と言うほどのものでもありませんが、僕が再現答案をどう見ていたかについて書きたい。

まず前置き。
僕は再現答案を、論文本試験における方法論構築のための第1級の基礎資料だと捉えています。
確かに化粧・忘却・成績虚偽申告のおそれはありますが、それでも論文本試験に関して最も信用できる情報であることは間違いない。
勉強内容において「困ったときには条文に戻れ」だとすると、論文の勉強方法においては「困ったときには再現答案に戻れ」だと思っています。

僕は主に、自分の答案スタイルや採点基準を探るという目的で使いました。
その目的達成のため、
①自分で実際に答案を書いた問題について、できるだけ多くの再現答案を集める。(但し、時間との兼ね合い)
②で、ある1問につき、自分で良いと思ったところと悪いと思ったところにシャーペンでテキトーに印をつけながら、集めた再現答案をダーッと「見る」。成績の良い再現答案・成績の悪い再現答案それぞれの共通点をなんとなく考えつつ。
③ある1科目の第1問第2問を見終わったら、もう一度、成績の良い再現答案・成績の悪い再現答案それぞれの共通点を2問通して考えてみる。

こんなもんです。
もうちょい細かくやるときは、
④なぜ異なる成績になったのか、再現答案間の相違点を考えてみる。
その際、まず(A)(B~F)(G)という大きな分け方で相違点をみる。
次に、B~Fの中で相違点を相違点をみる。AGは幅が広いが、B~Fはあまり差がないので、細かい採点基準を推し量るのに有益。

まあここまでやるとやりすぎだと思うので、やらなくていいかと。
何も考えずにただダーッと読むだけでも、効果があると思います。
僕は寝る前とか、移動時間とか、気分転換にやるくらいでした。

あと、答案スタイルや採点基準を探るという目的からは、広く浅くではなく、狭く深くやった方がいいかもしれません。
たくさんの問題について2~3通ずつ再現答案を見るだけではいまいち分かりにくかったという経験があります。
むしろ、ある1~2問について2~30通(これもちょい多すぎか)の再現答案を見る方がよほど得るものがありました。
そういう意味で、再現答案を多数入手しやすい直近の問題をやった方がいいと思います。

もう一つ、おそらく採点基準は、年々変わってきていると思われます。
絶対的採点基準に近いと思われる出題趣旨の書かれ方も変わってきてますし、受験生の間でも方法論・答案スタイルの流行り廃りがあるので相対的採点基準も変わってきます。
だから、再現答案分析で得られた感触を「そのまま盲信」することは、少し危険だと思います。
その危険を排除するため、年度を跨いで共通点・相違点を探るのもいいかもしれません。これもやりすぎですが…。
ちなみに僕の方法論は、そういった採点基準の変化にできるだけ影響されないものを追求した結果とも言えるかなあ。
H16G落ち直後に、事始めさんから「方法論の流行と変遷」について指摘されたのがきっかけでしたね。ありがとうございます。