なんだかスーパーマリオの“ステージ”みたいなタイトルになってしまいました…なぜこうなったかというと、その2の答案例を加工した全文を記事にしようとすると、
「記事内容がHTMLタグ含め半角40000文字を超えています。」
と表示されてしまい投稿・保存できないため、答案例を2分割して投稿することにしたからです。
その2から約3週間も経ってしまいましたが、最近結構忙しい中で上記の問題を解決するには、このくらいの時間が必要でした…o(TωT )
さて!
その2掲載の「答案例の“第2 設問2”のうち私がマークした論述を、“第1 設問1”のA側の主張に、できる限り(“最大限”と解しても、“無理のない範囲で”と解しても、どちらでもOKですし、余裕があれば両方やってみるのもいいかもしれません)移してみてください。
その際、日本語の文章的に過不足が生じると感じたところは、“第2 設問2”のうち私がマークしていない部分も付随的に移す必要があるかもしれませんし、自分なりに言葉や文章を加除修正する必要もあるかもしれません。」
という課題、やってみていただけたでしょうか?
私なりに“最大限”、設問2から設問1へと論述を移した答案例のうち、設問1の部分をこの記事の末尾に載せたので、参照してください。
※上記課題をやっていない人は、やってみてからね!
その答案例について、注釈します。
まず、答案例の表記について。
このように囲んであるところは、A側に有利な論述としてピンク色のマークをした部分で前提としていた問題文の事情なので、設問2から設問1に一緒に移さなければ、「日本語の文章的に…不足が生じると感じたところ」です。
太字部分は、A側に有利な論述としてピンク色のマークをした部分を設問2から設問1に移した結果、「日本語の文章的に過不足が生じると感じた」ため、問題文の事情以外で「自分なりに言葉や文章を加除修正」したところです。
次に、設問1部分の内容について。
私は、設問1では、基本的には審査基準を示す必要はなく、何らかの審査基準を念頭に置いた、原告等の側に有利なあてはめを書くだけで足りるし、それが得点効率を最大化すると考えています。
∵H23司法論文採点実感p4最後の方「原告の主張を展開すべき場面で,違憲審査基準に言及する答案が多数あった。違憲審査基準の実際の機能を理解していないことがうかがえる」→当時結構騒ぎになり、後ほど補足で修正・言い訳されたが…
∵原告等の側に不利なあてはめ(目的審査で原告等の側に有利なあてはめが思い浮かばず、審査基準を書いた以上は原告等に不利でもあてはめざるを得ない…となっている受験生が多い)まで設問1で書くと、設問2で書くネタがなくなるため、得点効率が低下する。
しかし、本問では例外的に、2の4行目で
「最も厳格な基準で審査すべきである。」
と、審査基準の厳格度だけ書きました。
∵設問2の答案例の2ラストで、「最も厳格な明白かつ現在の危険の基準よりは緩やかに、」というフレーズを書いたのと対応させた方が分かりやすいかな~と思った。
∵目的審査(明白で切迫した害悪を防ぐため)でも、A側に有利なあてはめ(政府の統計によれば性犯罪の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではないから、「性犯罪の再犯」は明白で切迫した害悪とはいえない。)が割と思いつきやすいかな~と思った。
第1 設問1
性犯罪者継続監視法(以下単に「法」)は、Aの継続監視されない自由1を侵害し違憲である。
1⑴ 本件で継続監視とは、監視対象者の体内に埋設されたGPSから送信される位置情報を警察が電子計算機を使用して継続的に取得し、これを電子地図上に表示させて監視対象者の現在地を把握することをいう(法2条1項)。
これを実施するため、警察署には、管轄区域の地図を表示する大型モニターが導入され、同モニターには、監視対象者の現在地が表示されるとともに、同人の前科等の参考情報が表示された。
⑵ これにより、まず監視対象者がトイレに行く・その滞在時間等の私生活の中でも秘匿性高い情報まで収集されかねない。
