記事「反復学習の本質~「インターリーブ」その2」に続き、『脳が認める勉強法』(原題『How We Learn』Benedict Carey[著]・花塚恵[訳]:ダイヤモンド社)
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脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!
1,944円
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の内容を、司法試験系をはじめとする試験対策に適用・応用していく記事です。
「その2」からだいぶ間が空いてしまいました…でも、遅くともH29予備・司法短答本試験までには書く!と決めていたので(ギリギリですみません…orz)。
(以下、ページ番号と引用は上記書籍から。)
この記事では、「その2」のラストで予告したとおり、「インターリーブ」法を使うと、知識の記憶や行為・スキルの熟達だけでなく、芸術的な感性といった感覚的な領域(おそらく“リーガルマインド”も含む)まで、効果的に鍛えられることを伝えたい。
この結論を導いた実験は、以下のようなものだった。
「コーネルとビョークは…まず12人の風景画家による絵画をリストアップした。有名な画家…も数人含めたが、被験者が聞いたことのない画家がほとんどだった…。ふたりは72人の学生に向かって、コンピュータ画面上の絵画を覚えるようにと告げた。そのうち半分の学生は、一度にすべての絵を勉強した。…たとえば、クロスの絵が3秒ごとに6作続けて表示され、その次はブラックの6作が、やはり3秒ごとに絵の下の作者名とともに表示され…という具合だ。同じ作者の絵を被験者がひとまとめに見ることから、コーネルとビョークはこれをブロック学習と名づけた。残りの半分の学生も、絵を見る時間(1作品につき3秒)と絵の下に作者名が表示されるのは同じだった。ただし、絵が画面に表示される順番は作者別ではなくランダムだった。」(P244~245)
「そうして両グループは、12人の画家の絵を6作ずつ、計72作品を勉強した。どちらのグループが画家のスタイルをうまくつかむことができたのか?…コーネルとビョークは、学生たちが勉強していない風景画を1作ずつ順に48作見せ、12人の画家からその絵の作者をクリックして選ばせるテストを実施した。」(P245)
その結果、「ランダムに学習したグループは65パーセント正解したのに対し、ブロック学習をしたグループは50パーセントしか正解しなかったのだ。…別の学生を被験者にしてもう一度実験を行っ」ても、結果は同じだった(P246)。
まずそもそも、ブロック学習でランダム学習でも、未知の絵画の作者を正解できるようになること自体、結構すごいことだと思う。
我々は、非言語的な感性・センスといった領域まで鍛えることができるのだ。
だから、「私にはセンスがないから…」「あの人は天才だから…」等の理由で諦めるのはもったいない!
そして、ランダム学習=「インターリーブ」法は、「画家のスタイル」という非言語的な感性・センスを最も効果的に鍛えることができる。
ということは、「インターリーブ」法=ランダム学習の最適な実践である過去問をくり返し解くこと(cf.「その2」)をしているだけで、「画家のスタイル」ほど非言語的ではないといえる“リーガルマインド”“法的センス”といったものも、効果的に鍛えられるといえる。
だから…これまで過去問をくり返し解いて、できる限り「完璧」に近づけてきた受験生の皆さん!ヾ(@^▽^@)ノ
論文式試験はもちろん、短答式試験ですら、未知の問題が半分くらい出るのが司法試験系です。
正解しているという確信が1問も持てないまま解き進めざるを得ないこともあると思います(私も、結果的には53/60点で余裕合格だったH17旧司短答本試験現場では、ずっとそんな感じでした)。
そんなときでも、
これまでに鍛えてきた“リーガルマインド”“法的センス”といったものを信じて総動員し、
比較的、正答可能性の高そうな細道を、
爪先立ちで歩き続けてきてください!