最近、下記のようなコメントをいただきました。
「先生は受験生時代、答案を書く速度について対策を立てていましたか。
書くスピードです。予備試験も司法試験も相当な分量を書かされます。
答案構成に時間をとるためにも速さが重要だと思います。
あと、どのようなペンを使うかです。相当腕が疲労しそうですね。
自分はこれまで論文試験は経験したことがないので、不安になります。」
まず、私が答案を書くスピードは、旧司論文で、2時間で2問合計5ページ前後(1行当たり25文字くらい)でした。
新司論文では、2時間で1問5ページ前後だったら割と標準的だと思いますが、一般に、旧司論文2問の問題文の長さより、新司論文1問の問題文の方が長いことを考えると、やや遅い感じでしょうか(なお、合格した旧司H17論文 では、本試験での緊張が良い方に作用したのか、科目にもよりますが、全体的に割と多めに書けていた感じです)。
ただ、私は受験生時代、周りの受験生と比べて書くスピードが遅いと思っていました。今にして思えば、書くのが早い人が目についただけだったかもしれませんが。
そこで、文字を書くスピード自体を速くする対策も、多少模索しました。
1.ペン習字等は、結局地道な長時間の訓練が必要なようで、そういうのが大嫌いな私は、早々に諦めました。一般論としても、これにかかる時間で過去問を1問・1周でも多く解いた方が、得点効率が良い人がほとんどだと思います。
2.筆記用具については、大きめの文房具屋の筆記用具コーナーに行って、そこにあるボールペンを文字どおり“全て”試し書きして比較しました(しかも、数か月おきに何回かやったような…)。
その結果、最終的に選んだのはエナージェル でした。
・筆圧が割と強くてもスラスラ書きやすかった
・インクが速く乾く(インクが乾く前に、書き手の小指側の側面で答案用紙をこすってしまい、文字が読みにくくなることに悩んでいた)
からです。
3.字を一応読める範囲で汚くすることは、書くスピードを上げる一手ですが、私は既にかなり汚い(と言われる)字だったので、これ以上汚くすると読めなくなるおそれがあると思いました。
下記画像は、受験生時代(平成17年3月19日と答案用紙上部に書いてありました)に、勉強会の自主答練(その勉強会で先に合格した方が主宰してくれた)で書いた答案です。
私の答案の中では割と標準的な文字ですが、どうでしょうか(黒文字がもともとの答案で、青・緑色の文字は、書いた後に皆に突っ込まれたこととか、自分で気づいたことを添削したものです)?
せめて、字を大きめに書くくらいは意識していましたが。
そのため、自分の標準的~やや遅い答案書きスピードを前提に、それでも合格できるようにしていきました。
4Aもその1つで、答案構成・思考過程を定型化することで、答案構成時間を短くする機能があります。
答案自体も、「得点につながらない文字が1つもない」という理想を目指して、自分で答案を書いた後に、削れる文字を1文字単位で削る作業をしていたこともあります(現在、皆さんに教材として提供している「完全解」も、この作業をやっていたりします)。
この観点からみると、新司法試験の再現答案では特に、「得点につながらない文字」が多い印象を受けます。
たとえば、よくあるのは、
「これを本件にあてはめると」
「~であるから」
です。これらより、
「本件で」
「~だから」
の方が得点効率が高いですよね?
短い表現に書き換えていくと、合格答案ですら、半分くらいの長さにできるものもあったりします。
記事「論文答案の分量~うさぎとかめ 」でも書いたように、書くのが遅い亀でも、方法論次第でうさぎに勝てるし、そもそもうさぎに勝たなくても合格はできるんです。