また、継続監視には電子計算機を使用するため、正確な情報を長期間にわたって保存できる。
さらに、監視対象者の前科等の参考情報まで併せて把握している周囲の者は多くないだろう。
⑶ よって自由1は人格的生存に不可欠といえるから、「幸福追求~権」(憲法13条後段)として保障される。
2 自由1は人格的生存に不可欠といえるほど重要である。
また、継続監視により、監視対象者の立ち回り先によってはその主義・信仰・趣味・嗜好等が推知されるおそれがあるし、これを継続的に取得することで個人の行動パターンが知られてしまうから、行動の自由(22条1項)や表現・信仰活動(21条1項、20条1項)等を委縮させるおそれがある。
さらに法は、性犯罪者の再犯前に、制約をしている。
そこで、最も厳格な基準で審査すべきである。
⑴ 本件で、政府の統計によれば性犯罪の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではないから、「性犯罪の再犯」は明白で切迫した害悪とはいえない。
⑵ア 継続監視は、同害悪を防ぐために必要不可欠な手段 ではない。
(ア) 監視対象者の現在地を把握するだけでは、そこでの具体的行動が分からないし、働きかけられない。
(イ) むしろ、監視対象者が特定危険区域(法23条1項)ないし一般的危険区域(法3条)に近づいた時に初めて、GPSからその位置情報を送信すれば足りる。
(ウ) また、前記2冒頭の委縮により、監視対象者は「社会復帰」(法1条)の機会を奪われかねない。
(エ) そして20年(法14条)は、懲役刑の原則的な最長期間であること(刑法12条1項)からも長すぎ、定期的に法14条要件を裁判所ないし専門家等が判定し、みたさなくなったときに、途中でも監視を打ち切るための規定がない上、20年を経過しても同要件をみたす状況が変わらない場合に、継続監視期間を延長するための規定もない。
イ 次に監視対象者は、継続監視開始10日前までに医師によるGPSという異物を体内に埋設する手術を受けなければならず(法21条1項)、継続監視期間終了までGPSを除去・破壊してはならない(同条2項)上、これらの違反に1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という罰則(法31条1・2号)がある。
これは監視対象者を「個人として尊重」する(13条前段)ものとは到底いえないから、「性犯罪の再犯」という害悪を防ぐため必要不可欠な手段ではない。
ウ 最後に、都道府県知事は、当該都道府県内の幼児保育施設・学校(の周辺道路)と公園・山林(の周辺道路)のうち、性犯罪が発生する危険性が一般的に高いと認める区域を一般的危険区域として指定しなければならない(法3条)。
そして警察本部長等は、監視対象者が同区域に立ち入った際の行動等の事情により、その者が性犯罪を行う危険性があると認めるときは、同区域のうち特定の区域を特定危険区域として指定し、その者に対し、1年以下の期間を定めて、同区域に立ち入ってはならない旨を警告でき(法23条1項)、その内容日時等を公安委員会に報告しなければならない(同条2項)。
これを受けた公安委員会は、監視対象者が上記警告を受けてなお同区域に立ち入った場合、同区域内で性犯罪を行う危険性が高いと認めるときは、その者に対し、1年以下の期間を定めて、同区域への立入禁止を命令でき(法24条1項)、その違反に対し前記イと同じ罰則がある。
(ア) まず、一般的危険区域として指定されうる区域はかなり広く不明確である。
(イ) また、監視対象者が特定危険区域を指定されて警告・立入禁止命令を受けるのは広い一般的危険区域に立ち入った際の「行動」等を根拠とするし、前記ウ冒頭のような段階的規制だからこそ後の段階の警告・禁止命令さらには罰則を意識させることになり、その者の「行動」に委縮効果を及ぼす。
(ウ) よって、この点も「性犯罪の再犯」という害悪を防ぐため必要不可欠な手段ではない。