まず、「平成25年度 予備試験 本試験分析セミナー(憲・行) 」の「参照ファイル」レジュメP8~9(pdfに表示されるページ数基準)の再現答案(1通目)を見てほしい。

この答案の成績は、A~Fのどれだと思う?

見所は、なんといっても、3~4行目と、40~42行目だ。主張・反論の対立点という問いに対する答えが、2~3行ずつしか書かれていない!その代わり、私見がドーッと書いてある。


この書き方こそ、4A基礎講座でまず推奨している、憲法において最も“合格可能性”が高い答案スタイルなのだ。


で、成績はというと…B!

合格ラインぴったりといっていいだろう。

私も、動画の1時間1分くらいで、「Aはあてはめの整合性が微妙なので無理かもしれないが、B~Cはとれる」旨を言っているので、当たったかな?


このデータから、少なくとも予備試験の憲法では、当事者の主張反論をちゃんと書かなくても、合格ラインには達するといえる。

このことは、平成23・24年度の再現答案をちゃんと分析していれば明らかだったから、もし私が受験生なら、自信を持ってそのスタイルを採ったけど、教え子に身をもって実証してもらったわけで…この成績が分かるまでは、さすがにドキドキでした(><;)

もし許されるなら、もう一度自ら予備試験とか司法試験を受験して、色々実験してみたいなあ…と常々思っています。


ただ、一応、「本問の出題形式が平成23・24年度と違うから、主張反論を書かずに済んだだけだ」という可能性も考えられなくはない(cf.上記動画の「参照ファイル」レジュメP1の総論2(1))。しかし、平成23・24年度の再現答案にも、似たようなスタイルでBどころかA評価の答案があったから、出題形式が大きく変わらない限り、同様の状況が続くと思う。

このことから、個人的には、この答案も、甲案を合憲、乙案を違憲にするような自然かつ整合的なあてはめができていれば、Aもとれたと思っているんだけど、そこまでは実証できなかったので保留しておく。


やはり、行政法と合わせて2問を140分で解く中で、主張・反論・私見でうまく振り分けて、争点形成→解決するのは、現実的にはほぼ無理だ。そして、出題者側もそれがだんだん分かってきたから、出題形式を変えたのではないだろうか。


同じような出題形式を採っている一部のロー入試や司法試験の受験生も、主張反論にどの程度のコストをかけるべきか、再考するきっかけにしてほしい。

もちろん私も、主張・反論・私見を美しく振り分けて争点形成→解決された答案の方が高得点になることは、全く否定していない(その意味では、この記事のタイトル「主張反論不要論」とはちょっと違う面もあるんだけど…タイトルはインパクトが重要だと思ってるので許してちょ)。

しかし、受験も含めた戦争において重要なのは、現実ベースで考えることだ。

「自分は、現実的に、制限時間に追われ、異常な心理状態に陥っている本試験現場で、そのようなことができるだろうか?」

これを自分に問うてみることを、忘れないでほしい。

現実を無視した戦争が悲劇を生むことは、歴史が証明している。


まずは、この答案スタイルで確実に合格レベルを確保できるようになること。

もっと言うと、主張・反論全くなし、全て“私見”で流れるように書けるようになること。

これが先決だ。

これすらできない人が、主張・反論の振り分けや書き方を訓練する資格は、ありません。


ちなみに、上記動画の「参照ファイル」レジュメの2通目の再現答案は、A評価でした。

ハイリスクハイリターンなスタイルだけど、うまくはまってハイリターンがとれた感じかな?

で、この答案も、主張・反論・私見の振り分けがそんなにしっかりしてないんだよね~。

そういうコンセプトで選んだ2通でした。