あてはめなどで「特殊事情を使え」というのは、「旧」試受験界で結構ポピュラーな方法論だと思われる。
しかし、「問題文の事情自体に配点あり」という方法論を提唱する俺は、特殊であれ通常であれ、問題文の事情に適切に触れれば、同程度に点が来ると考えている。

そもそも、問題文の事情が特殊か通常かをどうやって判断するのかも曖昧だし。おそらく、それまでにやってきた「典型」問題との比較なんだろうけど、そうすると、できるだけ多くの「典型」問題をやってきた人が強くなる方法論ということになる。で、「典型」問題とはどのようなものかも曖昧なので、これも「典型」か?あれも「典型」では?という不安に苛まれ、際限なく問題演習をやらずにはいられなくなる…というのは言いすぎか。

まして、「特殊事情を使わなければ合格点が来ない」というのは言語道断だ。再現答案を少しでも読んだことがあるなら、多くの受験生は「問題文の事情に触れる」ことさえほとんどできていない、ということが明らかに分かるのに。

だから、あてはめなどで「特殊事情を使え」というのは、基本的に、「使えない」方法論だと思う。

特殊か通常かを分ける意味が出てくる可能性があるのは、むしろ規範定立部分だと思う。
「通常○○。よって、××など特段の事情のない限り、…」といった規範を判例はよく立てると思うが、こういった規範を立てるときには、何が通常で何が特殊かをあらかじめ分けておく必要がある。
こういった規範が試験的に有用なのは、現場思考で規範を立てねばならない場面で、「特段の事情」が問題文にないけれども、通常・原則的処理ではちょっとバランスに疑問があるときに、一応「特段の事情」という反対利益も考慮していますよ~という言い訳をしておきたい場合だと思う。

高度なテクだと思うので、これで差がつくかというとかなり疑問だけど。
そうすると、やっぱり、「特殊事情を使え」というのは、全面的に「使えない」かな。