飛躍的な発展を促し、国家安全・国民生活改善・経済社会の持続可能な発展に重大な貢献を成し遂げる(核兵器・ミサイル・衛星、スーパーハイブリッドイネ、合成クロロプレンゴム、高性能スパコンなど)。(3)変革性技術イノベーションにより、新たな市場を切り開き、新たな需要を創出し、新たな産業を形成する(侯徳榜アルカリ生成技術、漢字レーザー写真植字技術など)。(編集YF)

 「人民網日本語版」2013年6月21日