別記事のコメント欄に、
「旧司法試験のように60分で問題を解く際に、実際に答案に書く分量はどのくらいになるのでしょうか。
(例えば、ページ数や文字数で言うと何文字位でしょうか?)

NOAさんのブログでは、市販の問題集の答案例は、必ずしも実践的なものではないとおっしゃっていました。
となると、最低でも、どのくらいの量を記述すれば良いのかがわからなくなりました。
問題によっても異なるかとは思いますが、平均的なものでいいので、教えてもらえないでしょうか。
よろしくお願いします。 」
という質問をいただいたので、これに対する回答を記事にしようと思いました。

私は、旧司受験生のころ、http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji07_00032.html にある予備試験の「論文式試験答案用紙」と同様の答案用紙に、中くらいの文字の大きさ(これで伝わるかな?)で、60分当たり2.5ページくらいが平均でした。
勉強会を組んでいた周りの受験生仲間とかと比べて、自分は結構遅筆だ…何とかしないと!という認識でした。

ただ、当ブログの「H17論文本試験 反省 」の下の方(「論文本試験 (科目名)の反省」というタイトルの記事)を見ていただくと、私が旧司H17で実際に書いた答案の分量が記録してあります。
これによると、60分当たり3ページくらい書けているようで、“本試験フィーバー”(説明しよう!これは、本試験の緊張状態がハイテンションに転化する感じを表現するための、たった今思いついた造語である!)だったんだなあ…と。

でも、“本試験フィーバー”は計算してなれるものではないと思いますし、そもそも本試験では“フィーバー”より“クールジャパン”で普段通りの自分のままの方が無難に受かりやすいです。

そして、本質的に重要なのは、自分がどのくらいの筆力を持っているかを把握しておくことです!
たとえば、本試験にできるだけ近い答案用紙(ロー入試だと情報入手が難しいかも)に、何らかの答案を書き写して、どのくらいの分量が何分くらいで書けるか(たとえば上記予備試験の答案用紙では、1ページを何分くらいで書けるか)を計測すると、それが自分が(何も考えずに)最大限書ける分量といえます。
こういったデータがないと、たとえば、
・答案構成が終わって残り45分、15分で1ページくらい書けるから、3ページ弱くらい書けるな…割と長めに書いていいかも。
とか、
・残り10分!まだ色々書かなきゃならんけど、もう理由づけなしで処理だけ処理だけ!!
といった、現場での臨機応変な時間管理・戦術選択が難しくなると思います。

また、最低でもこのくらいの量を書かなきゃ受からない、といった縛りは全くありません。
旧司論文民法H10-1を約1ページ@上記予備試験と同様の答案用紙で最高ランクAをとった、伝説の“あらすじ答案”を見せたいのですが、検索しても出てきませんね…ほとんど箇条書きみたいな、とにかく事案の処理だけしている答案で、受験生時代、これに感動して、目指していたこともありました。
ただ、
・同問が、少なくとも当時は結構難問だった
・あらすじ答案を書いた人の旧司論文民法H10-2は、確かにあらすじ(2ページくらいだったような)なんだけど誰が見ても良く書けているレベルで、これとの総合評価でAがついている
という事情からすると、“あらすじ答案”を目指すのはやりすぎだと今は思っています。
とにかく長く書かないと…と思っている人のバランスをとるには良薬なんですけどね。

結局、受験生時代に当ブログでくり返し書いていた、“最低ライン確保→リスクとリターンを計算しながら積み上げ”というのがベストバランスだと今でも思っています。

遅筆でも、速筆でも、その内容次第で、受かる人は受かるし、落ちる人は落ちるんです。
遅筆の受験生だったころは、速筆の人がうらやましかったのですが、速筆の人も指導する立場になってみると、速筆の人は余計な間違いまで書いてしまうリスクが大きいというマイナスもあることが分かったり。
うさぎもかめも、戦い方次第で勝てるんです。