多忙にかまけ、公法系からだいぶ間が空いてしまいましたが、予備論文本試験までにはこの雑感シリーズを終わらせたい…
H30司法論文の選択科目以外の各問について、本当に簡易な雑感を書いていっています。
不安に思ったり、再現答案作成に苦しんだりしている司法試験受験生に向けて、「こんなもんで合格ラインを超えるんじゃね~の?」といった安心材料をできる限り提供したいと思います。
※そのため、もちろんネタバレあり!
ただ、今年も司法論文ガチ書きをして、まだほぼ何も調べず、司法H30の再現答案も分析できていない状況で、H29までの全過去問の徹底分析で蓄積してきた合格ラインの感覚等と併せて語った程度の雑感なので、その信用性は慎重に吟味してくださいな~自分で書いた答案の筋にどうしても甘くなっている可能性が高いです。
1.民事系第1問(民法)
設問1は、4A論文解法パターン講義(民法)等で危険負担の解法パターンを確立していればかなりアドバンテージがあったはずだが、確立できていなかった受験生が多いだろう。
設問1単体の合格ラインは、
・B側の帰責事由の有無も含めた危険負担の処理(※弁済提供ないし受領遅滞による注意義務の軽減は加点事由にとどまる)が、ある程度できていること
という印象。
設問2は、所有権留保の本質的なところから、最判平6.2.8の本質的理由(これも、4A論文解法パターン講義(民法)や4A条解講義(民法)で伝授済み)を使って処理できていればかなりの加点が期待できるが、そのように処理できた受験生はかなり少数のはず(いずれも司法論文過去問にちょい出題されてはいるが)。
設問2単体の合格ラインは、
・所有権留保をある程度処理できていること
・最判平6.2.8を何らかの形で使えていること
という印象。
設問3は、例年受験生全体の出来が悪い家族法の出題で、その中でも割と難しい・マイナーな内容が問われたので、家族法マニア以外はどんぐりの背比べだろう。
設問3単体の合格ラインは、
・「相続させる」趣旨の遺言の処理ができていること
・自分なりに最後まで処理できていること
という印象。
もちろん全体的には、どれかの設問(特に1・2)でしっかりと加点まで稼いでいれば、それ以外の設問単体で合格ラインを割っても、合計点で合格ラインを超えることは充分ありうる。
また、上位層とそれ以外で二極化しそうなので、再現答案を分析する際には、上位層の再現答案ばかりを対象とすると、かなり上振れしてしまうおそれがあると思う。
2.民事系第2問(商法)
予備論文過去問でほぼ既出の設問1勝負!に尽きる印象。
設問2は、利益供与(会社法120条)に気づけない受験生が結構いるはずだし、気づいたとしても(1)はその先の処理も難しい。
設問3は、昨年に続いての現場思考問題だし。
よって、合格ラインは、
・設問1が概ね書けたこと
(設問2~3で、大減点されるような“基礎”的ミスや日本語レベルでの矛盾・不整合がないこと…これは全科目共通)
という印象。
3.民事系第3問(民訴法)
これは合格ライン提示が難しいなあ…
設問1で
・Bの訴えの訴訟物を適切に明示したこと
・民訴法142条を使った処理がある程度できていること
設問2で
・文書提出義務の事由をある程度検討できていること
設問3で
・補助参加の利益(民訴法42条)について処理できていること
くらいかと。
一応、設問3のうち補助参加の利益は司法論文過去問で既出だけど、それが問われていると問題文から読み取れなかった受験生もいそうだし。
…民事系第2・3問は雑になっちゃいましたが、司法論文ガチ書き当時のありのままの雑感を文章化すると、こんな感じです。