第1.小問1
1.CはEに対し、Aから売買契約により譲り受けた所有権(555条・176条)に基づき、庭石の引渡請求ができないか。
2.(1) この点、Eは、Aから所有権を譲り受けたDから、売買契約により所有権を譲り受け、さらに庭石の引渡しも受けている。
よって、庭石の引渡しを受けていないCは、Eに対しその所有権を対抗できないのが原則である。(178条)
(2) しかし、Eの前主Dは、専らCに嫌がらせをする意図で庭石を譲り受けた背信的悪意者である。
そこで、かかる信義則(1条2項)に反する者の取引安全を図る必要はないので、CはDに対しては、庭石所有権を対抗できると解する。
(3) としても、これでAD間の所有権移転が無効になるわけではない。
また、信義則という当事者間の公平を図る原理に基づく以上、背信的悪意者かどうかは相対的に考えるべきである。
(4) よって、Eに背信的悪意があるとの事情がない以上、原則通りCは、庭石所有権をEに対し対抗できない。
3.したがって、CはEに対し庭石の引渡請求ができない。
第2.小問2
1.Bは、①甲土地及び乙建物に対する抵当権の効力は庭石に及んでいた(370条)②その抵当権が登記により公示されている以上、これをEに対抗できる(177条)と主張することが考えられる。
2.①について
(1) そもそも抵当権は、目的物の交換価値を把握する権利である。
そこで、目的物と価値的に一体をなす物は「付加して一体となっている物」にあたり、これに抵当権が及ぶと解する。
(2) 本問で、庭石は建物・土地に伴っていることが多く、しかも200万円と高価なので、甲土地及び乙建物と価値的に一体をなしているといえる。
(3) よって、「付加して一体となっている物」にあたり、①が認められる。
3.②について
(1) そもそも抵当権の効力が庭石に及んでいたのは、前述のように目的物と価値的に一体をなしていたからである。
(2) そして、既に搬出されてしまっている本問では、目的物と価値的に一体をなしていない。
(3) よって、抵当権の効力が庭石に及んでいたことが登記により公示されているとはいえず、②は認められない。
以上
1.CはEに対し、Aから売買契約により譲り受けた所有権(555条・176条)に基づき、庭石の引渡請求ができないか。
2.(1) この点、Eは、Aから所有権を譲り受けたDから、売買契約により所有権を譲り受け、さらに庭石の引渡しも受けている。
よって、庭石の引渡しを受けていないCは、Eに対しその所有権を対抗できないのが原則である。(178条)
(2) しかし、Eの前主Dは、専らCに嫌がらせをする意図で庭石を譲り受けた背信的悪意者である。
そこで、かかる信義則(1条2項)に反する者の取引安全を図る必要はないので、CはDに対しては、庭石所有権を対抗できると解する。
(3) としても、これでAD間の所有権移転が無効になるわけではない。
また、信義則という当事者間の公平を図る原理に基づく以上、背信的悪意者かどうかは相対的に考えるべきである。
(4) よって、Eに背信的悪意があるとの事情がない以上、原則通りCは、庭石所有権をEに対し対抗できない。
3.したがって、CはEに対し庭石の引渡請求ができない。
第2.小問2
1.Bは、①甲土地及び乙建物に対する抵当権の効力は庭石に及んでいた(370条)②その抵当権が登記により公示されている以上、これをEに対抗できる(177条)と主張することが考えられる。
2.①について
(1) そもそも抵当権は、目的物の交換価値を把握する権利である。
そこで、目的物と価値的に一体をなす物は「付加して一体となっている物」にあたり、これに抵当権が及ぶと解する。
(2) 本問で、庭石は建物・土地に伴っていることが多く、しかも200万円と高価なので、甲土地及び乙建物と価値的に一体をなしているといえる。
(3) よって、「付加して一体となっている物」にあたり、①が認められる。
3.②について
(1) そもそも抵当権の効力が庭石に及んでいたのは、前述のように目的物と価値的に一体をなしていたからである。
(2) そして、既に搬出されてしまっている本問では、目的物と価値的に一体をなしていない。
(3) よって、抵当権の効力が庭石に及んでいたことが登記により公示されているとはいえず、②は認められない。
以上